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〘94㌻〙

第1章

1 イスラエルの子等こらのエジプトに至いたりし者ものの名なは左さのごとし衆人ひと〴〵各おの〳〵その家族かぞくをたづさへてヤコブとともに至いたれり 2 すなはちルベン、シメオン、レビ、ユダ、 3 イツサカル、ゼブルン、ベニヤミン、 4 ダン、ナフタリ、ガド、アセルなり 5 ヤコブの腰󠄃こしより出いでたる者ものは都合あはせて七十人にんヨセフはすでにエジプトにありき 6 ヨセフとその諸すべての兄弟きやうだいおよび當世そのよの人ひとみな死しにたり 7 イスラエルの子孫ひと〴〵饒おほく子こを生うみ彌增いやまし殖ふえ甚はなはだしく大おほいに强つよくなりて國くにに滿みつるにいたれり

8 茲こゝにヨセフの事ことをしらざる新あたらしき王わうエジプトに起󠄃おこりしが 9 彼かれその民たみにいひけるは視みよ此この民たみイスラエルの子孫ひと〴〵われらよりも多おほく且かつ强つよし 10 來きたれわれら機巧かしこく彼等かれらに事ことをなさん恐おそらくは彼等かれら多おほくならん又󠄂また戰爭いくさの起󠄃おこることある時ときは彼等かれら敵てきにくみして我等われらと戰たゝかひ遂󠄅つひに國くによりいでさらんと 11 すなはち督者をさをかれらの上うへに立たて彼かれらに重荷おもにをおはせて之これを苦くるしむ彼等かれらパロのために府庫くらの邑まちピトムとラメセスを建󠄄たてたり 12 然しかるにイスラエルの子孫ひと〴〵は苦くるしむるに隨したがひて增まし殖ふえたれば皆みなこれを懼おそれたり 13 エジプト人びとイスラエルの子孫ひと〴〵を嚴きびしく動作はたらかしめ 14 辛からき力役つとめをもて彼等かれらをして苦くるしみて生よを度わたらしむ即すなはち和泥どろこね、作甎かはらづくりおよび田圃はたけの諸もろ〳〵の工わざにはたらかしめけるが其その働はたらかしめし工作わざは皆みな嚴きびしかりき

15 エジプトの王わう又󠄂またヘブルの產婆とりあげをんなシフラと名なづくる者ものとブワと名なづくる者ものの二人ふたりに諭󠄄さとして 16 いひけるは汝等なんぢらヘブルの婦󠄃女をんなのために收生とりあげをなす時ときは床とこの上うへを見みてその子こ若もし男子をとこのこならばこれを殺ころせ女子をんなのこならば生いかしおくべしと
 94㌻ 
17 然しかるに產婆とりあげをんな神かみを畏おそれエジプト王わうの命めいぜしごとく爲なさずして男子をのこをも生いかしおけり 18 エジプト王わう產婆とりあげをんなを召めして之これにいひけるは汝等なんぢらなんぞ此事このことをなし男子をのこを生いかしおくや 19 產婆とりあげをんなパロに言いひけるはヘブルの婦󠄃をんなはエジプトの婦󠄃をんなのごとくならず彼等かれらは健󠄄つよくして產婆とりあげをんなのかれらに至いたらぬ前󠄃さきに產うみをはるなりと 20 是これによりて神かみその產婆とりあげをんな等どもに恩めぐみをほどこしたまへり是こゝにおいて民たみ增ましゆきて甚はなはだ强つよくなりぬ 21 產婆とりあげをんな神かみを畏おそれたるによりて神かみかれらのために家いへを成󠄃なしたまへり 22 斯有󠄃かゝりしかばパロその凡すべての民たみに命めいじていふ男子をとこのとの生うまるるあらば汝等なんぢらこれを悉こと〴〵く河かはに投なげいれよ女子をんなのこは皆みな生いかしおくべし〘73㌻〙

第2章

1 爰こゝにレビの家いへの一箇ひとりの人ひと往󠄃ゆきてレビの女をんなを娶めとれり 2 女をんな妊はらみて男子なんしを生うみその美うるはしきを見みて三月󠄃みつきのあひだこれを匿かくせしが 3 すでにこれを匿かくすあたはざるにいたりければ萑よしの箱舟はこぶねを之これがために取とりて之これに瀝靑ちやんと樹脂やにを塗ぬり子こをその中うちに納󠄃いれてこれを河邊󠄎かはべの葦あしの中なかに置おけり 4 その姉あね遙はるかに立たちてその如何いかになるかを窺うかゞふ 5 茲こゝにパロの女むすめ身みを洗あらはんとて河かはにくだりその婢しもめ等ら河かはの傍ほとりにあゆむ彼かれ葦あしの中なかに箱舟はこぶねあるを見みて使󠄃女めのわらはをつかはしてこれを取とりきたらしめ 6 これを啓󠄃ひらきてその子このをるを見みる嬰兒みどりごすなはち啼󠄂なく彼かれこれを憐あはれみていひけるは是これはヘブル人びとの子こなりと 7 時ときにその姉あねパロの女むすめにいひけるは我われゆきてヘブルの女をんなの中うちより此この子こをなんぢのために養󠄄やしなふべき乳󠄃母うばを呼よびきたらんか 8 パロの女むすめ往󠄃ゆけよと之これにいひければ女子むすめごすなはち往󠄃ゆきてその子この母はゝを呼よびきたる 9 パロの女むすめかれにいひけるは此この子こをつれゆきて我わがために之これを養󠄄やしなへ我われその値あたひをなんぢにとらせんと婦󠄃をんなすなはちその子こを取とりてこれを養󠄄やしなふ 10 斯かくてその子この長ちやうずるにおよびて之これをパロの女むすめの所󠄃もとにたづさへゆきければすなはちこれが子ことなる彼かれその名なをモーセ(援󠄃出ひきいだし)と名なづけて言いふ我われこれを水みづより援󠄃ひきいだせしに因よると
 95㌻ 

11 茲こゝにモーセ生長ひとゝなるにおよびて一時あるときいでてその兄弟きやうだい等たちの所󠄃ところにいたりその重荷おもにを負󠄅おふを見みしが會たま〳〵一箇ひとりのエジプト人びとが一箇ひとりのイスラエル人びと即すなはちおのれの兄弟きやうだいを擊うつを見みたれば 12 右左みぎひだりを視みまはして人ひとのをらざるを見みてそのエジプト人びとを擊うちころし之これを沙すなの中なかに埋うづめ匿かくせり 13 次󠄄つぎの日ひまた出いでて二人ふたりのヘブル人びとの相あひ爭あらそふを見みたればその曲あしき者ものにむかひ汝なんぢなんぞ汝なんぢの隣人となりびとを擊うつやといふに 14 彼かれいひけるは誰たが汝なんぢを立たててわれらの君きみとし判󠄄官さばきびととしたるや汝なんぢかのエジプト人びとをころせしごとく我われをも殺ころさんとするやと是こゝにおいてモーセ懼おそれてその事ことかならず知しれたるならんとおもへり 15 パロ此事このことを聞きゝてモーセを殺ころさんともとめければモーセすなはちパロの面かほをさけて逃󠄄にげのびミデアンの地ちに住󠄃すめり彼かれ井ゐどの傍かたはらに坐ざせり

16 ミデアンの祭司さいしに七人にんの女子むすめありしが彼等かれら來きたりて水みづを汲󠄂くみ水みづ鉢ばちに盈みてて父󠄃ちゝの羊群むれに飮みづかはんとしけるに 17 牧羊者ひつじかひ等らきたりて彼かれらを逐󠄃おひはらひければモーセ起󠄃たちあがりて彼等かれらをたすけその羊群むれに飮みづかふ 18 彼等かれらその父󠄃ちゝリウエルに至いたれる時とき父󠄃ちゝ言いひけるは今日けふはなんぢら何なんぞかく速󠄃すみやにかへりしや 19 かれらいひけるは一箇ひとりのエジプト人びと我われらを牧羊者ひつじかひ等どもの手てより救すくひいだし亦またわれらのために水みづを多おほく汲󠄂くみて羊群むれに飮のましめたり〘74㌻〙 20 父󠄃ちゝ女等むすめらにいひけるは彼かれは何處いづくにをるや汝等なんぢらなんぞその人ひとを遺󠄃すててきたりしや彼かれをよびて物ものを食󠄃くはしめよと 21 モーセこの人ひととともに居をることを好このめり彼かれすなはちその女子むすめチツポラをモーセに與あたふ 22 彼かれ男子をとこのこを生うみければモーセその名なをゲルシヨム(客かく)と名なづけて言いふ我われ異邦󠄆ことくにに客かくとなりをればなりと
 96㌻ 

23 斯かくて時ときをふる程󠄃ほどにジプトの王わう死しねりイスラエルの子孫ひと〴〵その勞役つとめの故ゆゑによりて歎なげき號さけぶにその勞役つとめの故ゆゑによりて號さけぶところの聲こゑ神かみに達󠄃いたりければ 24 神かみその長呻うめきを聞きき神かみそのアブラハム、イサク、ヤコブになしたる契󠄅約けいやくを憶おぼえ 25 神かみイスラエルの子孫ひと〴〵を眷かへりみ神かみ知しろしめしたまへり

第3章

1 モーセその妻つまの父󠄃ちゝなるミデアンの祭司さいしヱテロの群むれを牧かひをりしがその群むれを曠野あらのの奧おくにみちびきて神かみの山やまホレブに至いたるに 2 ヱホバの使󠄃者つかひ棘しばの裏なかの火燄ほのほの中うちにて彼かれにあらはる彼かれ見みるに棘しば火ひに燃もゆれどもその棘しば燬やけず 3 モーセいひけるは我われゆきてこの大おほいなる觀みものを見み 何故なにゆゑに棘しばの燃もえたえざるかを見みん 4 ヱホバ彼かれがきたり觀みんとするを見みたまふ即すなはち神かみ棘しばの中なかよりモーセよモーセよと彼かれをよびたまひければ我われこゝにありといふに 5 神かみいひたまひけるは此こゝに近󠄃ちかよるなかれ汝なんぢの足あしより履くつを脫ぬぐべし汝なんぢが立たつ處ところは聖󠄃きよき地ちなればなり 6 又󠄂またいひたまひけるは我われはなんぢの父󠄃ちゝの神かみアブラハムの神かみイサクの神かみヤコブの神かみなりとモーセ神かみを見みることを畏おそれてその面かほを蔽かくせり 7 ヱホバ言いひたまひけるは我われまことにエジプトにをるわが民たみの苦患なやみを觀みまた彼等かれらがその驅使󠄃者おひつかふものの故ゆゑをもて號さけぶところの聲こゑを聞きけり我われかれらの憂苦うれひを知しるなり 8 われ降󠄄くだりてかれらをエジプト人びとの手てより救すくひいだし之これを彼かの地ちより導󠄃みちびきのぼりて善よき廣ひろき地ち乳󠄃ちゝと蜜みつとの流ながるゝ地ちすなはちカナン人びとヘテ人びとアモリ人びとベリジ人びとヒビ人びとヱブス人びとのをる處ところに至いたらしめんとす 9 今いまイスラエルの子孫ひと〴〵の號呼さけびわれに達󠄃いたる我われまたエジプト人びとが彼かれらを苦くるしむるその暴虐󠄃くるしめを見みたり 10 然されば來きたれ我われなんぢをパロにつかはし汝なんぢをしてわが民たみイスラエルの子孫ひと〴〵をエジプトより導󠄃みちびきいださしめん 11 モーセ神かみにいひけるは我われは如何いかなる者ものぞや我われ豈あにパロの許もとに往󠄃ゆきイスラエルの子孫ひと〴〵をエジプトより導󠄃みちびきいだすべき者ものならんや
 97㌻ 
12 神かみいひたまひけるは我われかならず汝なんぢとともにあるべし是これはわが汝なんぢをつかはせる證據しるしなり汝なんぢ民たみをエジプトより導󠄃みちびきいだしたる時とき汝等なんぢらこの山やまにて神かみに事つかへん〘75㌻〙

13 モーセ神かみにいひけるは我われイスラエルの子孫ひと〴〵の所󠄃ところにゆきて汝なんぢらの先祖せんぞ等たちの神かみ我われを汝なんぢらに遣󠄃つかはしたまふと言いはんに彼等かれらもし其その名なは何なにと我われに言いはば何なにとかれらに言いふべきや 14 神かみモーセにいひたまひけるは我われは有󠄃ありて在ある者ものなり又󠄂またいひたまひけるは汝なんぢかくイスラエルの子孫ひと〴〵にいふべし我有󠄃われありといふ者もの我われを汝なんぢらに遣󠄃つかはしたまふと 15 神かみまたモーセにいひたまひけるは汝なんぢかくイスラエルの子孫ひと〴〵にいふべし汝なんぢらの先祖せんぞ等たちの神かみアブラハムの神かみイサクの神かみヤコブの神かみヱホバわれを汝なんぢらにつかはしたまふと是これは永遠󠄄とこしなへにわが名なとなり世々よゝにわが誌しるしとなるべし 16 汝なんぢ往󠄃ゆきてイスラエルの長老等としよりたちをあつめて之これにいふべし汝なんぢらの先祖せんぞ等たちの神かみアブラハム、イサク、ヤコブの神かみヱホバ我われにあらはれて言いひたまひけらく我われ誠󠄃まことになんぢらを眷かへりみ汝なんぢらがエジプトにて蒙かうむるところの事ことを見みたり 17 我われすなはち言いへり我われ汝なんぢらをエジプトの苦患なやみの中うちより導󠄃みちびき出いだしてカナン人びとヘテ人びとアモリ人びとペリジ人びとヒビ人びとエブス人びとの地ちすなはち乳󠄃ちゝと蜜みつの流ながるゝ地ちにのぼり至いたらしめんと 18 彼等かれらなんぢの言ことばに聽きゝしたがふべし汝なんぢとイスラエルの長老等としよりたちエジプトの王わうの許もとにいたりて之これに言いへヘブル人びとの神かみヱホバ我われらに臨のぞめり然されば請󠄃こふわれらをして三日みつか程󠄃ほどほど曠野あらのに入いらしめわれらの神かみヱホバに犧牲いけにへをさゝぐることを得えせしめよと 19 我われしるエジプトの王わうは假令たとひ能力ちからある手てをくはふるも汝等なんぢらの往󠄃ゆくをゆるさゞるべし 20 我われすなはちわが手てを舒のベエジプトの中うちに諸もろ〳〵の奇跡ふしぎを行おこなひてエジプトを擊うたん其その後のちかれ汝等なんぢらを去さらしむべし 21 我われエジプト人びとをして此この民たみをめぐましめん汝なんぢら去さる時とき手てを空󠄃むなしうして去さるべからず 22 婦󠄃女をんな皆みなその隣人となりびととおのれの家いへに寓やどる者ものとに金きんの飾󠄃品かざり銀ぎんの飾󠄃品かざりおよび衣服󠄃きぬを乞こふべし而しかして汝なんぢらこれを汝なんぢらの子女むすこむすめに穿󠄂戴きかぶらせよ汝等なんぢらかくエジプト人びとの物ものを取とるべし
 98㌻ 

第4章

1 モーセ對こたへていひけるは然さりながら彼等かれら我われを信しんぜず又󠄂またわが言ことばに聽きゝしたがはずして言いはんヱホバ汝なんぢにあらはれたまはずと 2 ヱホバかれにいひたまひけるは汝なんぢの手てにある者ものは何なになるや彼かれいふ杖つゑなり 3 ヱホバいひたまひけるは其それを地ちに擲なげよとすなはち之これを地ちになぐるに蛇へびとなりければモーセその前󠄃まへを避󠄃さけたり 4 ヱホバ、モーセにいひたまひけるは汝なんぢの手てをのべて其その尾をを執とれとすなはち手てをのべて之これを執とれば手てにいりて杖つゑとなる 5 ヱホバいひたまふ是こは彼かれらの先祖せんぞ等たちの神かみアブラハムの神かみイサクの神かみヤコブの神かみヱホバの汝なんぢにあらはれたることを彼かれらに信しんぜしめんためなり〘76㌻〙 6 ヱホバまたかれに言いひたまひけるは汝なんぢの手てを懷ふところに納󠄃いれよとすなはち手てを懷ふところにいれて之これを出いだし見みるにその手て癩病らいびやうを生しやうじて雪󠄃ゆきのごとくなれり 7 ヱホバまた言いひたまひけるは汝なんぢの手てをふたゝび懷ふところにいれよと彼かれすなはちふたゝび其その手てを懷ふところにいれて之これを懷ふところより出いだし見みるに變かはりて他處ほかの肌膚はだへのごとくになる 8 ヱホバいひたまふ彼等かれらもし汝なんぢを信しんぜずまたその最初はじめの徴しるしの聲こゑに聽きゝ從したがはざるならば後のちの徴しるしの聲こゑを信しんぜん 9 彼かれらもし是このふたつの徴しるしをも信しんぜすして汝なんぢの言ことばに聽きゝ從したがはざるならば汝なんぢ河かはの水みづをとりて之これを陸地くがにそゝげ汝なんぢが河かはより取とりたる水みづ陸地くがにて血ちとなるべし

10 モーセ、ヱホバにいひけるはわが主しゆよ我われは素もと言辭ことばに敏とき人ひとにあらず汝なんぢが僕しもべに語かたりたまへるに及およびても猶󠄅なほしかり我われは口くち重おもく舌した重おもき者ものなり 11 ヱホバかれにいひたまひけるは人ひとの口くちを造󠄃つくる者ものは誰たれなるや啞者おふし聾󠄃者みゝしひ目明者めあき瞽者めしひなどを造󠄃つくる者ものは誰たれなるや我われヱホバなるにあらずや 12 然されば往󠄃ゆけよ我われなんぢの口くちにありて汝なんぢの言いふべきことを敎をしへん 13 モーセいひけるはわが主しゆよ願ねがはくは遣󠄃つかはすべき者ものをつかはしたまへ 14 是こゝにおいてヱホバ、モーセにむかひ怒いかりを發はつしていひたまひけるはレビ人びとアロンは汝なんぢの兄弟きやうだいなるにあらずや我われかれが言ことばを善よくするを知しるまた彼かれなんぢに遇󠄃あはんとていで來きたる彼かれ汝なんぢを見みる時とき心こゝろに喜よろこばん
 99㌻ 
15 汝なんぢかれに語かたりて言ことばをその口くちに授さづくべし我われなんぢの口くちと彼かれの口くちにありて汝なんぢらの爲なすべき事ことを敎をしへん 16 彼かれなんぢに代かはりて民たみに語かたらん彼かれは汝なんぢの口くちに代かはらん汝なんぢは彼かれのために神かみに代かはるべし 17 なんぢこの杖つゑを手てに執とり之これをもて奇蹟しるしをおこなふべし

18 是こゝにおいてモーセゆきてその妻つまの父󠄃ちゝヱテロの許もとにかへりて之これにいふ請󠄃こふ我われをして往󠄃ゆきてわがエジプトにある兄弟きやうだい等らの所󠄃ところにかへらしめ彼等かれらのなほ生いきながらへをるや否いなを見みさしめよヱテロ、モーセに安然やすらかに往󠄃ゆくべしといふ 19 爰こゝにヱホバ、ミデアンにてモーセにいひたまひけるは往󠄃ゆきてエジプトにかへれ汝なんぢの生命いのちをもとめし人ひとは皆みな死しにたりと 20 モーセすなはちその妻つまと子等こどもをとり之これを驢馬ろばに乘のせてエジプトの地ちにかへるモーセは神かみの杖つゑを手てに執とれり 21 ヱホバ、モーセにいひたまひけるは汝なんぢエジプトにかへりゆける時ときはかならず我わがなんぢの手てに授さづけたるところの奇跡ふしぎを悉こと〴〵くパロのまへにおこなふべし但たゞし我われかれの心こゝろを剛愎かたくなにすれば彼かれ民たみを去さらしめざるべし 22 汝なんぢパロに言いふべしヱホバかく言いふイスラエルはわが子こわが冡子うひごなり 23 我われなんぢにいふ我わが子こを去さらしめて我われに事つかふることをえせしめよ汝なんぢもし彼かれをさらしむることを拒󠄃こばまば我われなんぢの子こなんぢの冡子うひごを殺ころすべしと〘77㌻〙 24 モーセ途󠄃みちにある時ときヱホバかれの宿所󠄃やどりにて彼かれに遇󠄃あひてころさんとしたまひければ 25 チツポラ利するどき石いしをとりてその男子むすこの陽まへの皮かはを割󠄅きりモーセの足下あしもとになげうちて言いふ汝なんぢはまことにわがためには血ちの夫をつとなりと 26 是こゝにおいてヱホバ、モーセをゆるしたまふ此時このときチッポラが血ちの夫をつとといひしは割󠄅禮かつれいの故ゆゑによりてなり

27 爰こゝにヱホバ、アロンにいひたまひけるに曠野あらのにゆきてモーセを迎󠄃むかへよと彼かれすなはちゆきて神かみの山やまにてモーセに遇󠄃あひ之これに接吻くちつけす
 100㌻ 
28 モーセ、ヱホバがおのれに言いひふくめて遣󠄃つかはしたまへる諸すべての言ことばとヱホバのおのれに命めいじたまひし諸すべての奇跡しるしとをアロンにつげたり 29 斯かくてモーセとアロン往󠄃ゆきてイスラエルの子孫ひと〴〵の長老としよりを盡こと〴〵く集あつむ 30 而しかしてアロン、ヱホバのモーセにかたりたまひし言ことばを盡こと〴〵くつぐ又󠄂また彼かれ民たみの目めのまへにて奇蹟ふしぎをなしければ 31 民たみすなはち信しんず彼等かれらヱホバがイスラエルの民たみをかへりみその苦患なやみをおもひたまふを聞きゝて身みをかゞめて拜はいをなせり

第5章

1 その後のちモーセとアロン入いりてパロにいふイスラエルの神かみヱホバ斯かくいひたまふ我民わがたみを去さらしめ彼等かれらをして曠野あらのに於おいて我われを祭まつることをえせしめよと 2 パロいひけるはヱホバは誰たれなればか我われその聲こゑにしたがひてイスラエルを去さらしむべき我われヱホバを識しらず亦またイスラエルを去さらしめじ 3 彼かれら言いひけるはヘブル人びとの神かみ我われらに顯あらはれたまへり請󠄃こふ我等われらをして三日みつか程󠄃ぢほど曠野あらのにいりてわれらの神かみヱホバに犧牲いけにへをさゝぐることをえせしめよ恐おそらくはヱホバ疫病えきびやうか又󠄂または刀兵つるぎをもて我われらをなやましたまはん 4 エジプト王わうかれらに言いひけるは汝等なんぢらモーセ、アロンなんぞ民たみの操作はたらきを妨さまたぐるや往󠄃ゆきてなんぢらの荷にを負󠄅おへ 5 パロまたいふ土民どみん今いまは多おほかり然しかるに汝等なんぢらかれらをして荷にをおふことを止やめしめんとす 6 パロ此この日ひ民たみが驅おひ使󠄃つかふ者等ものどもおよび民たみの有󠄃司つかさ等らに命めいじていふ 7 汝等なんぢら再ふたゝび前󠄃まへのごとく民たみに磚瓦かはらを造󠄃つくる禾稈わらを與あたふべからず彼等かれらをして往󠄃ゆきてみづから禾稈わらをあつめしめよ 8 また彼等かれらが前󠄃さきに造󠄃つくりし磚瓦かはらの數󠄄かずのごとくに仍なほかれらに之これをつくらしめよ其それを減へらすなかれ彼等かれらは懶惰ものうきが故ゆゑに我儕われらをして往󠄃ゆきてわれらの神かみに犧牲いけにへをささげしめよと呼よばはり言いふなり 9 人々ひと〴〵の工作はたらきを重おもくして之これに勞はたらかしめよ然さらば僞いつはりの言ことばを聽きくことあらじと

10 民たみを驅おひ使󠄃つかふ者等ものどもおよびその有󠄃司つかさ等ら出いでゆきて民たみにいひけるはパロかく言いひたまふ我われなんぢらに禾稈わらをあたへじ〘78㌻〙 11 汝等なんぢら往󠄃ゆきて禾稈わらのある處ところにて之これをとれ但たゞしなんぢらの工作はたらきは分󠄃毫すこしも減へらさゞるべしと 12 是こゝにおいて民たみ遍󠄃あまねくエジプトの地ちに散ちりて草藁わらをあつめて禾稈つたとなす
 101㌻ 
13 驅使󠄃者おひつかふものかれらを促せきたてて言いふ禾稈つたのありし時ときのごとく汝なんぢらの工作はたらき汝なんぢらの日々ひゞの業わざをなしをふべしと 14 パロの驅使󠄃者おひつかふもの等らがイスラエルの子孫ひと〴〵の上うへに立たてたるところの有󠄃司つかさ等ら撻うたれなんぢら何なんぞ昨日きのふも今日けふも磚瓦かはらを作つくるところの汝なんぢらの業わざを前󠄃さきのごとくに爲なしをへざるやと言いはる

15 是こゝに於おいてイスラエルの子孫ひと〴〵の有󠄃司つかさ等たち來きたりてパロに呼よばはりて言いふ汝なんぢなんぞ斯かく僕しもべ等らになすや 16 僕しもべ等らに禾稈つたを與あたへずしてわれらに磚瓦かはらを作つくれといふ視みよ僕しもべ等らは撻うたる是これなんぢの民たみの過󠄃あやまちなりと 17 然しかるにパロいふ汝等なんぢらは懶惰ものうし懶惰ものうし故ゆゑに汝なんぢらは我われらをして往󠄃ゆきてヱホバに犧牲いけにへをさゝげしめよと言いふなり 18 然されば汝なんぢら往󠄃ゆきて操作はたらけよ禾稈つたはなんぢらに與あたふることなかるべけれどなんぢら尙なほ數󠄄かずのごとくに磚瓦かはらを交󠄄納󠄃をさむべしと 19 イスラエルの子孫ひと〴〵の有󠄃司つかさ等たち汝等なんぢらその日々ひゞにつくる磚瓦かはらを減へらすべからずと言いへるを聞きゝて災害󠄅わざはひの身みにおよぶを知しれり 20 彼かれらパロをはなれて出いでたる時ときモーセとアロンの對面むかひにたてるを見みたれば 21 之これにいひけるは願ねがはくはヱホバ汝等なんぢらを鑒かんがみて鞫さばきたまへ汝等なんぢらはわれらの臭にほひをパロの目めと彼かれの僕しもべの目めに忌嫌󠄃いみきらはれしめ刀かたなを彼等かれらの手てにわたして我等われらを殺ころさしめんとするなりと

22 モーセ、ヱホバに返󠄄かへりて言いふわが主しゆよ何などて此これ民たみをあしくしたまふや何なにのために我われをつかはしたまひしや 23 わがパロの許もとに來きたりて汝なんぢの名なをもて語かたりしよりして彼かれこの民たみをあしくす汝なんぢまた絕たえてなんぢの民たみをすくひたまはざるなり

第6章

1 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは今いま汝なんぢわがパロに爲なさんところの事ことを見みるべし能ちからある手ての加くははるによりてパロ彼かれらをさらしめん能ちからある手ての加くははるによりてパロ彼かれらを其その國くにより逐󠄃おひいだすべし

2 神かみモーセに語かたりて之これにいひたまひけるは我われはヱホバなり 3 我われ全󠄃能ぜんのうの神かみといひてアブラハム、イサク、ヤコブに顯あらはれたり然されど我わが名なのヱホバの事ことは彼等かれらしらざりき
 102㌻ 
4 我われまた彼かれらとわが契󠄅約けいやくを立たて彼等かれらが旅󠄃たびして寄やどり居ゐたる國くにカナンの地ちをかれらに與あたふ 5 我われまたエジプト人びとが奴隸どれいとなせるイスラエルの子孫ひと〴〵の呻吟うめきを聞きき且かつ我わが契󠄅約けいやくを憶おもひ出いづ 6 故ゆゑにイスラエルの子孫ひと〴〵に言いへ我われはヱホバなり我われ汝なんぢらをエジプト人びとの重負󠄅おもにの下したより携出ひきいだし其その使󠄃役はたらきをまぬかれしめ又󠄂また腕うでをのべ大おほいなる罰ばつをほどこして汝等なんぢらを贖あがなはん〘79㌻〙 7 我われ汝等なんぢらを取とりて吾わが民たみとなし汝等なんぢらの神かみとなるべし汝等なんぢらはわがエジプト人びとの重擔おもにの下したより汝なんぢらを携出ひきいだしたるなんぢらの神かみヱホバなることを知しらん 8 我われわが手てをあげてアブラハム、イサク、ヤコブに與あたへんと誓ちかひし地ちに汝等なんぢらを導󠄃みちびきいたり之これを汝等なんぢらに與あたへて產業もちものとなさしめん我われはヱホバなり 9 モーセかくイスラエルの子孫ひと〴〵に語かたりけれども彼等かれらは心こゝろの傷いためると役事はたらきの苦くるしきとの爲ためにモーセに聽きかざりき

10 ヱホバ、モーセに吿つげていひたまひけるは 11 入いりてエジプトの王わうパロに語かたりイスラエルの子孫ひと〴〵をその國くにより去さらしめよ 12 モーセ、ヱホバの前󠄃まへに申まうしていふイスラエルの子孫ひと〴〵旣󠄁すでに我われに聽きかず我われは口くちに割󠄅禮かつれいをうけざる者ものなればパロいかで我われにきかんや 13 ヱホバ、モーセとアロンに語かたり彼等かれらに命めいじてイスラエルの子孫ひと〴〵とエジプトの王わうパロの所󠄃ところに往󠄃ゆかしめイスラエルの子孫ひと〴〵をエジプトの地ちより導󠄃みちびきいださしめたまふ

14 かれらの父󠄃ちゝの家々いへ〳〵の長かしらは左さのごとしイスラエルの冡子うひごルベンの子こヘノク、パル、ヘヅロン、カルミ是等これらはルベンの家族やからなり 15 シメオンの子こヱムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハルおよびカナンの女をんなの生うみしシヤウル是これらはシメオンの家族やからなり 16 レビの子この名なはその世代よにしたがひて言いへば左さのごとしゲルシヨン、コハテ、メラリ是これなりレビの齡よはひの年としは百三十七年ねんなりき 17 ゲルシヨンの子こはその家族やからにしたがひて言いへばリブニおよびシメイなり 18 コハテの子こはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルなりコハテの齡よはひの年としは百三十三年ねんなりき
 103㌻ 
19 メラリの子こはマヘリおよびムシなり是等これらはレビの家族やからにしてその世代よにしたがひて言いへるものなり 20 アムラム其その伯母をばヨケベデを妻つまにめとれり彼かれアロンとモーセを生うむアムラムの齡よはひの年としは百三十七年ねんなりき 21 イヅハルの子こはコラ、ネペグ、ジクリなり 22 ウジエルの子こはミサエル、エルザパン、シテリなり 23 アロン、ナシヨンの姉あねアミナダブの女むすめエリセバを妻つまにめとれり彼かれナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルを生うむ 24 コラの子こはアツシル、エルカナ、アビアサフ是等これらはコラ人びとの族やからなり 25 アロンの子こエレアザル、ブテエルの女むすめの中うちより妻つまをめとれり彼かれピネハスを生うむ是等これらはレビ人びとの父󠄃ちゝの家々いへ〳〵の長かしらにしてその家族やからに循したがひて言いへる者ものなり 26 ヱホバがイスラエルの子孫ひと〴〵を其その軍隊󠄄ぐんたいにしたがひてエジプトの地ちより導󠄃みちびきいだせよといひたまひしは此このアロンとモーセなり〘80㌻〙 27 彼等かれらはイスラエルの子孫ひと〴〵をエジプトより導󠄃みちびきいださんとしてエジプトの王わうパロに語かたりし者ものにして即すなはち此このモーセとアロンなり

28 ヱホバ、エジプトの地ちにてモーセに語かたりたまへる日ひに 29 ヱホバ、モーセに語かたりて言いひたまひけるは我われはヱホバなり汝なんぢわが汝なんぢにいふ所󠄃ところを悉皆こと〴〵くエジプトの王わうパロに語かたるべし 30 モーセ、ヱホバの前󠄃まへに言いひけるは我われは口くちに割󠄅禮かつれいを受うけざる者ものなればパロいかで我われに聽きかんや

第7章

1 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは視みよ我われ汝なんぢをしてパロにおけること神かみのごとくならしむ汝なんぢの兄弟きやうだいアロンは汝なんぢの預言者よげんしやとなるべし 2 汝なんぢはわが汝なんぢに命めいずる所󠄃ところを盡こと〴〵く宣のぶべし汝なんぢの兄弟きやうだいアロンはパロに吿つぐることを爲なすべし彼かれイスラエルの子孫ひと〴〵をその國くにより出いだすに至いたらん 3 我われパロの心こゝろを剛愎かたくなにして吾わが徴しるしと奇跡ふしぎをエジプトの國くにに多おほくせん 4 然されどパロ汝なんぢに聽きかざるべし我われすなはち吾わが手てをエジプトに加くはへ大おほいなる罰ばつをほどこして吾わが軍隊󠄄ぐんたいわが民たみイスラエルの子孫ひと〴〵をエジプトの國くにより出いださん 5 我われわが手てをエジプトの上うへに伸のべてイスラエルの子孫ひと〴〵をエジプト人びとの中うちより出いだす時ときには彼等かれら我われのヱホバなるを知しらん
 104㌻ 
6 モーセとアロン斯かくおこなひヱホバの命めいじたまへる如ごとくに然しかなしぬ 7 そのパロと談論ものいひける時ときモーセは八十歳さいアロンは八十三歳さいなりき

8 ヱホバ、モーセとアロンに吿つげて言いひたまひけるは 9 パロ汝等なんぢらに語かたりて汝なんぢら自みづから奇蹟ふしぎを行おこなへと言いふ時ときには汝なんぢアロンに言いふべし汝なんぢの杖つゑをとりてパロの前󠄃まへに擲なげうてよと其それは蛇へびとならん 10 是こゝに於おいてモーセとアロンはパロの許もとにいたりヱホバの命めいじたまひしごとくに行おこなへり即すなはちアロンその杖つゑをパロとその臣下しんかの前󠄃まへに擲なげうちしに蛇へびとなりぬ 11 斯在かゝりしかばパロもまた博󠄄士はかせと魔󠄃術󠄃まじゆつ士しを召めしよせたるにエジプトの法術󠄃士はふじゆつし等らもその秘術󠄃ひじゆつをもてかくおこなへり 12 即すなはち彼かれら各人おの〳〵その杖つゑを投なげたれば蛇へびとなりけるがアロンの杖つゑかれらの杖つゑを呑のみつくせり 13 然しかるにパロの心こゝろ剛愎かたくなになりて彼かれらに聽きくことをせざりきヱホバの言いひたまひし如ごとし

14 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるはパロは心こゝろ頑󠄂かたくなにして民たみを去さらしむることを拒󠄃こばむなり 15 朝󠄃あしたにおよびて汝なんぢパロの許もとにいたれ視みよ彼かれは水みづに臨のぞむ汝なんぢ河かはの邊󠄎ふちにたちて彼かれを逆󠄃むかふべし汝なんぢかの蛇へびに化なりし杖つゑを手てにとりて居をり 16 彼かれに言いふべしヘブル人びとの神かみヱホバ我われを汝なんぢにつかはして言いはしむ吾わが民たみを去さらしめて曠野あらのにて我われに事つかふることを得えせしめよ視みよ今いままで汝なんぢは聽きゝ入いれざりしなり〘81㌻〙 17 ヱホバかく言いふ汝なんぢこれによりて我わがヱホバなるを知しらん視みよ我われわが手ての杖つゑをもて河かはの水みづを擊うたん是これ血ちに變へんずべし 18 而しかして河かはの魚うをは死しに河かはは臭くさくならんエジプト人びとは河かはの水みづを飮のむことを厭いとふにいたるべし 19 ヱホバまたモーセに言いひたまはく汝なんぢアロンに言いへ汝なんぢの杖つゑをとりて汝なんぢの手てをエジプトの上うへに伸のべ流水ながれの上うへ河々かはがはの上うへ池塘ためいけの上うへ一切すべての湖水みづうみの上うへに伸のべて血ちとならしめよエジプト全󠄃國ぜんこくに於おいて木ぼく石せきの器うつはの中うちに凡すべて血ちあるにいたらん
 105㌻ 

20 モーセ、アロンすなはちヱホバの命めいじたまへるごとくに爲なせり即すなはち彼かれパロとその臣下しんかの前󠄃まへにて杖つゑをあげて河かはの水みづを擊うちしに河かはの水みづみな血ちに變へんじたり 21 是こゝにおいて河かはの魚うを死しにて河かは臭くさくなりエジプト人びと河かはの水みづを飮のむことを得えざりき斯かくエジプト全󠄃國ぜんこくに血ちありき 22 エジプトの法術󠄃士はふじゆつし等らもその秘術󠄃ひじゆつをもて斯かくのごとく行おこなへりパロは心こゝろ頑󠄂固かたくなにして彼等かれらに聽きくことをせざりきヱホバの言いひたまひし如ごとし 23 パロすなはち身みをめぐらしてその家いへに入いり此事このことにも心こゝろをとめざりき 24 エジプト人びと河かはの水みづを飮のむことを得えざりしかば皆みな飮のみ水みづを得えんとて河かはのまはりを掘ほりたりヱホバ河かはを擊うちたまひてより後のち七日なぬかたちぬ

第8章

1 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは汝なんぢパロに詣いたりて彼かれに言いへヱホバかく言いひたまふ吾わが民たみを去さらしめて我われに事つかふることを得えせしめよ 2 汝なんぢもし去さらしむることを拒󠄃いなまば我われ蛙かはづをもて汝なんぢの四方よもの境さかひを惱なやまさん 3 河かはに蛙かはづむらがり上のぼりきたりて汝なんぢの家いへにいり汝なんぢの寢室ねやにいり汝なんぢの牀とこにのぼり汝なんぢの臣下しんかの家いへにいり汝なんぢの民たみの所󠄃ところにいたり汝なんぢの竈󠄃かまどにおよび汝なんぢの搓鉢こねばちにいらん 4 蛙かはづなんぢの身みにのぼり汝なんぢの民たみと汝なんぢの臣下しんかの上うへにのぼるべし 5 ヱホバ、モーセに言いひたまはく汝なんぢアロンに言いへ汝なんぢ杖つゑをとりて手てを流水ながれの上うへに伸のべ河々かは〴〵の上うへと池塘ためいけの上うへに伸のべて蛙かはづをエジプトの地ちに上のぼらしめよ 6 アロン手てをエジプトの水みづのうへに伸のべたれば蛙かはづのぼりきたりてエジプトの地ちを蔽おほふ 7 法術󠄃士はふじゆつし等らもその秘術󠄃ひじゆつをもて斯かくおこなひ蛙かはづをエジプトの地ちに上のぼらしめたり

8 パロ、モーセとアロンを召めして言いひけるはヱホバに願ねがひてこの蛙かはづを我われとわが民たみの所󠄃ところより取とりさらしめよ我われこの民たみを去さらしめてヱホバに犧牲いけにへをさゝぐることを得えせしめん 9 モーセ、パロに言いひけるは我われなんぢと汝なんぢの臣下しんかと汝なんぢの民たみのために願ねがひて何時いつ此この蛙かはづを汝なんぢと汝なんぢの家いへより絕たちさりて河かはにのみ止とゞまらしむべきや我われに示しめせと〘82㌻〙 10 彼かれ明日あすといひければモーセ言いふ汝なんぢの言ことばのごとくに爲なし汝なんぢをして我われらの神かみヱホバのごとき者ものなきことを知しらしめん
 106㌻ 
11 蛙かはづ汝なんぢと汝なんぢの家いへを離はなれ汝なんぢの臣下しんかと汝なんぢの民たみを離はなれて河かはにのみ止とゞまるべしと 12 モーセとアロンすなはちパロを離はなれて出いでモーセそのパロに至いたらしめたまひし蛙かはづのためにヱホバに呼よばはりしに 13 ヱホバ、モーセの言ことばのごとくなしたまひて蛙かはづ家いへより村むらより田野はたけより死亡しにうせたり 14 茲こゝにこれを攢あつむるに山やまをなし地ち臭くさくなりぬ 15 然しかるにパロは嘘氣いきつく時ひまあるを見みてその心こゝろを頑󠄂固かたくなにして彼等かれらに聽きくことをせざりきヱホバの言いひたまひし如ごとし

16 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは汝なんぢアロンに言いへ汝なんぢの杖つゑを伸のべ地ちの塵ちりを打うちてエジプト全󠄃國ぜんこくに蚤のみとならしめよと 17 彼等かれら斯かくなせり即すなはちアロン杖つゑをとりて手てを伸のべ地ちの塵ちりを擊うちけるに蚤のみとなりて人ひとと畜けものにつけりエジプト全󠄃國ぜんこくにおいて地ちの塵ちりみな蚤のみとなりぬ 18 法術󠄃士はふじゆつし等らその秘術󠄃ひじゆつをもて斯かくおこなひて蚤のみを出いださんとしたりしが能あたはざりき蚤のみは人ひとと畜けものに著つく 19 是こゝにおいて法術󠄃士はふじゆつし等らパロに言いふ是これは神かみの指ゆびなりと然しかるにパロは心こゝろ剛愎かたくなにして彼等かれらに聽きかざりきヱホバの言いひたまひし如ごとし

20 ヱホバ、モーセに言いひたまはく汝なんぢ朝󠄃あさ早はやく起󠄃おきてパロの前󠄃まへに立たて視みよ彼かれは水みづに臨のぞむ汝なんぢ彼かれに言いへヱホバかく言いひたまふわが民たみを去さらしめて我われに事つかふることを得えせしめよ 21 汝なんぢもしわが民たみを去さらしめずば視みよ我われ汝なんぢと汝なんぢの臣下しんかと汝なんぢの民たみと汝なんぢの家いへとに蚋あぶをおくらんエジプト人びとの家々いへ〳〵には蚋あぶ充みつべし彼かれらの居をるところの地ちも然しからん 22 その日ひに我われわが民たみの居をるゴセンの地ちを區別わかちおきて其處そこに蚋あぶあらしめじ是これ地ちの中うちにありて我われのヱホバなることを汝なんぢが知しらんためなり 23 我われわが民たみと汝なんぢの民たみの間あひだに區別わかちをたてん明日あすこの徴しるしあるべし 24 ヱホバかく爲なしたまひたれば蚋あぶおびたゞしく出いで來きたりてパロの家いへにいりその臣下しんかの家いへにいりエジプト全󠄃國ぜんこくにいたり蚋あぶのために地ち害󠄅そこなはる
 107㌻ 

25 是こゝにおいてパロ、モーセとアロンを召めしていひけるは汝等なんぢら往󠄃ゆきて國くにの中うちにて汝なんぢらの神かみに犧牲いけにへを献さゝげよ 26 モーセ言いふ然しかするは宜よろしからず我等われらはエジプト人びとの崇拜をがむ者ものを犧牲いけにへとしてわれらの神かみヱホバに献さゝぐべければなり我等われらもしエジプト人びとの崇拜をがむ者ものをその目めの前󠄃まへにて犧牲いけにへに献さゝげなば彼等かれら石いしにて我等われらを擊うたざらんや 27 我等われらは三日みつか路じほど曠野あらのにいりて我われらの神かみヱホバに犧牲いけにへを献さゝげその命めいじたまひしごとくせんとす 28 パロ言いひけるは我われ汝なんぢらを去さらしめて汝なんぢらの神かみヱホバに曠野あらのにて犧牲いけにへを献さゝぐることを得えせしめん但たゞ餘あまりに遠󠄄とほくは行ゆくべからず我わがために祈いのれよ〘83㌻〙 29 モーセ言いひけるは視みよ我われ汝なんぢをはなれて出いづ我われヱホバに祈いのらん明日あす蚋あぶパロとその臣下しんかとその民たみを離はなれん第たゞパロ再ふたゝび僞いつはりをおこなひ民たみを去さらしめてヱホバに犧牲いけにへをさゝぐるを得えせしめざるが如ごときことを爲なさざれ 30 かくてモーセ、パロをはなれて出いでヱホバに祈いのりたれば 31 ヱホバ、モーセの言ことばのごとく爲なしたまへり即すなはちその蚋あぶをパロとその臣下しんかとその民たみよりはなれしめたまふ一ひとつものこらざりき 32 然しかるにパロ此時このときにもまたその心こゝろを頑󠄂固かたくなにして民たみを去さらしめざりき

第9章

1 爰こゝにヱホバ、モーセにいひたまひけるはパロの所󠄃ところにいりてかれに吿つげよヘブル人びとの神かみヱホバ斯かくいひたまふ吾わが民たみを去さらしめて我われにつかふることをえせしめよ 2 汝なんぢもし彼等かれらをさらしむることを拒󠄃こばみて尙なほかれらを拘留おさへなば 3 ヱホバの手て野のにをる汝なんぢの家畜かちく 馬うま 驢馬ろば 駱駝らくだ 牛うし および羊ひつじに加くははらん即すなはち甚はなはだ惡あしき疾やまひあるべし 4 ヱホバ、イスラエルの家畜かちくとエジプトの家畜かちくとを別わかちたまはんイスラエルの子孫ひと〴〵に屬ぞくする者ものは死しぬる者ものあらざるべしと 5 ヱホバまた期ときをさだめて言いひたまふ明日あすヱホバこの事ことを國くにになさんと 6 明日あくるひヱホバこの事ことをなしたまひければエジプトの家畜かちくみな死しねり然されどイスラエルの子孫ひと〴〵の家畜かちくは一ひとつも死しなざりき 7 パロ人ひとをつかはして見みさしめたるにイスラエルの家畜かちくは一頭ひとつだにも死しなざりき然しかれどもパロは心こゝろ剛愎かたくなにして民たみをさらしめざりき
 108㌻ 

8 またヱホバ、モーセとアロンにいひたまひけるは汝等なんぢら竈󠄃爐かまどの灰󠄃はひを一握ひとつかみとれ而しかしてモーセ、パロの目めの前󠄃まへにて天てんにむかひて之これをまきちらすべし 9 其その灰󠄃はひエジプト全󠄃國ぜんこくに塵ちりとなりてエジプト全󠄃國ぜんこくの人ひとと畜獸けものにつき膿うみをもちて脹ふくるゝ腫物はれものとならんと 10 彼等かれらすなはち竈󠄃爐かまどの灰󠄃はひをとりてパロの前󠄃まへに立たちモーセ天てんにむかひて之これをまきちらしければ人ひとと獸畜けものにつき膿うみをもちて脹ふくるゝ腫物はれものとなれり 11 法術󠄃士はふじゆつし等らはその腫物はれもののためにモーセの前󠄃まへに立たつことを得えざりき腫物はれものは法術󠄃士はふじゆつし等らよりして諸すべてのエジプト人びとにまで生しやうじたり 12 然されどヱホバ、パロの心こゝろを剛愎かたくなにしたまひたれば彼かれらに聽きかざりきヱホバのモーセに言いひ給たまひし如ごとし

13 爰こゝにヱホバ、モーセにいひたまひけるは朝󠄃あさ早はやくおきてパロの前󠄃まへにたちて彼かれに言いへヘブル人びとの神かみヱホバ斯かくいひたまふ吾わが民たみを去さらしめて我われに事つかふるをえせしめよ〘84㌻〙 14 我われ此度このたびわが諸もろ〳〵の災害󠄅わざはひを汝なんぢの心こゝろとなんぢの臣下しんかおよびなんぢの民たみに降󠄄くだし全󠄃地ぜんちに我わがごとき者ものなきことを汝なんぢに知しらしめん 15 我われもしわが手てを伸のべ疫病えきびやうをもて汝なんぢとなんぢの民たみを擊うちたらば汝なんぢは地ちより絕たゝれしならん 16 抑そも〳〵わが汝なんぢをたてたるは即すなはちなんぢをしてわが權能ちからを見みさしめわが名なを全󠄃地ぜんちに傳つたへんためなり 17 汝なんぢなほ吾わが民たみの前󠄃まへに立たちふさがりて之これを去さらしめざるや 18 視みよ明日あすの今いま頃ごろ我われはなはだ大おほいなる雹へうを降󠄄ふらすべし是これはエジプトの開國はじめより今いままでに甞かつてあらざりし者ものなり 19 然されば人ひとをやりて汝なんぢの家畜かちくおよび凡すべて汝なんぢが野のに有󠄃もてる物ものを集あつめよ人ひとも獸畜けものも凡すべて野のにありて家いへに歸かへらざる者ものは雹へうその上うへにふりくだりて死しぬるにたらん 20 パロの臣下しんかの中うちヱホバの言ことばを畏おそるる者ものはその僕しもべと家畜かちくを家いへに逃󠄄にげいらしめしが 21 ヱホバの言ことばを意こゝろにとめざる者ものはその僕しもべと家畜かちくを野のに置おけり

22 ヱホバ、モーセにいひたまひけるは汝なんぢの手てを天てんに舒のべてエジプト全󠄃國ぜんこくに雹へうあらしめエジプトの國こく中ちうの人ひとと獸畜けものと田圃たはたの諸すべての蔬くさにふりくだらしめよと
 109㌻ 
23 モーセ天てんにむかひて杖つゑを舒のべたればヱホバ雷いかづちと雹へうを遣󠄃おくりたまふ又󠄂また火ひいでて地ちに馳はすヱホバ雹へうをエジプトの地ちに降󠄄ふらせたまふ 24 斯かく雹へうふり又󠄂また火ひの塊かたまり雹へうに雜まじりて降󠄄ふる甚はなはだ厲はげしエジプト全󠄃國ぜんこくには其その國くにを成󠄃なしてよりこのかた未いまだ斯かゝる者ものあらざりしなり 25 雹へうエジプト全󠄃國ぜんこくに於おいて人ひとと獸畜けものとをいはず凡すべて田圃たはたにをる者ものを擊うてり雹へうまた田圃たはたの諸もろ〳〵の蔬くさを擊うち野のの諸もろ〳〵の樹きを折をれり 26 唯たゞイスラエルの子孫ひと〴〵のをるゴセンの地ちには雹へうあらざりき

27 是こゝに於おいてパロ人ひとをつかはしてモーセとアロンを召めしてこれに言いひけるは我われ此度このたび罪つみををかしたりヱホバは義たゞしく我われとわが民たみは惡あし 28 ヱホバに願ねがひてこの神鳴かみなりと雹へうを最早もはやこれにて足たらしめよ我われなんぢらを去さらしめん汝等なんぢら今いまは留とゞまるにおよばず 29 モーセかれに曰いひけるは我われ邑まちより出いでて我わが手てをヱホバに舒のべひろげん然しかせば雷いかづちやみて雹へうかさねてあらざるべし斯かくして地ちはヱホバの所󠄃屬ものなるを汝なんぢにしらしめん 30 然されど我われしる汝なんぢとなんぢの臣下しんか等らはなほヱホバ神かみを畏おそれざるならんと 31 偖さて麻󠄃あさと大おほ麥むぎは擊うたれたり大おほ麥むぎは穗ほいで麻󠄃あさは花はなさきゐたればなり 32 然されど小麥こむぎと裸はだか麥むぎは未いまだ長のびざりしによりて擊うたれざりき 33 モーセ、パロをはなれて邑まちより出いでヱホバにむかひて手てをのべひろげたれば雷いかづちと雹へうやみて雨あめ地ちにふらずなりぬ 34 然しかるにパロ雨あめと雹へうと雷鳴いかづちのやみたるを見みて復またも罪つみを犯をかし其その心こゝろを剛硬󠄃かたくなにす彼かれもその臣下しんかも然しかり 35 即すなはちパロは心こゝろ剛愎かたくなにしてイスラエルの子孫ひと〴〵を去さらしめざりきヱホバのモーセによりて言いひたまひしごとし〘85㌻〙

第10章

1 爰こゝにヱホバ、モーセにいひたまひけるはパロの所󠄃ところに入いれ我われかれの心こゝろとその臣下しんかの心こゝろを剛硬󠄃かたくなにせり是こはわが此これ等らの徴しるしを彼等かれらの中うちに示しめさんため 2 又󠄂またなんぢをして吾わがエジプトにて行おこなひし事等ことどもすなはち吾わがエジプトの中うちにてなしたる徴しるしをなんぢの子ことなんぢの子この子この耳みゝに語かたらしめんためなり斯かくして汝等なんぢらわがヱホバなるを知しるべし
 110㌻ 
3 モーセとアロン、パロの所󠄃ところにいりて彼かれにいひけるはヘブル人びとの神かみヱホバかく言いひたまふ何時いつまで汝なんぢは我われに降󠄄くだることを拒󠄃こばむや我民わがたみをさらしめて我われに事つかふることをえせしめよ 4 汝なんぢもしわが民たみを去さらしむることを拒󠄃こばまば明日あす我われ蝗いなごをなんぢの境さかひに入いらしめん 5 蝗いなご地ちの面おもてを蔽おほひて人ひと地ちを見みるあたはざるべし蝗いなごかの免まぬかれてなんぢに遺󠄃のこれる者ものすなはち雹へうに打うちのこされたる者ものを食󠄃くらひ野のに汝なんぢらのために生おふる諸もろ〳〵の樹きをくらはん 6 又󠄂またなんぢの家いへとなんぢの臣下しんかの家々いへ〳〵および凡すべてのエジプト人びとの家いへに滿みつべし是これはなんぢの父󠄃ちゝとなんぢの父󠄃ちゝの父󠄃ちゝが世よにいでしより今日こんにちにいたるまで未いまだ甞かつて見みざるものなりと斯かくて彼かれ身みをめぐらしてパロの所󠄃ところよりいでたり 7 時ときにパロの臣下しんかパロにいひけるは何時いつまで此人このひとわれらの羂わなとなるや人々ひと〴〵を去さらしめてその神かみヱホバに事つかふることをえせしめよ汝なんぢなほエジプトの滅ほろぶるを知しらざるやと 8 是こゝをもてモーセとアロンふたゝび召めされてパロの許もとにいたるにパロかれらにいふ往󠄃ゆきてなんぢらの神かみヱホバに事つかへよ但たゞし往󠄃ゆく者ものは誰たれと誰たれなるや 9 モーセいひけるは我等われらは幼者わかきものをも老おいたる者ものをも子息むすこをも息女むすめをも挈󠄄たづさへて往󠄃ゆき羊ひつじをも牛うしをもたづさへて往󠄃ゆくべし其そは我われらヱホバの祭禮まつりをなさんとすればなり 10 パロかれらにいひけるは我われ汝等なんぢらとなんぢらの子等こどもを去さらしむる時ときはヱホバなんぢらと偕ともに在あれ愼つゝしめよ惡あしき事ことなんぢらの面かほのまへにあり 11 そは宜よろしからず汝なんぢら男子をとこのみ往󠄃ゆきてヱホバに事つかへよ是これなんぢらが求もとむるところなりと彼等かれらつひにパロの前󠄃まへより逐󠄃おひいださる

12 爰こゝにヱホバ、モーセにいひたまひけるは汝なんぢの手てをエジプトの地ちのうへに舒のべて蝗いなごをエジプトの國くににのぞませて彼かの雹へうが打うち殘のこしたる地ちの諸すべての蔬くさを悉こと〴〵く食󠄃くらはしめよ 13 モーセすなはちエジプトの地ちの上うへに其その杖つゑをのべければヱホバ東風ひがしかぜをおこしてその一日いちにち一夜いちや地ちにふかしめたまひしが東風ひがしかぜ朝󠄃あしたにおよびて蝗いなごを吹ふききたりて 14 蝗いなごエジプト全󠄃國ぜんこくにのぞみエジプトの四方よもの境さかひに居をりて害󠄅がいをなすこと太甚はなはだし是これより先さきには斯かくのごとき蝗いなごなかりし是これより後のちにもあらざるべし〘86㌻〙
 111㌻ 
15 蝗いなご全󠄃國ぜんこくの上うへを蔽おほひければ國くに暗󠄃くらくなりぬ而しかして蝗いなご地ちの諸すべての蔬くさおよび雹へうの打うち殘のこせし樹きの菓みを食󠄃くらひたればエジプト全󠄃國ぜんこくに於おいて樹きにも田圃たはたの蔬くさにも靑あをき者ものとてはのこらざりき 16 是こゝをもてパロ急󠄃いそぎモーセとアロンを召めして言いふ 我われなんちらの神かみヱホバと汝等なんぢらとにむかひて罪つみををかせり 17 然されば請󠄃こふ今いま一次󠄄ひとたびのみ吾わが罪つみを宥ゆるしてなんぢらの神かみヱホバに願ねがひ唯たゞ此この死しを我われより取とりはなさしめよと 18 彼かれすなはちパロの所󠄃ところより出いでてヱホバにねがひければ 19 ヱホバはなはだ强つよき西にし風かぜを吹ふきめぐらせて蝗いなごを吹ふきはらはしめ之これを紅海こうかいに驅かりいれたまひてエジプトの四方よもの境さかひに蝗いなごひとつも遺󠄃のこらざるにいたれり 20 然しかれどもヱホバ、パロの心こゝろを剛愎かたくなにしたまひたればイスラエルの子孫ひと〴〵をさらしめざりき

21 ヱホバまたモーセにいひたまひけるは天てんにむかひて汝なんぢの手てを舒のべエジプトの國くにに黑暗󠄃やみを起󠄃おこすべし其その暗󠄃黑やみは摸さぐるべきなりと 22 モーセすなはち天てんにむかひて手てを舒のべければ稠密あつき黑暗󠄃やみ三日みつかのあひだエジプト全󠄃國ぜんこくにありて 23 三日みつかの間あひだは人々ひと〴〵たがひに相あひ見みるあたはず又󠄂またおのれの處ところより起󠄃たつものなかりき然されどイスラエルの子孫ひと〴〵の居處すまひには皆みな光ひかりありき 24 是こゝに於おいてパロ、モーセを呼よびていひけるは汝等なんぢらゆきてヱホバに事つかへよ唯たゞなんぢらの羊ひつじと牛うしを留とゞめおくべし汝なんぢらの子女こどもも亦またなんぢらとともに往󠄃ゆくべし 25 モーセいひけるは汝なんぢまた我等われらの神かみヱホバに献さゝぐべき犧牲いけにへと燔祭はんさいの物ものをも我儕われらに與あたふべきなり 26 われらの家畜かちくもわれらとともに往󠄃ゆくべし一ひと蹄ひづめも後あとにのこすべからず其そは我等われらその中うちを取とりてわれらの神かみヱホバに事つかふべきが故ゆゑなりまたわれら彼處かしこにいたるまでは何なにをもてヱホバに事つかふべきかを知しらざればなりと 27 然しかれどもヱホバ、パロの心こゝろを剛愎かたくなにしたまひたればパロかれらをさらしむることを肯がへんぜざりき 28 すなはちパロ、モーセに言いふ我われをはなれて去されよ自みづから愼つゝしめ重かさねてわが面かほを見みるなかれ汝なんぢわが面かほを見みる日ひには死しぬべし
 112㌻ 
29 モーセいひけるは汝なんぢの言いふところは善よし我われ重かさねて復またなんぢの面かほを見みざるべし

第11章

1 ヱホバ、モーセにいひたまひけるは我われ今いま一箇ひとつの災わざはひをパロおよびエジプトに降󠄄くださん然しかる後のちかれ汝等なんぢらを此處こゝより去さらしむべし彼かれなんぢらを全󠄃まつたく去さらしむるには必かならず汝なんぢらを此こゝより逐󠄃おひはらはん 2 然されば汝なんぢ民たみの耳みゝにかたり男女をとこをんなをしておのおのその隣々となり〴〵に銀ぎんの飾󠄃品かざり金きんの飾󠄃具󠄄かざりを乞こはしめよと 3 ヱホバつひに民たみをしてエジプト人びとの恩めぐみを蒙かうむらしめたまふ又󠄂またその人ひとモーセはエジプトの國くににてパロの臣下しんかの目めと民たみの目めに甚はなはだ大おほいなる者ものと見みえたり〘87㌻〙

4 モーセいひけるはヱホバかく言いひたまふ夜半󠄃よなか頃ごろわれ出いでてエジプトの中なかに至いたらん 5 エジプトの國くにの中うちの長子うひごたる者ものは位くらゐに坐ざするパロの長子うひごより磨󠄃うすの後うしろにをる婢しもめの長子うひごまで悉こと〴〵く死しぬべし又󠄂また獸畜けものの首出うひごもしかり 6 而しかしてエジプト全󠄃國ぜんこくに大おほいなる號哭さけびあるべし是これまで是かくのごとき事ことはあらずまた再ふたゝび斯かゝること有󠄃あらざるべし 7 然されどイスラエルの子孫ひと〴〵にむかひては犬いぬもその舌したをうごかさじ人ひとにむかひても獸畜けものにむかひても然しかり汝等なんぢらこれによりてヱホバがエジプト人びととイスラエルのあひだに區別わかちをなしたまふを知しるべし 8 汝なんぢの此この臣しん等らみなわが許もとに下くだり來きてわれを拜はいし汝なんぢとなんぢに從したがふ民たみみな出いでよと言いはん然しかる後のちわれ出いづべしと烈はげしく怒いかりてパロの所󠄃ところより出いでたり

9 ヱホバ、モーセにいひたまひけるはパロ汝なんぢに聽きかざるべし是こゝをもて吾わがエジプトの國くにに奇蹟ふしぎをおこなふこと增ますべし 10 モーセとアロンこの諸もろ〳〵の奇蹟ふしぎをことごとくパロの前󠄃まへに行おこなひたれどもヱホバ、パロの心こゝろを剛愎かたくなにしたまひければ彼かれイスラエルの子孫ひと〴〵をその國くにより去さらしめざりき

第12章

1 ヱホバ、エジプトの國くににてモーセとアロンに吿つげていひたまひけるは 2 此この月󠄃つきを汝なんぢらの月󠄃つきの首はじめとなせ汝なんぢら是これを年としの正月󠄃しやうぐわつとなすべし 3 汝等なんぢらイスラエルの全󠄃ぜん會衆くわいしうに吿つげて言いふべし此この月󠄃つきの十日とをかに家いへの父󠄃ちゝたる者ものおのおの羔羊こひつじを取とるべし即すなはち家いへごとに一箇ひとつの羔羊こひつじを取とるべし
 113㌻ 
4 もし家族かぞく少すくなくして其その羔羊こひつじを盡つくすことあたはずばその家いへの隣となりなる人ひととともに人ひとの數󠄄かずにしたがひて之これを取とるべし各人おの〳〵の食󠄃くらふ所󠄃ところにしたがひて汝等なんぢら羔羊こひつじを計はかるべし 5 汝なんぢらの羔羊こひつじは疵きずなき當歳たうさいの牡をすなるべし汝等なんぢら綿羊ひつじあるひは山羊やぎの中うちよりこれを取とるべし 6 而しかして此この月󠄃つきの十四日じふよつかまで之これを守まもりおきイスラエルの會衆くわいしうみな薄󠄄暮ゆふぐれに之これを屠󠄃ほふり 7 その血ちをとりて其その之これを食󠄃くらふ家いへの門口かどぐちの兩旁ふたつの橛はしらと鴨居かもゐに塗ぬるべし 8 而しかして此この夜よその肉󠄁にくを火ひに炙やきて食󠄃くらひ又󠄂また酵たねいれぬパンに苦菜󠄄にがなをそへて食󠄃くらふべし 9 其それを生なまにても水みづに煮にても食󠄃くらふなかれ火ひに炙やくべし其その頭あたまと脛あしと臓腑ざうふとを皆みなくらへ 10 其それを明朝󠄃あしたまで殘のこしおくなかれ其その明朝󠄃あしたまで殘のこれる者ものは火ひにて燒やきつくすべし 11 なんぢら斯かく之これを食󠄃くらふべし即すなはち腰󠄃こしをひきからげ足あしに鞋くつを穿󠄂はき手てに杖つゑをとりて急󠄃いそぎて之これを食󠄃くらふべし是これヱホバの逾越節󠄄すぎこしなり 12 是この夜よわれエジプトの國くにを巡󠄃めぐりて人ひとと畜けものとを論いはずエジプトの國くにの中うちの長子うひごたる者ものを盡こと〴〵く擊うち殺ころし又󠄂またエジプトの諸もろ〳〵の神かみに罰ばつをかうむらせん我われはヱホバなり〘88㌻〙 13 その血ちなんぢらが居をるところの家いへにありて汝等なんぢらのために記號しるしとならん我われ血ちを見みる時ときなんぢらを逾越すぎこすべし又󠄂またわがエジプトの國くにを擊うつ時とき災わざはひなんぢらに降󠄄くだりて滅ほろぼすことなかるべし 14 汝なんぢら是この日ひを記念おぼえてヱホバの節󠄄期いはひびとなし世々よゝこれを祝いはふべし汝等なんぢら之これを常例じやうれいとなして祝いはふべし

15 七日なぬかの間あひだ酵たねいれぬパンを食󠄃くらふべしその首はじめの日ひにパン酵だねを汝等なんぢらの家いへより除のぞけ凡すべて首はじめの日ひより七日なぬかまでに酵たね入いれたるパンを食󠄃くらふ人ひとはイスラエルより絕たゝるべきなり 16 且かつ首はじめの日ひに聖󠄃せい會くわいをひらくべし又󠄂また第七日なぬかめに聖󠄃せい會くわいを汝なんぢらの中うちに開ひらけ是このふたつの日ひには何なにの業わざをもなすべからず只たゞ各人おの〳〵の食󠄃くらふ者もののみ汝等なんぢら作つくることを得うべし 17 汝なんぢら酵たねいれぬパンの節󠄄期いはひを守まもるべし其そは此この日ひに我われなんぢらの軍隊󠄄ぐんたいをエジプトの國くにより導󠄃みちびきいだせばなり故ゆゑに汝なんぢら常例じやうれいとなして世々よゝ是この日ひをまもるべし
 114㌻ 
18 正月󠄃しやうぐわつに於おいてその月󠄃つきの十四日かの晩よひより同おなじ月󠄃つきの二十一日にちの晩よひまで汝なんぢら酵たねいれぬパンを食󠄃くらへ 19 七日なぬかの間あひだなんぢらの家いへにパン酵だねをおくべからず凡すべて酵たねいれたる物ものを食󠄃くらふ人ひとは其その異邦󠄆人ことくにびとたると本國くにに生うまれし者ものたるとを問とはず皆みなイスラエルの聖󠄃せい會くわいより絕たゝるべし 20 汝なんぢら酵たねいれたる物ものは何なにをも食󠄃くらふべからず凡すべて汝なんぢらの居處すまひに於おいては酵たねいれぬパンを食󠄃くらふべし

21 是こゝに於おいてモーセ、イスラエルの長老としよりを盡こと〴〵くまねきて之これにいふ汝等なんぢらその家族かぞくに循したがひて一頭ひとつの羔羊こひつじを撿えらみ取とり之これを屠󠄃ほふりて逾越節󠄄すぎこしのために備そなへよ 22 又󠄂また牛膝草ひそぷ一束ひとたばを取とりて盂さらの血ちに濡ひたし盂さらの血ちを門かど口ぐちの鴨居かもゐおよび二旁ふたつの柱󠄃はしらにそそぐべし明朝󠄃あしたにいたるまで汝等なんぢら一人ひとりも家いへの戶とをいづるなかれ 23 其そはヱホバ、エジプトを擊うちに巡󠄃めぐりたまふ時とき鴨居かもゐと兩旁ふたつの柱󠄃はしらに血ちのあるを見みばヱホバ其その門かどを逾越すぎこし殺滅ほろぼす者ものをして汝等なんぢらの家いへに入いりて擊うたざらしめたまふべければなり 24 汝なんぢら是この事ことを例れいとなして汝なんぢとなんぢの子孫しそん永ながくこれを守まもるべし 25 汝等なんぢらヱホバがその言いひたまひし如ごとくになんぢらに與あたへたまはんところの地ちに至いたる時ときはこの禮れい式しきをまもるべし 26 若もしなんぢらの子女こどもこの禮れい式しきは何なにの意こゝろなるやと汝なんぢらに問とはば 27 汝なんぢら言いふべし是これはヱホバの逾越節󠄄すぎこしの祭祀まつりなりヱホバ、エジプト人びとを擊うちたまひし時ときエジプトにをるイスラエルの子孫ひと〴〵の家いへを逾越すぎこしてわれらの家いへを救すくひたまへりと民たみすなはち鞠かゞみて拜はいせり 28 イスラエルの子孫ひと〴〵去さりてヱホバのモーセとアロンに命めいじたまひしごとくなし斯かくおこなへり

29 爰こゝにヱホバ夜半󠄃よなかにエジプトの國くにの中うちの長子うひごたる者ものを位くらゐに坐ざするパロの長子うひごより牢獄ひとやにある俘虜とりこの長子うひごまで盡こと〴〵く擊うちたまふ亦また家畜かちくの首生うひごもしかり〘89㌻〙 30 期有󠄃かゝりしかばパロとその諸すべての臣下しんかおよびエジプト人びとみな夜よの中うちに起󠄃おきあがりエジプトに大おほいなる號哭さけびありき死し人にんあらざる家いへなかりければなり
 115㌻ 
31 パロすなはち夜よの中うちにモーセとアロンを召めしていひけるは汝なんぢらとイスラエルの子孫ひと〴〵起󠄃たちてわが民たみの中うちより出いでさり汝なんぢらがいへる如ごとくに往󠄃ゆきてヱホバに事つかへよ 32 亦またなんぢらが言いへるごとく汝なんぢらの羊ひつじと牛うしをひきて去され汝なんぢらまた我われを祝しゆくせよと 33 是こゝにおいてエジプト人びと我等われらみな死しぬると言いひて民たみを催逼󠄃せきたてて速󠄃すみやかに國くにを去さらしめんとせしかば 34 民たみ捏ねり粉󠄃この未いまだ酵たねいれざるを執とり捏こね盤ばちを衣服󠄃ころもに包󠄃つゝみて肩󠄃かたに負󠄅おふ 35 而しかしてイスラエルの子孫ひと〴〵モーセの言ことばのごとく爲なしエジプト人びとに銀ぎんの飾󠄃物かざり、金きんの飾󠄃物かざりおよび衣服󠄃きぬを乞こひたるに 36 ヱホバ、エジプト人びとをして民たみをめぐましめ彼等かれらにこれを與あたへしめたまふ斯かくかれらエジプト人びとの物ものを取とれり

37 斯かくてイスラエルの子孫ひと〴〵ラメセスよりスコテに進󠄃すゝみしが子女こどもの外ほかに徒かちにて步あゆめる男をとこ六十萬人まんにんありき 38 又󠄂また衆多おほくの寄より集あつまり人びとおよび羊ひつじ牛うし等などはなはだ多おほくの家畜かちく彼等かれらとともに上のぼれり 39 爰こゝに彼等かれらエジプトより携たづさへいでたる捏ねり粉󠄃こをもて酵たねいれぬパンを烘やけり未いまだ酵たねをいれざりければなり是これかれらエジプトより逐󠄃おひいだされて濡とゞ滯こほるを得えざりしに由より又󠄂また何なにの食󠄃糧くひものをも備そなへざりしに因よる 40 偖さてイスラエルの子孫ひと〴〵のエジプトに住󠄃居すまひしその住󠄃居すまひの間あひだは四百三十年ねんなりき 41 四百三十年ねんの終󠄃をはりにいたり即すなはち其その日ひにヱホバの軍隊󠄄ぐんたいみなエジプトの國くにより出いでたり 42 是これはヱホバが彼等かれらをエジプトの國くにより導󠄃みちびきいだしたまひし事ことのためにヱホバの前󠄃まへに守まもるべき夜よなり是これはヱホバの夜よにしてイスラエルの子孫ひと〴〵が皆みな世々よゝまもるべき者ものなり

43 ヱホバ、モーセとアロンに言いひたまひけるは逾越節󠄄すぎこしの例れいは是かくのごとし異邦󠄆人ことくにびとはこれを食󠄃くらふべからず 44 但たゞし各人おの〳〵の金かねにて買かひたる僕しもべは割󠄅禮かつれいを施ほどこして然しかる後のち是これを食󠄃くらはしむべし 45 外國ことくにの客かくおよび傭人やとひびとは之これを食󠄃くらふべからず 46 一ひとつの家いへにてこれを食󠄃くらふべしその肉󠄁にくを少すこしも家いへの外そとに持もちいづるなかれ又󠄂また其その骨ほねを折をるべからず 47 イスラエルの會衆くわいしうみな之これを守まもるべし
 116㌻ 
48 異邦󠄆人ことくにびとなんぢとともに寄居やどりてヱホバの逾越節󠄄すぎこしを守まもらんとせば其その男をとこ悉こと〴〵く割󠄅禮かつれいを受うけて然しかる後のちに近󠄃ちかよりて守まもるべし即すなはち彼かれは國くにに生うまれたる者もののごとくなるべし割󠄅禮かつれいをうけざる人ひとはこれを食󠄃くらふべからざるなり 49 國くにに生うまれたる者ものにもまた汝なんぢらの中うちに寄居やどれる異邦󠄆人ことくにびとにも此この法おきては同一ひとつなり〘90㌻〙 50 イスラエルの子孫ひと〴〵みな斯かくおこなひヱホバのモーセとアロンに命めいじたまひしごとく爲なしたり 51 その同おなじ日ひにヱホバ、イスラエルの子孫ひと〴〵をその軍隊󠄄ぐんたいにしたがひてエジプトの國くにより導󠄃みちびきいだしたまへり

第13章

1 爰こゝにヱホバ、モーセに吿つげていひたまひけるは 2 人ひとと畜けものとを論いはず凡すべてイスラエルの子孫ひと〴〵の中うちの始はじめて生うまれたる首生うひごをば皆みな聖󠄃別きよめて我われに歸きせしむべし是これわが所󠄃屬ものなればなり

3 モーセ民たみにいひけるは汝等なんぢらエジプトを出いで奴隸どれいたる家いへを出いづるこの日ひを誌おぼえよヱホバ能ちからある手てをもて汝等なんぢらを此こゝより導󠄃みちびきいだしたまへばなり酵たねいれたるパンを食󠄃くらふべからず 4 アビブの月󠄃つきの此この日ひなんぢら出いづ 5 ヱホバ汝なんぢを導󠄃みちびきてカナン人びとヘテ人びとアモリ人びとヒビ人びとエブス人びとの地ちすなはちその汝なんぢにあたへんと汝なんぢの先祖せんぞたちに誓ちかひたまひし彼かの乳󠄃ちゝと蜜みつの流ながるゝ地ちに至いたらしめたまはん時ときなんぢ此この月󠄃つきに是この禮れい式しきを守まもるべし 6 七日なぬかの間あひだなんぢ酵たねいれぬパンを食󠄃くらひ第七日なぬかめにヱホバの節󠄄筵いはひをなすべし 7 酵たねいれぬパンを七日なぬかくらふべし酵たねいれたるパンを汝なんぢの所󠄃ところにおくなかれ又󠄂また汝なんぢの境さかひの中うちにて汝なんぢの許もとにパン酵だねをおくなかれ 8 汝なんぢその日ひに汝なんぢの子こに示しめして言いふべし是これは吾わがエジプトより出いづる時ときにヱホバの我われに爲なしたまひし事ことのためなりと 9 斯かく是これをなんぢの手てにおきて記號しるしとなし汝なんぢの目めの間あひだにおきて記號おぼえとなしてヱホバの法律おきてを汝なんぢの口くちに在あらしむべし其そはヱホバ能ちからある手てをもて汝なんぢをエジプトより導󠄃みちびきいだしたまへばなり
 117㌻ 
10 是故このゆえに年々とし〴〵その期きにいたりてこの例れいをまもるべし

11 ヱホバ汝なんぢとなんぢの先祖せんぞ等たちに誓ちかひたまひしごとく汝なんぢをカナン人びとの地ちにみちびきて之これを汝なんぢに與あたへたまはん時とき 12 汝なんぢ凡すべて始はじめて生うまれたる者もの及および汝なんぢの有󠄃もてる畜けものの初生うひごを悉こと〴〵く分󠄃わかちてヱホバに歸きせしむべし男牡をとこはヱホバの所󠄃屬ものなるべし 13 又󠄂また驢馬ろばの初子うひごは皆みな羔羊こひつじをもて贖あがなふべしもし贖あがなはずばその頸くびを折をるべし汝なんぢの子等こどもの中うちの長子うひごなる人ひとはみな贖あがなふべし 14 後のちに汝なんぢの子こ汝なんぢに問とふて是これは何なになると言いはばこれに言いふべしヱホバ能ちからある手てをもて我等われらをエジプトより出いだし奴隸どれいたりし家いへより出いだしたまへり 15 當時そのときパロ剛愎かたくなにして我等われらを去さらしめざりしかばヱホバ、エジプトの國くにの中うちの長子うひごたる者ものを人ひとの長子うひごより畜けものの初生うひごまで盡こと〴〵く殺ころしたまへり是故このゆえに始はじめて生うまれし牡をすを盡こと〴〵くヱホバに犧牲いけにへに獻さゝぐ但たゞしわが子等こどもの中うちの長子うひごは之これを贖あがなふなり 16 是これをなんぢの手てにおきて號しるしとなし汝なんぢの目めの間あひだにおきて誌おぼえとなすべしヱホバ能ちからある手てをもて我等われらをエジプトより導󠄃みちびきいだしたまひたればなりと〘91㌻〙

17 偖さてパロ民たみをさらしめし時ときペリシテ人びとの地ちは近󠄃ちかかりけれども神かみ彼等かれらをみちびきて其その地ちを通󠄃とほりたまはざりき其そは民たみ戰爭いくさを見みば悔くいてエジプトに歸かへるならんと神かみおもひたまひたればなり 18 神かみ紅海こうかいの曠野あらのの道󠄃みちより民たみを導󠄃みちびきたまふイスラエルの子孫ひと〴〵行伍くみをたてゝエジプトの國くにより出いづ 19 其時そのときモーセはヨセフの骨ほねを携たづさふ是こはヨセフ神かみかならず汝なんぢらを眷かへりみたまふべければ汝なんぢらわが骨ほねを此こゝより携たづさへ出いづべしといひてイスラエルの子孫ひと〴〵を固かたく誓ちかはせたればなり 20 斯かくてかれらスコテより進󠄃すゝみて曠野あらのの端はしなるエタム幕張まくはりす 21 ヱホバかれらの前󠄃さきに往󠄃ゆきたまひ晝ひるは雲くもの柱󠄃はしらをもてかれらを導󠄃みちびき夜よるは火ひの柱󠄃はしらをもて彼かれらを照てらして晝夜よるひる往󠄃ゆきすゝましめたまふ 22 民たみの前󠄃まへに晝ひるは雲くもの柱󠄃はしらを除のぞきたまはず夜よるは火ひの柱󠄃はしらをのぞきたまはず
 118㌻ 

第14章

1 茲こゝにヱホバ、モーセに吿つげていひ給たまひけるは 2 イスラエルの子孫ひと〴〵に言いひて轉回めぐりてミグドルと海うみの間あひだなるピハヒロテの前󠄃まへにあたりてバアルゼポンの前󠄃まへに幕まくを張はらしめよ其それにむかひて海うみの傍かたはらに幕まくを張はるべし 3 パロ、イスラエルの子孫ひと〴〵の事ことをかたりて彼等かれらはその地ちに迷󠄃まよひをりて曠野あらのに閉とぢこめられたるならんといふべければなり 4 我われパロの心こゝろを剛愎かたくなにすべければパロ彼等かれらの後あとを追󠄃おはん我われパロとその凡すべての軍勢ぐんぜいに由よりて譽ほまれを得えエジプト人びとをして吾わがヱホバなるを知しらしめんと彼等かれらすなはち斯かくなせり 5 茲こゝに民たみの逃󠄄にげさりたることエジプト王わうに聞きこえければパロとその臣下しんか等ら民たみの事ことにつきて心こゝろを變へんじて言いふ我等われら何などて斯かくイスラエルを去さらしめて我われに事つかへざらしむるがごとき事ことをなしたるやと 6 パロすなはちその車くるまを備そなへ民たみを將ゐて己おのれにしたがはしめ 7 撰えり拔ぬきの戰車いくさぐるま六百兩りやうにエジプトの諸すべての戰車いくさぐるまおよび其その諸すべての軍長かしら等たちを率󠄃ひきゐたり 8 ヱホバ、エジプト王わうパロの心こゝろを剛愎かたくなにしたまひたれば彼かれイスラエルの子孫ひと〴〵の後あとを追󠄃おふイスラエルの子孫ひと〴〵は高たからかなる手てによりて出いでしなり 9 エジプト人びと等らパロの馬むま、車くるまおよびその騎兵きへいと軍勢ぐんぜい彼等かれらの後あとを追󠄃おふてそのバアルゼポンの前󠄃まへなるピハヒロテの邊󠄎ほとりにて海うみの傍かたはらに幕まくを張はれるに追󠄃おひつけり

10 パロの近󠄃ちかよりし時ときイスラエルの子孫ひと〴〵目めをあげて視みしにエジプト人びと己おのれの後うしろに進󠄃すゝみ來きたりしかば痛いたく懼おそれたり是こゝに於おいてイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバに呼號よばはり 11 且かつモーセに言いひけるはエジプトに墓はかのあらざるがために汝なんぢわれらをたづさへいだして曠野あらのに死しなしむるや何故なにゆゑに汝なんぢわれらをエジプトより導󠄃みちびき出いだして斯かく我われらに爲なすや 12 我等われらがエジプトにて汝なんぢに吿つげて我儕われらを棄すておき我われらをしてエジプト人びとに事つかへしめよと言いひし言ことばは是これならずや其そは曠野あらのにて死しぬるよりもエジプト人びとに事つかふるは善よければなり〘92㌻〙 13 モーセ民たみにいひけるは汝なんぢら懼おそるゝなかれ立たちてヱホバが今日けふ汝等なんぢらのために爲なしたまはんところの救すくひを見みよ汝なんぢらが今日けふ見みたるエジプト人びとをば汝なんぢらかさねて復またこれを見みること絕たえてなかるべきなり
 119㌻ 
14 ヱホバ汝等なんぢらのために戰たゝかひたまはん汝等なんぢらは靜しづまりて居をるべし

15 時ときにヱホバ、モーセにいひたまひけるは汝なんぢなんぞ我われに呼よばはるやイスラエルの子孫ひと〴〵に言いひて進󠄃すゝみゆかしめよ 16 汝なんぢ杖つゑを擧あげ手てを海うみの上うへに伸のべて之これを分󠄃わかちイスラエルの子孫ひと〴〵をして海うみの中なかの乾かはける所󠄃ところを往󠄃ゆかしめよ 17 我われエジプト人びとの心こゝろを剛愎かたくなにすべければ彼等かれらその後あとにしたがひて入いるべし我われかくしてパロとその諸すべての軍勢ぐんぜいおよびその戰車いくさぐるまと騎兵きへいに囚よりて榮譽ほまれを得えん 18 我わがパロとその戰車いくさぐるまと騎兵きへいとによりて榮譽ほまれをえん時ときエジプト人びとは我われのヱホバなるを知しらん 19 爰こゝにイスラエルの陣ぢん營えいの前󠄃まへに行ゆける神かみの使󠄃者つかひ移うつりてその後うしろに行ゆけり即すなはち雲くもの柱󠄃はしらその前󠄃面まへをはなれて後うしろに立たち 20 エジプト人びとの陣ぢん營えいとイスラエル人びとの陣ぢん營えいの間あひだに至いたりけるが彼かれがためには雲くもとなり暗󠄃やみとなり是これがためには夜よを照てらせり是これをもて彼かれと是これと夜よの中うちに相あひ近󠄃ちかづかざりき

21 モーセ手てを海うみの上うへに伸のべければヱホバ終󠄃夜よもすがら强つよき東風ひがしかぜをもて海うみを退󠄃しりぞかしめ海うみを陸地くがとなしたまひて水みづ遂󠄅つひに分󠄃わかれたり 22 イスラエルの子孫ひと〴〵海うみの中なかの乾かわける所󠄃ところを行ゆくに水みづは彼等かれらの右左みぎひだりに墻かきとなれり 23 エジプト人びと等らパロの馬車むまくるま 騎兵きへいみなその後あとにしたがひて海うみの中なかに入いる 24 曉あかつきにヱホバ火ひと雲くもとの柱󠄃はしらの中うちよりエジプト人びとの軍勢ぐんぜいを望󠄇のぞみエジプト人びとの軍勢ぐんぜいを惱なやまし 25 其その車くるまの輪わを脫はづして行ゆくに重おもくならしめたまひければエジプト人びと言いふ我儕われらイスラエルを離はなれて逃󠄄にげん其そはヱホバかれらのためにエジプト人びとと戰たゝかへばなりと

26 時ときにヱホバ、モーセに言いひたまひける汝なんぢの手てを海うみの上うへに伸のべて水みづをエジプト人びととその戰車いくさぐるまと騎兵きへいの上うへに流ながれ反かへらしめよと
 120㌻ 
27 モーセすなはち手てを海うみの上うへに伸のべけるに夜明よあけにおよびて海うみ本もとの勢力いきほひにかへりたればエジプト人びと之これに逆󠄃むかひて逃󠄄にげたりしがヱホバ、エジプト人びとを海うみの中なかに擲なげうちたまへり 28 即すなはち水みづ流ながれ反かへりて戰車いくさぐるまと騎兵きへいを覆󠄄おほひイスラエルの後あとにしたがひて海うみにいりしパロの軍勢ぐんぜいを悉こと〴〵く覆󠄄おほへり一人ひとりも遺󠄃のこれる者ものあらざりき 29 然されどイスラエルの子孫ひと〴〵は海うみの中なかの乾かわける所󠄃ところを步あゆみしが水みづはその右左みぎひだりに墻かきとなれり 30 斯かくヱホバこの日ひイスラエルをエジプト人びとの手てより救すくひたまへりイスラエルはエジプト人びとが海邊󠄎うみべに死しにをるを見みたり〘93㌻〙 31 イスラエルまたヱホバがエジプト人びとに爲なしたまひし大おほいなる事わざを見みたり是こゝに於おいて民たみヱホバを畏おそれヱホバとその僕しもべモーセを信しんじたり

第15章

1 是こゝに於おいてモーセおよびイスラエルの子孫ひと〴〵この歌うたをヱホバに謠うたふ云いはく我われヱホバを歌うたひ頌󠄃ほめん彼かれは高たからかに高たかくいますなり彼かれは馬むまとその乘者のりてを海うみになげうちたまへり 2 わが力ちからわが歌うたはヱホバなり彼かれはわが救拯すくひとなりたまへり彼かれはわが神かみなり我われこれを頌󠄃美たゝへん彼かれはわが父󠄃ちゝの神かみなり我われこれを崇あがめん 3 ヱホバは軍人いくさびとにして其その名なはヱホバなり 4 彼かれパロの戰車いくさぐるまとその軍勢ぐんぜいを海うみに投なげすてたまふパロの勝󠄃すぐれたる軍長かしら等たちは紅海こうかいに沈しづめり 5 大水おほみづかれらを掩おほひて彼等かれら石いしのごとくに淵ふちの底そこに下くだる 6 ヱホバよ汝なんぢの右みぎの手ては力ちからをもて榮光さかえをあらはすヱホバよ汝なんぢの右みぎの手ては敵てきを碎くだく 7 汝なんぢの大おほいなる榮光さかえをもて汝なんぢは汝なんぢにたち逆󠄃さからふ者ものを滅ほろぼしたまふ汝なんぢ怒いかりを發はつすれば彼等かれらは藁わらのごとくに焚やきつくさる 8 汝なんぢの鼻はなの息いきによりて水みづ積つみかさなり浪なみ堅かたく立たちて岸きしのごとくに成󠄃なり大水おほみづ海うみの中うちに凝こる 9 敵あたは言いふ我われ追󠄃おふて追󠄃おひつき掠取物ぶんどりものを分󠄃わかたん我われかれらに因よりてわが心こゝろを飽󠄄あかしめん我われ劍つるぎを拔ぬかんわが手てかれらを亡ほろぼさんと 10 汝なんぢ氣きを吹ふきたまへば海うみかれらを覆󠄄おほひて彼等かれらは猛烈はげしき水みづに鉛󠄅なまりのごとくに沈しづめり
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11 ヱホバよ神かみの中うちに誰たれか汝なんぢに如しくものあらん誰たれか汝なんぢのごとく聖󠄃きよくして榮さかえあり讃たゝふべくして威󠄂ゐありて奇事ふしぎを行おこなふ者ものあらんや 12 汝なんぢその右みぎの手てを伸のべたまへば地ちかれらを呑のむ 13 汝なんぢはその贖あがなひし民たみを恩惠めぐみをもて導󠄃みちびき汝なんぢの力ちからをもて彼等かれらを汝なんぢの聖󠄃きよき居所󠄃すみかに引ひきたまふ 14 國々くに〴〵の民たみ聞きゝて慄ふるへペリシテに住󠄃すむ者もの畏懼おそれを懷いだく 15 エドムの君等きみたち駭おどろきモアブの剛者つよきもの戰慄をのゝくカナンに住󠄃すめる者ものみな消󠄃きえうせん 16 畏懼おそれと戰慄をのゝきかれらに及およぶ汝なんぢの腕うでの大おほいなるがために彼かれらは石いしのごとくに默然もくねんたりヱホバよ汝なんぢの民たみの通󠄃とほり過󠄃すぐるまで汝なんぢの買かひたまひし民たみの通󠄃とほり過󠄃すぐるまで然しかるべし 17 汝なんぢ民たみを導󠄃みちびきてこれを汝なんぢの產業さんげふの山やまに植うゑたまはんヱホバよ是これすなはち汝なんぢの居所󠄃すみかとせんとて汝なんぢの設まうけたまひし者ものなり主しゆよ是これ汝なんぢの手ての建󠄄たてたる聖󠄃所󠄃きよきところなり 18 ヱホバは世々よゝ限かぎりなく王わうたるべし

19 斯かくパロの馬うまその車くるまおよび騎兵きへいとともに海うみにいりしにヱホバ海うみの水みづを彼等かれらの上うへに流ながれ還󠄃かへらしめたまひしがイスラエルの子孫ひと〴〵は海うみの中なかにありて旱地かわけるちを通󠄃とほれり 20 時ときにアロンの姉あねなる預言者よげんしやミリアム鼗つづみを手てにとるに婦󠄃をんな等たちみな彼かれにしたがひて出いで鼗つづみをとり且かつ踴をどる〘94㌻〙 21 ミリアムすなはち彼等かれらに和こたへて言いふ汝等なんぢらヱホバを歌うたひ頌󠄃ほめよ彼かれは高たからかに高たかくいますなり彼かれは馬むまとその乘者のりてを海うみに擲なげうちたまへりと

22 斯かくてモーセ紅海こうかいよりイスラエルを導󠄃みちびきてシユルの曠野あらのにいり曠野あらのに三日みつか步あゆみたりしが水みづを得えざりき 23 彼かれら遂󠄅つひにメラにいたりしがメラの水みづ苦にがくして飮のむことを得えざりき是こゝをもて其その名なはメラ(苦にがし)と呼よばる 24 是こゝに於おいて民たみモーセにむかひて呟つぶやき我儕われら何なにを飮のまんかと言いひければ
 122㌻ 
25 モーセ、ヱホバに呼よばはりしにヱホバこれに一本ひとつの木きを示しめしたまひたれば即すなはちこれを水みづに投なげいれしに水みづ甘あまくなれり彼處かしこにてヱホバ民たみのために法度のりと法律おきてをたてたまひ彼處かしこにてこれを試こゝろみて 26 言いひたまはく汝なんぢもし善よく汝なんぢの神かみヱホバの聲こゑに聽きゝしたがひヱホバの目めに善よしと見みゆることを爲なしその誡命いましめに耳みゝを傾かたむけその諸すべての法度のりを守まもらば我われわがエジプト人びとに加くはへしところのその疾病やまひを一ひとつも汝なんぢに加くはへざるべし其そは我われはヱホバにして汝なんぢを醫いやす者ものなればなりと

27 斯かくて彼等かれらエリムに至いたれり其處そこに水みづの井ゐど十二棕櫚しゆろ七十本ぽんあり彼處かしこにて彼等かれら水みづの傍かたはらに幕まく張ばりす

第16章

1 斯かくてエリムを出いでたちてイスラエルの子孫ひと〴〵の會衆くわいしうそのエジプトの地ちを出いでしより二箇月󠄃ふたつきめの十五日にちに皆みなエリムとシナイの間あひだなるシンの曠野あらのにいたりけるが 2 其その曠野あらのにおいてイスラエルの全󠄃ぜん會衆くわいしうモーセとアロンに向むかひて呟つぶやけり 3 即すなはちイスラエルの子孫ひと〴〵かれらに言いひけるは我儕われらエジプトの地ちに於おいて肉󠄁にくの鍋なべの側そばに坐すわり飽󠄄あくまでにパンを食󠄃くらひし時ときにヱホバの手てによりて死しにたらば善よかりし者ものを汝等なんぢらはこの曠野あらのに我等われらを導󠄃みちびきいだしてこの全󠄃ぜん會くわいを饑󠄃うゑに死しなしめんとするなり

4 時ときにヱホバ、モーセに言いひたまひけるは視みよ我われパンを汝なんぢらのために天てんより降󠄄ふらさん民たみいでて日にち用ようの分󠄃ぶんを每日まいにち斂あつむべし斯かくして我われかれらが吾われの法律おきてにしたがふや否いなを試こゝろみん 5 第六日むいかめには彼等かれらその取とりいれたる者ものを調󠄃理とゝのふべし其それは日々ひびに斂あつむる者ものの二倍ばいなるべし 6 モーセとアロン、イスラエルの全󠄃すべての子孫ひと〴〵に言いひけるは夕ゆふべにいたらば汝等なんぢらはヱホバが汝なんぢらをエジプトの地ちより導󠄃みちびきいだしたまひしなるを知しるにいたらん 7 又󠄂また朝󠄃あしたにいたらば汝等なんぢらヱホバの榮光さかえを見みん其そはヱホバなんぢらがヱホバに向むかひて呟つぶやくを聞きゝたまへばなり我等われらを誰たれとなして汝等なんぢらは我儕われらに向むかひて呟つぶやくや
 123㌻ 
8 モーセまた言いひけるはヱホバ夕ゆふべには汝等なんぢらに肉󠄁にくを與あたへて食󠄃くらはしめ朝󠄃あしたにはパンをあたへて飽󠄄あかしめたまはん其そはヱホバ己おのれにむかひて汝等なんぢらが呟つぶやくところの怨言つぶやきを聞きゝ給たまへばなり我儕われらを誰たれと爲なすや汝等なんぢらの怨言つぶやきは我等われらにむかひてするに非あらずヱホバにむかひてするなり〘95㌻〙 9 モーセ、アロンに言いひけるはイスラエルの子孫ひと〴〵の全󠄃ぜん會衆くわいしうに言いへ汝等なんぢらヱホバの前󠄃まへに近󠄃ちかよれヱホバなんぢらの怨言つぶやきを聞きゝ給たまへりと 10 アロンすなはちイスラエルの子孫ひと〴〵の全󠄃ぜん會衆くわいしうに語つげしかば彼等かれら曠野あらのを望󠄇のぞむにヱホバの榮光さかえ雲くもの中うちに顯あらはる 11 ヱホバ、モーセに吿つげて言いひたまひけるは 12 我われイスラエルの子孫ひと〴〵の怨言つぶやきを聞きけり彼等かれらに吿つげて言いへ汝等なんぢら夕ゆふべには肉󠄁にくを食󠄃くらひ朝󠄃あしたにはパンに飽󠄄あくべし而しかして我われのヱホバにして汝等なんぢらの神かみなることを知しるにいたらんと

13 即すなはち夕ゆふべにおよびて鶉うづらきたりて營えいを覆󠄄おほふ又󠄂また朝󠄃あしたにおよびて露つゆ營えいの四圍󠄃まはりにおきしが 14 そのおける露つゆ乾かわくにあたりて曠野あらのの表おもてに霜しものごとき小ちひさき圓まろき者もの地ちにあり 15 イスラエルの子孫ひと〴〵これを見みて此これは何なにぞやと互たがひに言いふ其そはその何なにたるを知しらざればなりモーセかれらに言いひけるは是これはヱホバが汝等なんぢらの食󠄃しよくにあたへたまふパンなり 16 ヱホバの命めいじたまふところの事ことは是これなり即すなはち各おの〳〵その食󠄃くらふところに循したがひて之これを斂あつめ汝等なんぢらの人ひと數󠄄かずにしたがひて一人ひとりに一オメルを取とれ各人おの〳〵その天てん幕まくにをる者等ものどものためにこれを取とるべし 17 イスラエルの子孫ひと〴〵かくなせしに其その斂あつむるところに多おほきと少すくなきとありしが 18 オメルをもてこれを量はかるに多おほく斂あつめし者ものにも餘あまるところ無なく少すくなく斂あつめし者ものにも足たらぬところ無なかりき皆みなその食󠄃くらふところに循したがひてこれを斂あつめたり 19 モーセ彼等かれらに誰たれも朝󠄃あしたまでこれを殘のこしおく可べからずと言いへり 20 然しかるに彼等かれらモーセに聽きゝしたがはずして或ある者ものはこれを朝󠄃あしたまで殘のこしたりしが蟲むしたかりて臭くさくなりぬモーセこれを怒いかる
 124㌻ 

21 人々ひと〴〵各おの〳〵その食󠄃くらふところに循したがひて朝󠄃あさ每ごとに之これを斂あつめしが日ひ熱あつくなれば消󠄃きゆ 22 第六日むいかめにいたりて人々ひと〴〵二倍ばいのパンを斂あつめたり即すなはち一人ひとりに二オメルを斂あつむるに會衆くわいしうの長かしら皆みなきたりて之これをモーセに吿つぐ 23 モーセかれらに言いふヱホバの言いひたまふところ是かくのごとし明日あすはヱホバの聖󠄃せい安息日あんそくにちにして休息やすみなり今日けふ汝等なんぢら烤󠄂やかんとする者ものを烤󠄂やき煮にんとする者ものを煮によ其その殘のこれる者ものは皆みな明朝󠄃あしたまで藏をさめおくべし 24 彼等かれらモーセの命めいぜしごとくに翌󠄃朝󠄃あしたまで藏をさめおきしが臭くさくなること無なく又󠄂また蟲むしもその中うちに生しやうぜざりき 25 モーセ言いふ汝等なんぢら今日けふ其それを食󠄃くらへ今日けふはヱホバの安息日あんそくにちなれば今日けふは汝等なんぢらこれを野のに獲えざるべし 26 六日むいかの間あひだ汝等なんぢらこれを斂あつむべし第七日なぬかは安息日あんそくにちなればその日ひには有󠄃あらざるべし〘96㌻〙 27 然しかるに民たみの中うちに七日なぬかに出いでて斂あつめんとせし者ものありしが得うるところ無なかりき 28 是こゝに於おいてヱホバ、モーセに言いひたまひけるは何時いつまで汝等なんぢらは吾わが誡命いましめとわが律法おきてをまもることをせざるや 29 汝等なんぢら視みよヱホバなんぢらに安息日あんそくにちを賜たまへり故ゆゑに第六日むいかめに二日ふつかの食󠄃物しよくもつを汝等なんぢらにあたへたまふなり汝等なんぢらおのおのその處ところに休やすみをれ第七日なぬかにはその處ところより出いづる者ものあるべからず 30 是かく民たみ第七日なぬかに休息やすめり

31 イスラエルの家いへその物ものの名なをマナと稱󠄄よべり是これは莞いはきの實みのごとくにして白しろく其その味あじはひは蜜みつをいれたる菓くわ子しのごとし 32 モーセ言いふヱホバの命めいじたまふところ是かくのごとし是これを一オメル盛󠄃もりて汝等なんぢらの代々よゝの子孫しそんのためにたくはへおくべし是こはわが汝等なんぢらをエジプトの地ちより導󠄃みちびきいだせし時ときに曠野あらのにて汝等なんぢらを養󠄄やしなひしところのパンを之これに見みさしめんためなり 33 而しかしてモーセ、アロンに言いひけるは壺つぼを取とりてその中うちにマナ一オメルを盛󠄃もりてこれをヱホバの前󠄃まへにおき汝等なんぢらの代々よゝの子孫しそんのためにたくはふべし 34 ヱホバのモーセに命めいじたまひし如ごとくにアロンこれを律法おきての前󠄃まへにおきてたくはふ 35 イスラエルの子孫ひと〴〵は人ひとの住󠄃すめる地ちに至いたるまで四十年ねんが間あひだマナを食󠄃くらへり即すなはちカナンの地ちの境さかひにいたるまでマナを食󠄃くらへり
 125㌻ 
36 オメルはエパの十分󠄃ぶんの一なり

第17章

1 イスラエルの子孫ひと〴〵の會衆くわいしうヱホバの命めいにしたがひて皆みなシンの曠野あらのを立たち出いで旅󠄃たび路ぢをかさねてレピデムに幕まく張ばりせしが民たみの飮のむ水みづあらざりき 2 是こゝをもて民たみモーセと爭あらそひて言いふ我儕われらに水みづをあたへて飮のましめよモーセかれらに言いひけるは汝なんぢら何なんぞ我われとあらそふや何なんぞヱホバを試こゝろむるや 3 彼處かしこにて民たみ水みづに渇かわき民たみモーセにむかひて呟つぶやき言いふ汝なんぢなどて我等われらをエジプトより導󠄃みちびきいだして我等われらとわれらの子女こどもとわれらの家畜かちくを渇かわきに死しなしめんとするや 4 是こゝに於おいてモーセ、ヱホバに呼よばはりて言いふ我われこの民たみに何なにをなすべきや彼等かれらは殆ほとんど我われを石いしにて擊うたんとするなり 5 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは汝なんぢ民たみの前󠄃まへに進󠄃すゝみ民たみの中うちの或ある長老等としよりたちを伴󠄃ともなひかの汝なんぢが河かはを擊うちし杖つゑを手てに執とりて往󠄃ゆけよ 6 視みよ我われそこにて汝なんぢの前󠄃まへにあたりてホレブの磐いはの上うへに立たゝん汝なんぢ磐いはを擊うつべし然しかせば其それより水みづ出いでん民たみこれを飮のむべしモーセすなはちイスラエルの長老等としよりたちの前󠄃まへにて斯かくおこなへり 7 かくて彼かれその處ところの名なをマッサと呼よび又󠄂またメリバと呼よべり是こはイスラエルの子孫ひと〴〵の爭あらそひしに由より又󠄂またそのヱホバはわれらの中うちに在いますや否いなと言いひてヱホバを試こゝろみしに由よるなり〘97㌻〙

8 時ときにアマレクきたりてイスラエルとレピデムに戰たゝかふ 9 モーセ、ヨシユアに言いひけるは我等われらのために人ひとを擇えらみ出いでてアマレクと戰たゝかへ明日あす我われ神かみの杖つゑを手てにとりて岡をかの嶺いたゞきに立たゝん 10 ヨシユアすなはちモーセの己おのれに言いひしごとくに爲なしアマレクと戰たゝかふモーセ、アロンおよびホルは岡をかの嶺いたゞきに登のぼりしが 11 モーセ手てを擧あげをればイスラエル勝󠄃かち手てを垂たるればアマレク勝󠄃かてり 12 然しかるにモーセの手て重おもくなりたればアロンとホル石いしをとりてモーセの下したにおきてその上うへに坐ざせしめ一人ひとりは此方こなた一人ひとりは彼方かなたにありてモーセの手てを支󠄂さゝへたりしかばその手て日ひの沒いりまで垂下さがらざりき 13 是こゝにおいてヨシユア刃󠄃やいばをもてアマレクとその民たみを敗やぶれり
 126㌻ 
14 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは之これを書しよに筆しるして記念おぼえとなしヨシユアの耳みゝにこれをいれよ我われ必かならずアマレクの名なを塗抹けしさりて天てん下かにこれを誌おぼゆること无なからしめんと 15 斯かくてモーセ一座ひとつの壇だんを築きづきその名なをヱホバニシ(ヱホバ吾わが旗はた)と稱󠄄となふ 16 モーセ云いひけらくヱホバの寳位くらゐにむかひて手てを擧あぐることありヱホバ世々よゝアマレクと戰たゝかひたまはん

第18章

1 茲こゝにモーセの外舅しうとなるミデアンの祭司さいしヱテロ神かみが凡すべてモーセのため又󠄂またその民たみイスラエルのために爲なしたまひし事ことヱホバがイスラエルをエジプトより導󠄃みちびき出いだしたまひし事ことを聞きけり 2 是こゝに於おいてモーセの外舅しうとヱテロかの遣󠄃おくり還󠄃かへされてありしモーセの妻つまチッポラとその二人ふたりの子こを挈󠄄たづさへ來きたる 3 その子この一人ひとりの名なはゲルシヨムと云いふ是こはモーセ我われ他國たこくに客かくとなりをると言いひたればなり 4 今いま一人ひとりの名なはエリエゼルと曰いふ是こはかれ吾わが父󠄃ちゝの神かみわれを助たすけ我われを救すくひてパロの劍つるぎを免まぬかれしめたまふと言いひたればなり 5 斯かくモーセの外舅しうとヱテロ、モーセの子等こどもと妻つまをつれて曠野あらのに來きたりモーセが神かみの山やまに陣ぢんを張はれる處ところにいたる 6 彼かれすなはちモーセに言いひけるは汝なんぢの外舅しうとなる我われヱテロ汝なんぢの妻つまおよび之これと供ともなるその二人ふたりの子こをたづさへて汝なんぢに詣いたると 7 モーセ出いでてその外舅しうとを迎󠄃むかへ禮れいをなして之これに接吻くちつけし互たがひに其その安否あんぴを問とふて共ともに天てん幕まくに入いる 8 而しかしてモーセ、ヱホバがイスラエルのためにパロとエジプト人びととに爲なしたまひし諸もろ〳〵の事ことと途󠄃みちにて遇󠄃あひし諸もろ〳〵の艱難かんなんおよびヱホバの己おのれ等らを拯すくひたまひし事ことをその外舅しうとに語かたりければ 9 ヱテロ、ヱホバがイスラエルをエジプト人びとの手てより救すくひいだして之これに諸もろ〳〵の恩典めぐみをたまひし事ことを喜よろこべり 10 ヱテロすなはち言いひけるはヱホバは頌󠄃ほむべき哉かな汝等なんぢらをエジプト人びとの手てとパロの手てより救すくひいだし民たみをエジプト人びとの手ての下したより拯すくひいだせり〘98㌻〙
 127㌻ 
11 今いま我われ知しるヱホバは諸もろ〳〵の神かみよりも大おほいなり彼等かれら傲慢がうまんを逞󠄄たくましうして事ことをなせしがヱホバかれらに勝󠄃かてりと 12 而しかしてモーセの外舅しうとヱテロ燔祭はんさいと犧牲いけにへをヱホバに持もちきたれりアロンおよびイスラエルの長老等としよりたち皆みなきたりてモーセの外舅しうととともに神かみの前󠄃まへに食󠄃しよくをなす

13 次󠄄つぎの日ひにいたりてモーセ坐ざして民たみを審判󠄄さばきしが民たみは朝󠄃あさより夕ゆふまでモーセの傍かたはらに立たてり 14 モーセの外舅しうとモーセの凡すべて民たみに爲なすところを見みて言いひけるは汝なんぢが民たみになす此事このことは何なになるや何故なにゆゑに汝なんぢは一人ひとり坐ざしをりて民たみ朝󠄃あさより夕ゆふまで汝なんぢの傍かたはらにたつや 15 モーセその外舅しうとに言いひけるは民たみ神かみに問とはんとて我われに來きたるなり 16 彼等かれら事ことある時ときは我われに來きたれば我われ此これと彼かれとを審判󠄄さばきて神かみの法度のりと律法おきてを知しらしむ 17 モーセの外舅しうとこれに言いひけるは汝なんぢのなすところ善よからず 18 汝なんぢかならず氣力ちからおとろへん汝なんぢも汝なんぢとともなる民たみも然しからん此この事こと汝なんぢには重おもきに過󠄃すぐ汝なんぢ一人ひとりにては之これを爲なすことあたはざるべし 19 今いま吾わが言ことばを聽きけ我われなんぢに策さくを授さづけん願ねがはくは神かみなんぢとともに在いませ汝なんぢ民たみのために神かみの前󠄃まへに居をり訴訟󠄃うつたへを神かみに陳のべよ 20 汝なんぢかれらに法度のりと律法おきてを敎をしへ彼等かれらの步あゆむべき道󠄃みちと爲なすべき事こととを彼等かれらに示しめせ 21 又󠄂また汝なんぢ全󠄃躰󠄂すべての民たみの中うちより賢かしこくして神かみを畏おそれ眞󠄃實まことを重おもんじ利りを惡にくむところの人ひとを選󠄄えらみ之これを民たみの上うへに立たて千せん人にんの司つかさとなし百ひやく人にんの司つかさとなし五十人にんの司つかさとなし十人にんの司つかさとなすべし 22 而しかして彼等かれらをして常つねに民たみを鞫さばかしめ大事だいじは凡すべてこれを汝なんぢに陳のべしめ小事せうじは凡すべて彼等かれらみづからこれを判󠄄さばかしむべし斯かく汝なんぢの身みの煩瑣わづらひを省はぶき彼かれらをして汝なんぢとその任にんを共ともにせしめよ 23 汝なんぢもし此事このことを爲なし神かみまた斯かく汝なんぢに命めいじなば汝なんぢはこれに勝󠄃たへん此この民たみもまた安然やすらかにその所󠄃ところに到いたることを得うべし 24 モーセその外舅しうとの言ことばにしたがひてその凡すべて言いひしごとく成󠄃なせり 25 モーセすなはちイスラエルの中うちより遍󠄃あまねく賢かしこき人ひとを擇えらみてこれを民たみの長かしらとなし千せん人にんの司つかさとなし百ひやく人にんの司つかさとなし五十人にんの司つかさとなし十人にんの司つかさとなせり
 128㌻ 
26 彼等かれら常つねに民たみを鞫さばき難事なんじはこれをモーセに陳のべ小事せうじは凡すべて自みづからこれを判󠄄さばけり 27 斯かくてモーセその外舅しうとを還󠄃かへしたればその國くにに往󠄃ゆきぬ

第19章

1 イスラエルの子孫ひと〴〵エジプトの地ちを出いでて後のち第三月󠄃みつきめにいたりて其その日ひにシナイの曠野あらのに至いたる 2 即すなはちかれらレピデムを出いでたちてシナイの曠野あらのにいたり曠野あらのに幕まくを張はれり彼處かしこにてイスラエルは山やまの前󠄃まへに營えいを設まうけたり 3 爰こゝにモーセ登のぼりて神かみに詣いたるにヱホバ山やまより彼かれを呼よびて言いひたまはく汝なんぢかくヤコブの家いへに言いひイスラエルの子孫ひと〴〵に吿つぐべし〘99㌻〙 4 汝なんぢらはエジプト人びとに我わがなしたるところの事ことを見み我わが鷲わしの翼󠄅つばさをのべて汝なんぢらを負󠄅おひて我われにいたらしめしを見みたり 5 然されば汝等なんぢらもし善よく我わが言ことばを聽ききわが契󠄅約けいやくを守まもらば汝等なんぢらは諸もろ〳〵の民たみに愈󠄃まさりてわが寳たからとなるべし全󠄃地ぜんちはわが所󠄃有󠄃ものなればなり 6 汝等なんぢらは我われに對たいして祭司さいしの國くにとなり聖󠄃きよき民たみとなるべし是等これらの言語ことばを汝なんぢイスラエルの子孫ひと〴〵に吿つぐべし

7 是こゝに於おいてモーセ來きたりて民たみの長老等としよりたちを呼よびヱホバの己おのれに命めいじたまひし言ことばを盡こと〴〵くその前󠄃まへに陳のべたれば 8 民たみ皆みな等ひとしく應こたへて言いひけるはヱホバの言いひたまひし所󠄃ところは皆みなわれら之これを爲なすべしとモーセすなはち民たみの言ことばをヱホバに吿つぐ 9 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは觀みよ我われ密雲あつきくもの中うちにをりて汝なんぢに臨のぞむ是これ民たみをして我わが汝なんぢと語かたるを聞きかしめて汝なんぢを永ながく信しんぜしめんがためなりとモーセ民たみの言ことばをヱホバに吿つげたり 10 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは汝なんぢ民たみの所󠄃ところに往󠄃ゆきて今日けふ明日あすこれを聖󠄃きよめ之これにその衣服󠄃ころもを澣あらはせ 11 準備そなへをなして三日みつかを待まて其そは第三日みつかめにヱホバ全󠄃體すべての民たみの目めの前󠄃まへにてシナイ山やまに降󠄄くだればなり
 129㌻ 
12 汝なんぢ民たみのために四周󠄃まはりに境界さかひを設まうけて言いふべし汝等なんぢら愼つゝしんで山やまに登のぼるなかれその境界さかひに捫さはるべからず山やまに捫さはる者ものはかならず殺ころさるべし 13 手てを之これに觸ふるべからず其その者ものはかならす石いしにて擊うちころされ或あるひは射󠄂いころさるべし獸けものと人ひととを言いはず生いくることを得えじ喇叭らつぱを長ながく吹ふき鳴ならさば人々ひと〴〵山やまに上のぼるべしと 14 モーセすなはち山やまを下くだり民たみにいたりて民たみを聖󠄃きよめ民たみその衣服󠄃ころもを濯󠄄あらふ 15 モーセ民たみに言いひけるは準備そなへをなして三日みつかを待まて婦󠄃人をんなに近󠄃ちかづくべからず

16 かくて三日みつかの朝󠄃あさにいたりて雷いかづちと電いなびかりおよび密雲あつきくも山やまの上うへにあり又󠄂また喇叭らつぱの聲こゑありて甚はなはだ高たかかり營えいにある民たみみな震ふるふ 17 モーセ營えいより民たみを引ひきいでて神かみに會あはしむ民たみ山やまの麓ふもとに立たつに 18 シナイ山やま都すべて煙󠄃けむりを出いだせりヱホバ火ひの中うちにありてその上うへに下くだりたまへばなりその煙󠄃けむり竈󠄃かまどの煙󠄃けむりのごとく立たちのぼり山やますべて震ふるふ 19 喇叭らつぱの聲こゑ彌いよ〳〵高たかくなりゆきてはげしくなりける時ときモーセ言ことばを出いだすに神かみ聲こゑをもて應こたへたまふ 20 ヱホバ、シナイ山やまに下くだりその山やまの頂上いたゞきにいまし而しかしてヱホバ山やまの頂上いたゞきにモーセを召めしたまひければモーセ上のぼれり 21 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは下くだりて民たみを警いましめよ恐おそらくは民たみ推おし破やぶりてヱホバに來きたりて見みんとし多おほくの者もの死しぬるにいたらん 22 又󠄂またヱホバに近󠄃ちかづくところの祭司さいし等らにその身みを潔󠄄きよめしめよ恐おそらくはヱホバかれらを擊うたん 23 モーセ、ヱホバに言いひけるは民たみはシナイ山やまに得えのぼらじ其そは汝なんぢわれらを警いましめて山やまの四周󠄃まはりに境界さかひをたて山やまを聖󠄃きよめよと言いひたまひたればなり〘100㌻〙 24 ヱホバかれに言いひたまひけるは往󠄃ゆけ下くだれ而しかして汝なんぢとアロンともに上のぼり來きたるべし但たゞ祭司さいし等らと民たみには推おし破やぶりて我われにのぼりきたらしめざれ恐おそらくは我われかれらを擊うたん 25 モーセ民たみにくだりゆきてこれに吿つげたり

第20章

1 神かみこの一切すべての言ことばを宣のべて言いひたまはく
 130㌻ 

2 我われは汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢをエジプトの地ちその奴隸どれいたる家いへより導󠄃みちびき出いだせし者ものなり

3 汝なんぢ我わが面かほの前󠄃まへに我われの外ほか何なに物ものをも神かみとすべからず

4 汝なんぢ自己おのれのために何なにの偶像󠄃ぐうざうをも彫󠄃きざむべからず又󠄂また上かみは天てんにある者もの下しもは地ちにある者ものならびに地ちの下したの水みづの中なかにある者ものの何なにの形狀かたちをも作つくるべからず 5 之これを拜をがむべからずこれに事つかふべからず我われヱホバ汝なんぢの神かみは嫉ねたむ神かみなれば我われを惡にくむ者ものにむかひては父󠄃ちゝの罪つみを子こにむくいて三さん四よ代だいにおよぼし 6 我われを愛あいしわが誡命いましめを守まもる者ものには恩惠めぐみをほどこして千せん代だいにいたるなり

7 汝なんぢの神かみヱホバの名なを妄みだりに口くちにあぐべからずヱホバはおのれの名なを妄みだりに口くちにあぐる者ものを罰つみせではおかざるべし

8 安息日あんそくにちを憶おぼえてこれを聖󠄃潔󠄄きよくすべし 9 六日むいかの間あひだ勞はたらきて汝なんぢの一切すべての業わざを爲なすべし 10 七日なぬかは汝なんぢの神かみヱホバの安息あんそくなれば何なにの業務わざをも爲なすべからず汝なんぢも汝なんぢの息子むすこ息女むすめも汝なんぢの僕しもべ婢しもめも汝なんぢの家畜けものも汝なんぢの門もんの中うちにをる他よそ國ぐにの人ひとも然しかり 11 其そはヱホバ六日むいかの中うちに天てんと地ちと海うみと其それ等らの中うちの一切すべての物ものを作つくりて第七日なぬかに息やすみたればなり是こゝをもてヱホバ安息日あんそくにちを祝いはひて聖󠄃せい日じつとしたまふ

12 汝なんぢの父󠄃母ちゝはゝを敬うやまへ是こは汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢにたまふ所󠄃ところの地ちに汝なんぢの生命いのちの長ながからんためなり

13 汝なんぢ殺ころすなかれ

14 汝なんぢ姦淫かんいんするなかれ
 131㌻ 

15 汝なんぢ盜ぬすむなかれ

16 汝なんぢその隣人となりに對たいして虛妄いつはりの證據あかしをたつるなかれ

17 汝なんぢその隣人となりの家いへを貧󠄃むさぼるなかれ又󠄂また汝なんぢの鄰󠄄人となりの妻つまおよびその僕しもべ 婢しもめ 牛うし 驢馬ろばならびに凡すべて汝なんぢの隣人となりの所󠄃有󠄃もちものを貧󠄃むさぼるなかれ

18 民たみみな雷いかづちと電いなびかりと喇叭らつぱの音󠄃おとと山やまの煙󠄃けむれるとを見みたり民たみこれを見みて懼おそれをのゝきて遠󠄄とほく立たち 19 モーセにいひけるは汝なんぢわれらに語かたれ我等われら聽きかん唯たゞ神かみの我われらに語かたりたまふことあらざらしめよ恐おそらくは我等われら死しなん 20 モーセ民たみに言いひけるは畏おそるゝなかれ神かみ汝なんぢらを試こゝろみんため又󠄂またその畏怖おそれを汝なんぢらの面かほの前󠄃まへにおきて汝なんぢらに罪つみを犯をかさざらしめんために臨のぞみたまへるなり〘101㌻〙 21 是こゝにおいて民たみは遠󠄄とほくに立たちしがモーセは神かみの在いますところの濃雲あつきくもに進󠄃すゝみいたる

22 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは汝なんぢイスラエルの子孫ひと〴〵に斯かくいふべし汝等なんぢらは天てんよりわが汝等なんぢらに語ものいふを見みたり 23 汝等なんぢら何なにをも我われにならべて造󠄃つくるべからず銀ぎんの神かみをも金きんの神かみをも汝等なんぢらのために造󠄃つくるべからず 24 汝なんぢ土つちの壇だんを我われに築きづきてその上うへに汝なんぢの燔祭はんさいと酬恩祭しうおんさい汝なんぢの羊ひつじと牛うしをそなふべし我われは凡すべてわが名なを憶おぼえしむる處ところにて汝なんぢに臨のぞみて汝なんぢを祝めぐまん 25 汝なんぢもし石いしの壇だんを我われにつくるならば琢きり石いしをもてこれを築きづくべからず其そは汝なんぢもし鑿のみをこれに當あてなば之これを汚けがすべければなり 26 汝なんぢ階きざはしよりわが壇だんに升のぼるべからず是これ汝なんぢの恥はづる處ところのその上うへに露あらはるゝことなからんためなり

第21章

1 是これは汝なんぢが民たみの前󠄃まへに立たつべき律例おきてなり

2 汝なんぢヘブルの僕しもべを買かふ時ときは六ろく年ねんの間あひだ之これに職業つとめを爲なさしめ第だい七しち年ねんには贖つくのひを索もとめずしてこれを釋はなつべし
 132㌻ 
3 彼かれもし獨ひとり身みにて來きたらば獨ひとり身みにて去さるべし若もし妻つまあらばその妻つまこれとともに去さるべし 4 もしその主人しゆじんこれに妻つまをあたへて男子をとこのこ又󠄂または女子をんなのここれに生うまれたらば妻つまとその子等こどもらは主人しゅじんに屬ぞくすべし彼かれは獨ひとり身みにて去さるべし 5 僕しもべもし我われわが主人しゆじんと我わが妻つま子こを愛あいす我われ釋はなたるゝを好このまずと明白あきらかに言いはば 6 その主人しゆじんこれを士師さばきびとの所󠄃もとに携つれゆき又󠄂また戶とあるひは戶と柱󠄃ばしらの所󠄃ところにつれゆくべし而しかして主人しゆじん錐きりをもてかれの耳みゝを刺さしとほすべし彼かれは何時いつまでもこれに事つかふべきなり

7 人ひと若もしその娘むすめを賣うりて婢しもめとなす時ときは僕しもべのごとくに去さるべからす 8 彼かれもしその約やくせし主人しゆじんの心こゝろに適󠄄かなはざる時ときはその主人しゆじんこれを贖あがなはしむることを得うべし然されど之これに眞󠄃實まことならずして亦またこれを異邦󠄆人ことくにびとに賣うることをなすを得うべからず 9 又󠄂またもし之これを己おのれの子こに與あたへんと約やくしなばこれを女子むすめのごとくに待あしらふべし 10 父󠄃ちゝもしその子このために別ほかに娶めとることあるとも彼かれに食󠄃物くひものと衣服󠄃ころもを與あたふる事こととその交󠄄接とつぎの道󠄃みちとはこれを間斷たえしむべからず 11 其人そのひとかれに此この三みつを行おこなはずば彼かれは金かねをつくのはずして出いでさることを得うべし

12 人ひとを擊うちて死しなしめたる妻つまは必かならず殺ころさるべし 13 若もし人ひとみづから畫策たくむことなきに神かみ人ひとをその手てにかゝらしめたまふことある時ときは我われ汝なんぢのために一箇ひとつの處ところを設まうくればその人ひと其處そこに逃󠄄のがるべし 14 人ひともし故ことさらにその隣人となりびとを謀はかりて殺ころす時ときは汝なんぢこれをわが壇だんよりも執とらへゆきて殺ころすべし〘102㌻〙

15 その父󠄃ちゝあるひは母はゝを擊うつものは必かならず殺ころさるべし

16 人ひとを拐󠄄帶かどはかしたる者ものは之これを賣うりたるも尙なほその手てにあるも必かならず殺ころさるべし

17 その父󠄃ちゝあるひは母はゝを罵のゝしる者ものは殺ころさるべし
 133㌻ 

18 人ひと相あひ爭あらそふ時ときに一人ひとり石いしまたは拳󠄃こぶしをもてその對あひ手てを擊うちしに死しにいたらずして床とこにつくことあらんに 19 若もし起󠄃おきあがりて杖つゑによりて步あゆむにいたらば之これを擊うちたる者ものは赦ゆるさるべし但たゞしその業わざを休やすめる賠償つくのひをなして之これを全󠄃まつたく愈󠄃いえしむべきなり

20 人ひともし杖つゑをもてその僕しもべあるひは婢しもめを擊うたんにその手ての下したに死しなば必かならず罰ばつせらるべし 21 然されど彼かれもし一日いちにち二日ふつか生いきのびなば其人そのひとは罰ばつせられざるべし彼かれはその人ひとの金子かねなればなり

22 人ひともし相あひ爭あらそひて妊はらめる婦󠄃をんなを擊うちその子こを墮おりさせんに別ほかに害󠄅がいなき時ときは必かならずその婦󠄃人をんなの夫をつとの要󠄃もとむる所󠄃ところにしたがひて刑つみせられ法官さばきびとの定さだむる所󠄃ところを爲なすべし 23 若もし害󠄅がいある時ときは生命いのちにて生命いのちを償つくのひ 24 目めにて目めを償つくのひ齒はにて齒はを償つくのひ手てにて手てを償つくのひ足あしにて足あしを償つくのひ 25 烙やきにて烙やきを償つくのひ傷きずにて傷きずを償つくのひ打うち傷きずにて打うち傷きずを償つくのふべし

26 人ひともしその僕しもべの一ひとつの目めあるひは婢しもめの一ひとつの目めを擊うちてこれを喪つぶさばその目めのために之これを釋はなつべし 27 又󠄂またもしその僕しもべの一箇ひとつの齒はか婢しもめの一箇ひとつの齒はを打うち落かゝばその齒はのために之これを釋はなつべし

28 牛うしもし男をとこあるひは女をんなを衝つきて死しなしめなばその牛うしをば必かならず石いしにて擊うち殺ころすべしその肉󠄁にくは食󠄃くらべからず但たゞしその牛うしの主ぬしは罪つみなし 29 然されど牛うしもし素もとより衝つくことをなす者ものにしてその主ぬしこれがために忠吿いさめをうけし事ことあるに之これを守まもりおかずして遂󠄅つひに男をとこあるひは女をんなを殺ころすに至いたらしめなばその牛うしは石いしにて擊うたれその主ぬしもまた殺ころさるべし 30 若もし彼かれ贖罪金あがなひを命めいぜられなば凡すべてその命めいぜられし者ものを生命いのちの償つくのひに出いだすべし 31 男子むすこを衝つくも女子むすめを衝つくもこの例れいにしたがひてなすべし 32 牛うしもし僕しもべあるひは婢しもめを衝つかばその主人しゆじんに銀ぎん三十シケルを與あたふべし又󠄂またその牛うしは石いしにて擊うちころすべし

33 人ひともし坑あなを啓󠄃ひらくか又󠄂または人ひともし穴󠄄あなを掘ほることをなしこれを覆󠄄おほはずして牛うしあるひは驢馬ろばこれに陷おちいらば 34 穴󠄄あなの主ぬしこれを償つくのひ金かねをその所󠄃有󠄃主もちぬしに與あたふべし但たゞしその死しにたる畜けものは己おのれの有󠄃ものとなるべし
 134㌻ 

35 此人このひとの牛うしもし彼人かのひとのを衝つき殺ころさば二人ふたりその生いける牛うしを賣うりてその價あたひを分󠄃わかつべし又󠄂またその死しにたるものをも分󠄃わかつべし 36 然されどその牛うし素もとより衝つくことをなす者ものなること知しれをるにその主ぬしこれを守まもりおかざりしならばその人ひとかならず牛うしをもて牛うしを償つくのふべし但たゞしその死しにたる者ものは己おのれの有󠄃ものとなるべし〘103㌻〙

第22章

1 人ひともし牛うしあるひは羊ひつじを竊ぬすみてこれを殺ころし又󠄂または賣うる時ときは五いつゝの牛うしをもて一ひとつの牛うしを賠つくのひ四よつの羊ひつじをもて一ひとつの羊ひつじを賠つくのふべし 2 もし盜賊󠄄ぬすびとの壞やぶり入いるを見みてこれを擊うちて死しなしむる時ときはこれがために血ちをながすに及およばず 3 然されど若もし日ひいでてよりならば之これがために血ちをながすべし盜賊󠄄ぬすびとは全󠄃まつたく償つくのひをなすべし若もし物ものあらざる時ときは身みをうりてその竊ぬすめる物ものを償つくのふべし 4 若もしその竊ぬすめる物もの眞󠄃まことに生いきてその手てにあらばその牛うし 驢馬ろば 羊ひつじたるにかゝはらず倍ばいしてこれを償つくのふべし

5 人ひともし田圃はたけあるひは葡萄園ぶだうばたけの物ものを食󠄃くらはせその家畜かちくをはなちて人ひとの田圃はたけの物ものを食󠄃くらふにいたらしむる時ときは自己おのれの田圃はたけの嘉物よきものと自己おのれの葡萄園ぶだうばたけの嘉物よきものをもてその償つくのひをなすべし

6 火ひもし逸とびて荊棘いばらにうつりその積つみあげたる穀物こくもつあるひは未いまだ刈からざる穀物こくもつあるひは田野はたけを燬やかばその火ひを焚やきたる者ものかならずこれを償つくのふべし

7 人ひともし金かねあるひは物ものを人ひとに預あづくるにその人ひとの家いへより竊ぬすみとられたる時ときはその盜者ぬすびとあらはれなばこれを倍ばいして償つくのはしむべし 8 盜者ぬすびともしあらはれずば家いへの主人あるじを法官さばきびとにつれゆきて彼かれがその人ひとの物ものに手てをかけたるや否いなを見みるべし 9 何なにの過󠄃愆とがを論いはず牛うしにもあれ驢馬ろばにもあれ羊ひつじにもあれ衣服󠄃ころもにもあれ又󠄂または何なにの失うせ物ものにもあれ凡すべて人ひとの見みて是これ其それなりと言いふ者ものある時ときは法官さばきびとその兩りよう造󠄃ざうの言ことばを聽きくべし而しかして法官さばきびとの罪つみありとする者ものこれを倍ばいしてその對手あひてに償つくのふべし
 135㌻ 

10 人ひともし驢馬ろばか牛うしか羊ひつじか又󠄂またはその他ほかの家畜かちくをその隣人となりにあづけんに死しぬか傷きずつけらるゝか又󠄂または搶うばひさらるゝことありて誰たれもこれを見みし者ものなき時ときは 11 二人ふたりの間あひだにその隣人となりの物ものに手てをかけずとヱホバを指さして誓ちかふことあるべし然しかる時ときはその持主もちぬしこれを承うけ諾いるべし彼人かのひとは償つくのひをなすに及およばず 12 然されど若もし自己おのれの許もとより竊ぬすまれたる時ときはその所󠄃有󠄃主もちぬしにこれを償つくのふべし 13 若もしまたその裂さきころされし時ときは其それを證據あかしのために持もちきたるべしその裂さきころされし者ものは償つくのふにおよばず

14 人ひともしその隣人となりより借かりたる者ものあらんにその物もの傷きずつけられ又󠄂または死しぬることありてその所󠄃有󠄃主もちぬしそれとともにをらざる時ときは必かならずこれを償つくのふべし 15 その所󠄃有󠄃主もちぬしそれと共ともにをらばこれを償つくのふにおよばず雇󠄃やとひし者ものなる時ときもしかり其そは雇󠄃やとはれて來きたりしなればなり〘104㌻〙

16 人ひともし聘定いひなづけあらざる處女をとめを誘いざなひてこれと寢いねたらば必かならずこれに聘禮おくりものして妻つまとなすべし 17 その父󠄃ちゝもしこれをその人ひとに與あたふることを固かたく拒󠄃こばまば處女をとめにする聘禮おくりものにてらして金かねをはらふべし

18 魔󠄃術󠄃まじゆつをつかふ女をんなを生いかしおくべからず

19 凡すべて畜けものを犯をかす者ものをば必かならず殺ころすべし

20 ヱホバをおきて別ほかの神かみに犧牲いけにへを献さゝぐる者ものをば殺ころすべし 21 汝なんぢ他た國こくの人ひとを惱なやますべからず又󠄂またこれを虐󠄃しへたぐべからず汝なんぢらもエジプトの國くににをる時ときは他國たこくの人ひとたりしなり
 136㌻ 
22 汝なんぢ凡すべて寡婦󠄃やもめあるひは孤子みなしごを惱なやますべからず 23 汝なんぢもし彼等かれらを惱なやまして彼等かれらわれに呼よばはらば我われかならずその號呼よばはりを聽きくべし 24 わが怒いかり烈はげしくなり我われ劍つるぎをもて汝なんぢらを殺ころさん汝なんぢらの妻つまは寡婦󠄃やもめとなり汝なんぢらの子女こどもは孤子みなしごとならん

25 汝なんぢもし汝なんぢとともにあるわが民たみの貧󠄃まづしき者ものに金かねを貸かす時ときは金かね貸かしのごとくなすべからず又󠄂またこれより利り足そくをとるべからず 26 汝なんぢもし人ひとの衣服󠄃ころもを質しちにとらば日ひのいる時ときまでにこれを歸かへすべし 27 其そはその身みを蔽おほふ者ものは是これのみにして是これはその膚はだの衣ころもなればなり彼かれ何なにの中うちに寢いねんや彼かれわれに龥よばはらば我われきかん我われは慈悲あはれみある者ものなればなり

28 汝なんぢ神かみを罵のゝしるべからず民たみの主長つかさを詛のろふべからず 29 汝なんぢの豐滿ゆたかなる物ものと汝なんぢの搾しぼりたる物ものとを献さゝぐることを怠おこたるなかれ汝なんぢの長子うひごを我われに與あたふべし 30 汝なんぢまた汝なんぢの牛うしと羊ひつじをも斯かくなすべし即すなはち七日なぬか母はゝとともにをらしめて八日やうかにこれを我われに與あたふべし 31 汝等なんぢらは我われの聖󠄃きよき民たみとなるべし汝なんぢらは野のにて獸けものに裂さかれし者ものの肉󠄁にくを食󠄃くらふべからず汝なんぢらこれを犬いぬに投なげ與あたふべし

第23章

1 汝なんぢ虛妄いつはりの風説うはさを言いひふらすべからず惡あしき人ひとと手てをあはせて人ひとを誣しふる證人あかしびととなるべからず 2 汝なんぢ衆おほくの人ひとにしたがひて惡あくをなすべからず訴訟󠄃うつたへにおいて答こたへをなすに方あたりて衆おほくの人ひとにしたがひて道󠄃みちを曲まぐべからず 3 汝なんぢまた貧󠄃まづしき人ひとの訴訟󠄃うつたへを曲まぐて庇たすくべからず

4 汝なんぢもし汝なんぢの敵てきの牛うしあるひは驢馬ろばの迷󠄃まよひ去さるに遭󠄃あはばかならずこれを牽󠄁ひきてその人ひとに歸かへすべし 5 汝なんぢもし汝なんぢを惡にくむ者ものの驢馬ろばのその負󠄅にの下したに仆たふれ臥ふすを見みば愼つゝしみてこれを遺󠄃すてさるべからず必かならずこれを助たすけてその負󠄅にを釋とくべし
 137㌻ 

6 汝なんぢ貧󠄃まづしき者ものの訴訟󠄃うつたへある時ときにその判󠄄決さばきを曲まぐべからず 7 虛假いつはりの事ことに遠󠄄とほざかれ無辜者つみなきものと義者ただしきものとはこれを殺ころすなかれ我われは惡あしき者ものを義ぎとすることあらざるなり〘105㌻〙 8 汝なんぢ賄賂まひなひを受うくべからず賄賂まひなひは人ひとの目めを暗󠄃くらまし義者たゞしきものの言ことばを曲まげしむるなり 9 他た國こくの人ひとを虐󠄃しへたぐべからず汝等なんぢらはエジプトの國くににをる時ときは他國たこくの人ひとにてありたれば他國たこくの人ひとの心こゝろを知しるなり

10 汝なんぢ六ろく年ねんの間あひだ汝なんぢの地ちに種播たねまきその實みを穫かりいるべし 11 但たゞし第だい七しち年ねんにはこれを息やすませて耕󠄃たがへさずにおくべし而しかして汝なんぢの民たみの貧󠄃まづしき者ものに食󠄃くらふことを得えせしめよ其その餘あまれる者ものは野のの獸けものこれを食󠄃くらはん汝なんぢの葡萄園ぶだうばたけも橄欖かんらん園ばたけも斯かくのごとくなすべし 12 汝なんぢ六日むいかの間あひだ汝なんぢの業わざをなし七日なぬかに息やすむべし斯かく汝なんぢの牛うしおよび驢馬ろばを息やすませ汝なんぢの婢しもめの子こおよび他國たこくの人ひとをして息いきをつかしめよ 13 わが汝なんぢに言いひし事ことに凡すべて心こゝろを用もちひよ他ほかの神々かみ〴〵の名なを稱󠄄となふべからずまた之これを汝なんぢの口くちより聞きこえしめざれ

14 汝なんぢ年としに三度みたびわがために節筵いはひを守まもるべし 15 汝なんぢ無酵たねいれぬパンの節禮いはひをまもるべし即すなはちわが汝なんぢに命めいぜしごとくアビブの月󠄃つきの定さだめの時ときにおいて七日なぬかの間あひだ酵たねいれぬパンを食󠄃くらふべし其そはその月󠄃つきに汝なんぢエジプトより出いでたればなり徒むなし手でにてわが前󠄃まへに出いづる者ものあるべからず 16 また穡かりいれ時どきの節筵いはひを守まもるべし是これすなはち汝なんぢが勞苦ほねをりて田野はたけに播まける者ものの初はじめの實みを祝いはふなり又󠄂また收藏とりいれの節筵いはひを守まもるべし是これすなはち汝なんぢの勞苦ほねをりによりて成󠄃なれる者ものを年としの終󠄃をはりに田野はたけより收藏とりいるる者ものなり 17 汝なんぢの男をとこたる者ものは皆みな年としに三次󠄄みたび主しゆヱホバの前󠄃まへに出いづべし
 138㌻ 

18 汝なんぢわが犧牲いけにへの血ちを酵たねいれしパンとともに獻さゝぐべからず又󠄂またわが節筵いはひの脂あぶらを翌󠄃朝󠄃あくるあさまで殘のこしおくべからず 19 汝なんぢの地ちに初はじめに結むすべる實みの初はつを汝なんぢの神かみヱホバの室いへに持もちきたるべし汝なんぢ山羊羔こやぎをその母はゝの乳󠄃ちゝにて煮にるべからず

20 視みよ我われ天てんの使󠄃つかひをかはして汝なんぢに先さきだたせ途󠄃みちにて汝なんぢを守まもらせ汝なんぢをわが備そなへし處ところに導󠄃みちびかしめん 21 汝等なんぢらその前󠄃まへに愼つゝしみをりその言ことばにしたがへ之これを怒いからするなかれ彼かれなんぢらの咎とがを赦ゆるさざるべしわが名なかれの中うちにあればなり 22 汝なんぢもし彼かれが言ことばにしたがひ凡すべてわが言いふところを爲なさば我われなんぢの敵てきの敵てきとなり汝なんぢの仇あたの仇あたとなるべし 23 わが使󠄃つかひ汝なんぢにさきだちゆきて汝なんぢをアモリ人びとヘテ人びとペリジ人びとカナン人びとヒビ人びとおよびヱブス人びとに導󠄃みちびきたらん我われかれらを絕たつべし 24 汝なんぢかれらの神かみを拜をがむべからずこれに奉事つかふべからず彼かれらの作さくにならふなかれ汝なんぢ其それ等らを悉こと〴〵く毀こぼちその偶像󠄃ぐうざうを打うち摧くだくべし 25 汝等なんぢらの神かみヱホバに事つかへよ然さらばヱホバ汝なんぢらのパンと水みづを祝しゆくし汝なんぢらの中うちより疾病やまひを除のぞきたまはん 26 汝なんぢの國くにの中うちには流產りうざんする者ものなく妊はらまざる者ものなかるべし我われ汝なんぢの日ひの數󠄄かずを盈みたさん〘106㌻〙 27 我われわが畏懼おそれをなんぢの前󠄃まへに遣󠄃つかはし汝なんぢが至いたるところの民たみをことごとく敗やぶり汝なんぢの諸もろ〳〵の敵てきをして汝なんぢに後うしろを見みせしめん 28 我われ黃蜂くまばちを汝なんぢの先さきにつかはさん是これヒビ人びとカナン人びとおよびヘテ人びとを汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらふべし 29 我われかれらを一いち年ねんの中うちには汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらはじ恐おそらくは土地とち荒あれ野のの獸けもの增まして汝なんぢを害󠄅がいせん 30 我われ漸々やうやくにかれらを汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらはん汝なんぢらは遂󠄅つひに增ましてその地ちを獲うるにいたらん 31 我われなんぢの境さかひをさだめて紅海こうかいよりペリシテ人びとの海うみにいたらせ曠野あらのより河かはにいたらしめん我われこの地ちに住󠄃すめる者ものを汝なんぢの手てに付わたさん汝なんぢかれらを汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらふべし
 139㌻ 
32 汝なんぢかれらおよび彼かれらの神かみと何なにの契󠄅約けいやくをもなすべからず 33 彼かれらは汝なんぢの國くにに住󠄃すむべきにあらず恐おそらくは彼かれら汝なんぢをして我われに罪つみを犯をかさしめん汝なんぢもし彼等かれらの神かみに事つかへなばその事ことかならず汝なんぢの機檻わなとなるべきなり

第24章

1 又󠄂またモーセに言いひたまひけるは汝なんぢアロン、ナダブ、アビウおよびイスラエルの七十人にんの長老としよりとともにヱホバの許もとに上のぼりきたれ而しかして汝等なんぢら遙はるかにたちて拜をがむべし 2 モーセ一人ひとりヱホバに近󠄃ちかづくべし彼等かれらは近󠄃ちかよるべからず又󠄂また民たみもかれとともに上のぼるべからず 3 モーセ來きたりてヱホバの諸すべての言ことばおよびその諸すべての典例おきてを民たみに吿つげしに民たみみな同どう音󠄃おんに應こたへて云いふヱホバの宣のたまひし言ことばは皆みなわれらこれを爲なすべし 4 モーセ、ヱホバの言ことばをことごとく書記かきしるし朝󠄃あさ夙つとに興おきいでて山やまの麓ふもとに壇だんを築きづきイスラエルの十二の支󠄂派󠄄わかれにしたがひて十二の柱󠄃はしらを建󠄄たて 5 而しかしてイスラエルの子孫ひと〴〵の中うちの少わかき人等ひとたちを遣󠄃つかはしてヱホバに燔祭はんさいを献さゝげしめ牛うしをもて酬恩祭しうおんさいを供そなへしむ 6 モーセ時ときにその血ちの半󠄃なかばをとりて鉢はちに盛󠄃いれ又󠄂またその血ちの半󠄃なかばを壇だんの上うへに灌そゝげり 7 而しかして契󠄅約けいやくの書ふみをとりて民たみに誦よみきかせたるに彼かれら應こたへて言いふヱホバの宣のたまふ所󠄃ところは皆みなわれらこれを爲なして遵󠄅したがふべしと 8 モーセすなはちその血ちをとりて民たみに灌そゝぎて言いふ是これすなはちヱホバが此この諸すべての言ことばにつきて汝なんぢと結むすびたまへる契󠄅約けいやくの血ちなり

9 斯かくてモーセ、アロン、ナダブ、アビウおよびイスラエルの七十人にんの長老としよりのぼりゆきて 10 イスラエルの神かみを見みるにその足あしの下したには透󠄃明すきとほれる靑玉あをだまをもて作つくれるごとき物ものありて耀󠄃かゞやける天空󠄃そらにさも似にたり 11 神かみはイスラエルの此この頭人かしら等たちにその手てをかけたまはざりき彼等かれらは神かみを見み又󠄂また食󠄃くひ飮のみをなせり
 140㌻ 

12 茲こゝにヱホバ、モーセに言いひたまひけるは山やまに上のぼりて我われに來きたり其處そこにをれ我われわが彼等かれらを敎をしへんために書かきしるせる法律おきてと誡命いましめを載のするところの石いしの板いたを汝なんぢに與あたへん〘107㌻〙 13 モーセその從者じうしやヨシユアとともに起󠄃たちあがりモーセのぼりて神かみの山やまに至いたる 14 時ときに彼かれ長老等としよりたちに言いひけるは我等われらの汝等なんぢらに歸かへるまで汝等なんぢらは此こゝに待まちをれ視みよアロンとホル汝等なんぢらとともに在あり凡すべて事ことある者ものは彼等かれらにいたるべし 15 而しかしてモーセ山やまにのぼりしが雲くも山やまを蔽おほひをる 16 すなはちヱホバの榮光えいくわうシナイ山やまの上うへに駐󠄃とゞまりて雲くも山やまを蔽おほふこと六日むいかなりしが七日なぬかにいたりてヱホバ雲くもの中うちよりモーセを呼よびたまふ 17 ヱホバの榮光えいくわう山やまの嶺いただきに燃もゆる火ひのごとくにイスラエルの子孫ひと〴〵の目めに見みえたり 18 モーセ雲くもの中うちに入いり山やまに登のぼれりモーセ四十日にち四十夜や山やまに居をる

第25章

1 ヱホバ、モーセに吿つげて言いひたまひけるは 2 イスラエルの子孫ひと〴〵に吿つげて我われに献ささげ物ものを持もちきたれと言いへ凡すべてその心こゝろに好このんで出いだす者ものよりは汝等なんぢらその我われに献さゝぐるところの物ものを取とるべし 3 汝等なんぢらがかれらより取とるべきその献ささげ物ものは是これなり即すなはち金こがね 銀しろかね 銅あかゞね 4 靑あを 紫むらさき 紅くれなゐの線いと 麻󠄃あさ 山羊やぎの毛け 5 赤あか染ぞめの牡羊をひつじの皮かは 貛まみの皮かは 合歡木ねむのき 6 燈ともし油あぶら 塗ぬり膏あぶらと馨かうばしき香かうを調󠄃とゝのふところの香料かうれう 7 𤦏珩そうかうおよびエポデと胸牌むねあてに嵌はむる玉たま 8 彼等かれらわがために聖󠄃所󠄃きよきところを作つくるべし我われかれらの中うちに住󠄃すまん 9 凡すべてわが汝なんぢらに示しめすところに循したがひ幕屋まくやの式樣ひながたおよびその器具󠄄うつはの式樣ひながたにしたがひてこれを作つくるべし

10 彼等かれら合歡木ねむのきをもて櫃はこを作つくるべしその長ながさは二キユビト半󠄃はんその濶はゞは一キユビト半󠄃はんその高たかさは一キユビト半󠄃はんなるべし 11 汝なんぢ純金じゆんきんをもて之これを蔽おほふべし即すなはち內外うちそとともにこれを蔽おほひその上うへの周󠄃圍󠄃まはりに金きんの緣ふちを造󠄃つくるべし 12 汝なんぢ金きんの環󠄃わ四箇よつを鑄いてその四よつの足あしにつくべし即すなはち此旁こなたに二箇ふたつの輪わ彼旁かなたに二箇ふたつの輪わをつくべし
 141㌻ 
13 汝なんぢまた合歡木ねむのきをもて杠さをを作つくりてこれに金きんを著きすべし 14 而しかしてその杠さをを櫃はこの邊󠄎旁かたはらの環󠄃わにさしいれてこれをもて櫃はこを舁かくべし 15 杠さをは櫃はこの環󠄃わに差さしいれおくべし其それより脫ぬきはなすべからず 16 汝なんぢわが汝なんぢに與あたふる律法おきてをその櫃はこに藏をさむべし 17 汝なんぢ純金じゆんきんをもて贖しよく罪ざい所󠄃しよを造󠄃つくるべしその長ながさは二キユビト半󠄃はんその濶はゞは一キユビト半󠄃はんなるべし 18 汝なんぢ金かねをもて二箇ふたつのケルビムを作つくるべし即すなはち槌つちにて打うちてこれを作つくり贖しよく罪ざい所󠄃しよの兩りやう旁はうに置おくべし 19 一ひとつのケルブを此旁こなたに一ひとつのケルブを彼旁かなたに造󠄃つくれ即すなはちケルビムを贖しよく罪ざい所󠄃しよの兩りやう旁はうに造󠄃つくるべし 20 ケルビムは翼󠄅つばさを高たかく展のべその翼󠄅つばさをもて贖しよく罪ざい所󠄃しよを掩おほひその面かほを互たがひに相あひ向むくべしすなはちケルビムの面かほは贖しよく罪ざい所󠄃しよに向むかふべし〘108㌻〙 21 汝なんぢ贖しよく罪ざい所󠄃しよを櫃はこの上うへに置すゑまた我わが汝なんぢに與あたふる律法おきてを櫃はこの中うちに藏をさむべし 22 其處そこにて我われなんぢに會あひ贖しよく罪ざい所󠄃しよの上うへより律法おきての櫃はこの上うへなる二箇ふたつのケルビムの間あひだよりして我われイスラエルの子孫ひと〴〵のためにわが汝なんぢに命めいぜんとする諸もろ〳〵の事ことを汝なんぢに語かたらん

23 汝なんぢまた合歡木ねむのきをもて案つくゑを作つくるべしその長ながさは二キユビトその濶はゞは一キユビトその高たかさは一キユビト半󠄃はんなるべし 24 而しかして汝なんぢ純金じゆんきんをこれに著きせその周󠄃圍󠄃まはりに金かねの緣ふちをつくるべし 25 汝なんぢその四圍󠄃まはりに掌寛てはゞの邊󠄎ふちをつくりその邊󠄎ふちの周󠄃圍󠄃まはりに金きんの小緣こぶちを作つくるべし 26 またそれがために金きんの環󠄃わ四箇よつを作つくりその足あしの四隅よすみにその環󠄃わをつくべし 27 環󠄃わは邊󠄎ふちの側そばに附つくべし是こは案つくゑを舁かくところの杠さををいるる處ところなり 28 また合歡木ねむのきをもてその杠さををつくりてこれに金きんを著きすべし案つくゑはこれに因よりて舁かゝるべきなり 29 汝なんぢまた其それに用もちふる皿さら 匙さじ 杓󠄃しやくおよび酒さけを灌そゝぐところの斝さかづきを作つくるべし即すなはち純金じゆんきんをもてこれを造󠄃つくるべし 30 汝なんぢ案つくゑの上うへに供前󠄃そなへのパンを置おきて常つねにわが前󠄃まへにあらしむべし

31 汝なんぢ純金じゆんきんをもて一箇ひとつの燈臺とうだいを造󠄃つくるべし燈臺とうだいは槌つちをもてうちて之これを作つくるべしその臺だい座ざ 軸じく 萼󠄂うてな 節ふし 花はなは其それに聯つらならしむべし
 142㌻ 
32 又󠄂また六むつの枝えだをその旁かたはらより出いでしむべし即すなはち燈臺とうだいの三みつの枝えだは此この旁かたはらより出いで燈臺とうだいの三みつの枝えだは彼かの旁かたはらより出いでしむべし 33 巴旦杏はだんきやうの花はなの形かたちせる三みつの萼󠄂うてな節ふしおよび花はなとともに此この枝えだにあり又󠄂また巴旦杏はだんきやうの花はなの形かたちせる三みつの萼󠄂うてな節󠄄ふしおよび花はなとともに彼かの枝えだにあるべし燈臺とうだいより出いづる六むつの枝えだを皆みな斯かくのごとくにすべし 34 巴旦杏はだんきやうの花はなの形かたちせる四よつの萼󠄂うてなその節ふしおよび花はなとともに燈臺とうだいにあるべし 35 兩箇ふたつの枝えだの下したに一箇ひとつの節ふしあらしめ又󠄂またその兩箇ふたつの枝えだの下したに一箇ひとつの節ふしあらしめ又󠄂またその兩箇ふたつの枝えだの下したに一箇ひとつの節󠄄ふしあらしむべし燈臺とうだいより出いづる六むつの枝えだみな是かくのごとくなるべし 36 その節ふしと枝えだとは其それに連󠄃つらならしめ皆みな槌つちにて打うちて純金じゆんきんをもて造󠄃つくるべし 37 又󠄂またそれがために七箇なゝつの燈盞ともしびざらを造󠄃つくりその燈盞ともしびざらを上うへに置すゑてその對向むかふを照てらさしむべし 38 その燈鉗しんかきと剪燈盤しんとりざらをも純金じゆんきんならしむべし 39 燈臺とうだいと此この諸すべての器具󠄄うつはを造󠄃つくるには純金じゆんきん一タラントを用もちふべし 40 汝なんぢ山やまにて示しめされし式樣ひながたにしたがひて之これを作つくることに心こゝろを用もちひよ

第26章

1 汝なんぢまた幕屋まくやのために十とをの幕まくを造󠄃つくるべしその幕まくは即すなはち麻󠄃あさの撚絲よりいと靑あを紫むらさきおよび紅くれなゐの絲いとをもて之これを造󠄃つくり精巧たくみにケルビムをその上うへに織おり出いだすべし 2 一ひとつの幕まくの長ながさは二十八キユビト一ひとつの幕まくの濶はゞは四キユビトなるべし幕まくは皆みなその寸尺すんしやくを同おなじうすべし〘109㌻〙 3 その幕まく五箇いつゝを互たがひに連󠄃つらねあはせ又󠄂またその他ほかの幕まく五箇いつゝをも互たがひに連󠄃つらねあはすべし 4 而しかしてその一聯ひとつらねの幕まくの邊󠄎ふちにおいてその聯絡處あはせどころの端はしに靑あを色いろの襻もを付つくべし又󠄂また他ほかの一聯ひとつらねの幕まくの聯絡處あはせどころの邊󠄎ふちにも斯かくなすべし 5 汝なんぢ一聯ひとつらねの幕まくに襻も五十をつけ又󠄂また他ほかの一聯ひとつらねの幕まくの聯絡處あはせどころの邊󠄎ふちにも襻も五十をつけ斯かくその襻もをして彼かれと此これと相對あひたいせしむべし 6 而しかして金きんの鐶くわん五十を造󠄃つくりその鐶くわんをもて幕まくを連󠄃つらねあはせて一ひとつの幕屋まくやとなすべし

7 汝なんぢまた山羊やぎの毛けをもて幕まくをつくりて幕屋まくやの上うへの蓋おひとなすべし即すなはち幕まく十一をつくるべし 8 その一箇ひとつの幕まくの長ながさは三十キユビトその一箇ひとつの幕まくの濶はゞは四キユビトなるべし即すなはちその十一の幕まくは寸尺すんしやくを一ひとつにすべし 9 而しかしてその幕まく五いつゝを一ひとつに聯つらねまたその幕まく六むつを一ひとつに聯つらねその第六むつめの幕まくを幕屋まくやの前󠄃まへに摺たゝむべし
 143㌻ 
10 又󠄂またその一聯ひとつらねの幕まくの邊󠄎ふちすなはちその聯絡處あはせどころの端はしに襻も五十を付つけ又󠄂また他ほかの一聯ひとつらねの幕まくの聯絡處あはせどころにも襻も五十を付つくべし 11 而しかして銅あかゞねの鐶くわん五十を作つくりその鐶くわんを襻もにかけてその幕まくを聯つらねあはせて一ひとつとなすべし 12 その天てん幕まくの幕まくの餘あまれる遺󠄃餘のこりすなはちその餘あまれる半󠄃はん幕まくをば幕屋まくやの後うしろに垂たれしむべし 13 天てん幕まくの幕まくの餘あまれる者ものは此旁こなたに一いちキユビト彼旁かなたに一いちキユビトあり之これを幕屋まくやの兩りやう旁はう此方こなた彼方かなたに垂たれてこれを蓋おほふべし 14 汝なんぢ赤あかく染そめたる牡を山羊やぎの皮かはをもて幕屋まくやの蓋おひをつくりその上うへに貛まみの皮かはの蓋おひをほどこすべし

15 汝なんぢ合歡木ねむのきをもて幕屋まくやのために竪たて板いたを造󠄃つくるべし 16 一枚ひとひらの板いたの長ながさは十キユビト一枚ひとひらの板いたの濶はゞは一いちキユビト半󠄃はんなるべし 17 板いたごとに二ふたつの榫ほぞをつくりて彼かれと此これと交󠄄指くひあはしめよ幕屋まくやの板いたには皆みな斯かくのごとく爲なすべし 18 汝なんぢ幕屋まくやのために板いたを造󠄃つくるべし即すなはち南みなみ向むきの方かたのために板いた二十枚まいを作つくるべし 19 而しかしてその二十枚まいの板いたの下したに銀ぎんの座ざ四十を造󠄃つくるべし即すなはち此この板いたの下したにもその二ふたつの榫ほぞのために二ふたつの座ざあらしめ彼かの板いたの下したにもその二ふたつの榫ほぞのために二ふたつの座ざあらしむべし 20 幕屋まくやの他ほかの方かたすなはちその北きたの方かたのためにも板いた二十枚まいを作つくるべし 21 而しかしてこれに銀ぎんの座ざ四十を作つくり此この板いたの下したにも二ふたつの座ざ彼かの板いたの下したにも二ふたつの座ざあらしむべし 22 幕屋まくやの後うしろすなはちその西にしの方かたのために板いた六枚まいを造󠄃つくるべし 23 又󠄂また幕屋まくやの後うしろの兩ふたつの隅すみのために板いた二枚まいを造󠄃つくるべし 24 その二枚まいは下したにて相あひ合がつせしめその頂いたゞきまで一ひとつに連󠄃つらならしむべし一箇ひとつの鐶わに於おいて然しかりその二に枚まいともに是かくの如ごとくなるべし其それ等らは二ふたつの隅すみのために設まうくる者ものなり 25 その板いたは合あはせて八枚まいその銀ぎんの座ざは十六座ざ此この板いたにも二ふたつの座ざ彼かの板いたにも二ふたつの座ざあらしむべし〘110㌻〙

26 汝なんぢ合歡木ねむのきをもて橫よこ木ぎを作つくり幕屋まくやの此方こなたの板いたのために五本いつゝを設まうくべし 27 また幕屋まくやの彼方かなたの板いたのために橫よこ木ぎ五本いつゝを設まうけ幕屋まくやの後うしろすなはちその西にしの方かたの板いたのために橫よこ木ぎ五本いつゝを設まうくべし 28 板いたの眞󠄃中たゞなかにある中間なかの橫よこ木ぎをば端はしより端はしまで通󠄃とほらしむべし 29 而しかしてその板いたに金きんを着きせ金きんをもて之これがために鐶わを作つくりて橫よこ木ぎをこれに貫󠄄つらぬき又󠄂またその橫よこ木きに金きんを着きすべし
 144㌻ 
30 汝なんぢ山やまにて示しめされしところのその模範のりにしたがひて幕屋まくやを建󠄄たつべし

31 汝なんぢまた靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の線いとおよび麻󠄃あさの撚より絲いとをもて幕まくを作つくり巧たくみにケルビムをその上うへに織おりいだすべし 32 而しかして金きんを着きせたる四本よつの合歡木ねむのきの柱󠄃はしらの上うへに之これを掛かくべしその鈎かぎは金きんにしその柱󠄃はしらは四よつの銀ぎんの座ざの上うへに置すうべし 33 汝なんぢその幕まくを鐶くわんの下したに掛かけ其處そこにその幕まくの中うちに律法おきての櫃はこを藏をさむべしその幕まくすなはち汝なんぢらのために聖󠄃所󠄃きよきところと至いと聖󠄃所󠄃きよきところを分󠄃わかたん 34 汝なんぢ至いと聖󠄃所󠄃きよきところにある律法おきての櫃はこの上うへに贖しよく罪ざい所󠄃しよを置すうべし 35 而しかしてその幕まくの外そとに案つくゑを置すゑ幕屋まくやの南みなみの方かたに燈とう臺だいを置すゑて案つくゑに對むかはしむべし案つくゑは北きたの方かたに置すうべし

36 又󠄂また靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の線いとおよび麻󠄃あさの撚より絲いとをもて幔とばりを織おりなして幕屋まくやの入いり口ぐちに掛かくべし 37 又󠄂またその幔とばりのために合歡木ねむのきをもて柱󠄃はしら五本いつゝを造󠄃つくりてこれに金きんを着きせその鈎かぎを金きんにすべし又󠄂またその柱󠄃はしらのために銅あかゞねをもて五箇いつゝの座ざを鑄いるべし

第27章

1 汝なんぢ合歡木ねむのきをもて長ながさ五キユビト濶はゞ五キユビトの壇だんを作つくるべしその壇だんは四角しかくその高たかさは三キユビトなるべし 2 その四隅よすみの上うへに其それの角つのを作つくりてその角つのを其それより出いだしめその壇だんには銅あかゞねを着きすべし 3 又󠄂また灰󠄃はひを受うくる壺つぼと火鏟じうのうと鉢はちと肉󠄁叉にくさしと火ひ鼎ざらを作つくるべし壇だんの器うつはは皆みな銅あかゞねをもて之これを作つくるべし 4 汝なんぢ壇だんのために銅あかゞねをもて金かな網󠄄あみを作つくりその網󠄄あみの上うへにその四隅よすみに銅あかゞねの鐶わを四箇よつ作つくるべし 5 而しかしてその網󠄄あみを壇だんの中なか程󠄃ほどの邊󠄎ふちの下したに置すゑて之これを壇だんの半󠄃なかばに達󠄃たつせしむべし 6 又󠄂また壇だんのために杠さをを作つくるべし即すなはち合歡木ねむのきをもて杠さをを造󠄃つくり銅あかゞねをこれに着きすべし 7 その杠さをを鐶わに貫󠄄つらぬきその杠さをを壇だんの兩りよう旁はうにあらしめて之これを舁かくべし 8 壇だんは汝なんぢ板いたをもて之これを空󠄃うつろに造󠄃つくり汝なんぢが山やまにて示しめされしごとくにこれを造󠄃つくるべし
 145㌻ 

9 汝なんぢまた幕屋まくやの庭󠄄にはをつくるべし南みなみに向むかひては庭󠄄にはのために南みなみの方かたに長ながさ百キユビトの細布ほそぬのの幕まくを設まうけてその一方いつぱうに當あつべし 10 その二十の柱󠄃はしらおよびその二十の座ざは銅あかゞねにし其その柱󠄃はしらの鈎かぎおよびその桁けたは銀ぎんにすべし 11 又󠄂また北きたの方かたにあたりて長ながさ百キユビトの幕まくをその樅たてに設まうくべしその二十の柱󠄃はしらとその柱󠄃はしらの二十の座ざは銅あかゞねにし柱󠄃はしらの鈎かぎとその桁けたは銀ぎんにすべし〘111㌻〙 12 庭󠄄にはの橫よこすなはちその西にしの方かたには五十キユビトの幕まくを設まうくべしその柱󠄃はしらは十とをその座ざも十とを 13 また東ひがしに向むかひては庭󠄄にはの東ひがしの方かたの濶はゞは五十キユビトにすべし 14 而しかして此この一旁いつぱうに十五キユビトの幕まくを設まうくべしその柱󠄃はしらは三みつその座ざも三みつ 15 又󠄂また彼かの一旁いつぱうにも十五キユビトの幕まくを設まうくべしその柱󠄃はしらは三みつその座ざも三みつ 16 庭󠄄にはの門もんのために靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の線いとおよび麻󠄃あさの撚絲よりいとをもて織おりなしたる二十キユビトの幔とばりを設まうくべしその柱󠄃はしらは四よつその座ざも四よつ 17 庭󠄄にはの四周󠄃まはりの柱󠄃はしらは皆みな銀ぎんの桁けたをもて續つゞけその鈎かぎを銀ぎんにしその座ざを銅あかゞねにすべし 18 庭󠄄にはの樅たては百キユビトその橫よこは五十キユビト宛づゝその高たかさは五キユビト麻󠄃あさの撚絲よりいとをもてつくりなしその座ざを銅あかゞねにすべし 19 凡すべて幕屋まくやに用もちふるところの諸もろ〳〵の器具󠄄うつはもの並ならびにその釘くぎおよび庭󠄄にはの釘くぎは銅あかゞねをもて作つくるべし

20 汝なんぢ又󠄂またイスラエルの子孫ひと〴〵に命めいじ橄欖かんらんを搗かてて取とりたる淸きよき油あぶらを燈火ともしびのために汝なんぢに持もちきたらしめて絕たえず燈火ともしびをともすべし 21 集會しふくわいの幕屋まくやに於おいて律法おきての前󠄃まへなる幕まくの外そとにアロンとその子等こら晩よひより朝󠄃あさまでヱホバの前󠄃まへにその燈火ともしびを整とゝのふべし是これはイスラエの子孫ひと〴〵が世々よゝたえず守まもるべき定例のりなり

第28章

1 汝なんぢイスラエルの子孫ひと〴〵の中うちより汝なんぢの兄弟きやうだいアロンとその子等こらすなはちアロンとその子こナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルを汝なんぢに至いたらしめて彼かれをして我われにむかひて祭司さいしの職つとめをなさしむべし 2 汝なんぢまた汝なんぢの兄弟きやうだいアロンのために聖󠄃きよき衣ころもを製つくりて彼かれの身みに顯榮ほまれと榮光さかえあらしむべし 3 汝なんぢ凡すべて心こゝろに智慧󠄄ちゑある者ものすなはち我わが智慧󠄄ちゑの靈れいを充みたしおきたる者等ものどもに語かたりてアロンの衣服󠄃ころもを製つくらしめ之これを用もてアロンを聖󠄃別きよめて我われに祭司さいしの職つとめをなさしむべし
 146㌻ 
4 彼等かれらが製つくるべき衣服󠄃ころもは是これなり即すなはち胸むね牌あてエポデ明衣うはぎ間格いちまつの裏衣したぎ頭帽󠄃かしらづゝみおよび帶おび彼等かれら汝なんぢの兄弟きやうだいアロンとその子等こらのために聖󠄃きよき衣ころもをつくりて彼かれをして祭司さいしの職つとめを我われにむかひてなすことをえせしむべし 5 即すなはち彼等かれら金きん 靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の糸いとおよび麻󠄃あさ糸いとをとりて用もちふべし

6 又󠄂また金きん 靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の線いとおよび麻󠄃あさの撚糸よりいとをもて巧たくみにエポデを織おりなすべし 7 エポデには二ふたつの肩󠄃かた帶あてをほどこしその兩ふたつの端はしを連󠄃つらねて之これを合あはすべし 8 エポデの上うへにありてこれを束つかぬるところの帶おびはその物もの同おなじうしてエポデの製つくりのごとくにすべし即すなはち金きん 靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の糸いとおよび麻󠄃あさの撚糸よりいとをもてこれを作つくるべし 9 汝なんぢ二箇ふたつの葱珩そうかうをとりてその上うへにイスラエルの子等こらの名なを鐫えりつくべし〘112㌻〙 10 即すなはち彼等かれらの誕󠄅生うまれにしたがひてその名な六むつを一ひとつの玉たまに鐫えりその遺󠄃餘のこりの名な六むつを外ほかの玉たまに鐫えるべし 11 玉たまに雕刻󠄂ほりものする人ひとの印いんを刻󠄂ほるが如ごとくに汝なんぢイスラエルの子等こらの名なをその二ふたつの玉たまに鐫えりつけその玉たまを金きんの槽ふちに嵌はむべし 12 この二ふたつの玉たまをエポデの肩󠄃かた帶あての上うへにつけてイスラエルの子等こらの記念おぼえの玉たまとならしむべし即すなはちアロン、ヱホバの前󠄃まへにおいて彼等かれらの名なをその兩ふたつの肩󠄃かたに負󠄅おふて記念おぼえとならしむべし 13 汝なんぢ金きんの槽ふちを作つくるべし 14 而しかして純金じゆんきんを組くみて紐ひもの如ごとき二箇ふたつの鏈くさりを作つくりその組くめる鏈くさりをかの槽ふちにつくべし

15 汝なんぢまた審判󠄄さばきの胸むね牌あてを巧たくみに織おりなしエポデの製つくりのごとくに之これをつくるべし即すなはち金きん 靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の線いとおよび麻󠄃あさの撚糸よりいとをもてこれを製つくるべし 16 是これは四角しかくにして二重ふたへなるべく其その長たけは半󠄃はんキユビトその濶はゞも半󠄃はんキユビトなるべし 17 汝なんぢまたその中なかに玉たまを嵌はめて玉たまを四行よならびにすべし即すなはち赤あか玉だま 黃玉きのたま 瑪瑙めのうの一行ひとならびを第一だいいち行ぎやうとすべし 18 第だい二に行ぎやうは紅くれなゐの玉たま 靑玉あをだま 金剛石こんがうせき 19 第だい三さん行ぎやうは深こき紅くれなゐの玉たま 白しろ瑪瑙めのう 紫むらさきの玉たま 20 第だい四し行ぎやうは黃緑きみどりの玉たま 葱珩そうかう 碧玉みどりのたま 凡すべて金きんの槽ふちの中なかにこれを嵌はむべし
 147㌻ 
21 その玉たまはイスラエルの子等こらの名なに循したがひその名なのごとくにこれを十二じふににすべし而しかしてその十二の支󠄂派󠄄わかれの各各おのおのの名なは印いんを刻󠄂ほるごとくにこれを鐫えりつくべし 22 汝なんぢ純金じゆんきんを紐ひものごとくに組くみたる鏈くさりを胸むね牌あての上うへにつくべし 23 また胸むね牌あての上うへに金きんの環󠄃わ二箇ふたつを作つくり胸むね牌あての兩ふたつの端はしにその二箇ふたつの環󠄃わをつけ 24 かの金きんの紐ひも二條ふたすぢを胸むね牌あての端はしの二箇ふたつの環󠄃わにつくべし 25 而しかしてその二條ふたすぢの紐ひもの兩ふたつの端はしを二箇ふたつの槽ふちに結ゆひエポデの肩󠄃かた帶あての上うへにつけてその前󠄃まへにあらしむべし 26 又󠄂また二箇ふたつの金きんの環󠄃わをつくりて之これを胸むね牌あての兩ふたつの端はしにつくべし即すなはちそのエポデに對むかふところの內うちの邊󠄎ふちに之これをつくべし 27 汝なんぢまた金きんの環󠄃わ二箇ふたつを造󠄃つくりてこれをエポデの兩りやう旁はうの下したの方かたにつけその前󠄃まへの方かたにてその聯接つらなれる處ところに對むかひてエポデの帶おびの上うへにあらしむべし 28 胸むね牌あては靑あを紐ひもをもてその環󠄃わによりて之これをエポデの環󠄃わに結ゆひつけエポデの帶おびの上うへにあらしむべし然しかせば胸むね牌あてエポデを離はなるゝこと無なかるべし 29 アロン聖󠄃所󠄃きよきところに入いる時ときはその胸むねにある審判󠄄さばきの胸むね牌あてにイスラエルの子等こらの名なを帶おびてこれをその心こゝろの上うへに置おきヱホバの前󠄃まへに恒つねに記念おぼえとならしむべし 30 汝なんぢ審判󠄄さばきの胸むね牌あてにウリムとトンミムをいれアロンをしてそのヱホバの前󠄃まへに入いる時ときにこれをその心こゝろの上うへに置おかしむべしアロンはヱホバの前󠄃まへに常つねにイスラエルの子孫ひと〴〵の審判󠄄さばきを帶おびてその心こゝろの上うへに置おくべし

31 エポデに屬ぞくする明衣うはぎは凡すべてこれを靑あをく作つくるべし〘113㌻〙 32 頭くびをいるゝ孔あなはその眞󠄃中まんなかに設まうくべし又󠄂またその孔あなの周󠄃圍󠄃まはりには織おり物ものの緣へりをつけて鎧よろひの領盤えりまはりのごとくになして之これを綻ほころびざらしむべし 33 その裾すそには靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の糸いとをもて石榴ざくろをつくりてその裾すその周󠄃圍󠄃まはりにつけ又󠄂また四周󠄃まはりに金きんの鈴すゞをその間々あひだ〳〵につくべし 34 即すなはち明衣うはぎの裾すそには金きんの鈴すゞに石榴ざくろ又󠄂また金きんの鈴すゞに石榴ざくろとその周󠄃圍󠄃まはりにつくべし

35 アロン奉事つとめをなす時ときにこれを著きるべし彼かれが聖󠄃所󠄃きよきところにいりてヱホバの前󠄃まへに至いたる時ときまた出いできたる時ときにはその鈴すゞの音󠄃おと聞きこゆべし斯かくせば彼かれ死しぬることあらじ
 148㌻ 
36 汝なんぢ純金じゆんきんをもて一枚ひとつの前󠄃まへ板いたを作つくり印いんを刻󠄂ほるがごとくにその上うへにヱホバに聖󠄃きよしと鐫えりつけ 37 之これを靑あを紐ひもにつけて頭帽󠄃かしらづゝみの上うへにあらしむべし即すなはち頭帽󠄃かしらづゝみの前󠄃まへの方かたにこれをつくべし 38 是これはアロンの額ひたひにあるべしアロンはイスラエルの子孫ひと〴〵が献さゝぐるところの聖󠄃物きよきものすなはちその献さゝぐる諸もろ〳〵の聖󠄃きよき供物そなへものの上うへにあるとこるの罪つみを負󠄅おふべしこの板いたをば常つねにアロンの額ひたひにあらしむべし是これヱホバの前󠄃まへに其それ等らの受納󠄃うけいれられんためなり 39 汝なんぢ麻󠄃あさ糸いとをもて裏衣したぎを間格いちまつに織おり麻󠄃あさ糸いとをもて頭帽󠄃かしらづゝみを製つくりまた帶おびを繍工あやに織おりなすべし

40 汝なんぢまたアロンの子等こらのために裏衣したぎを製つくり彼かれらのために帶おびを製つくり彼かれらのために頭巾づきんを製つくりてその身みに顯榮ほまれと榮光さかえあらしむべし 41 而しかして汝なんぢこれを汝なんぢの兄弟きやうだいアロンおよび彼かれとともなるその子等こらに着きせ膏あぶらを彼等かれらに灌そゝぎこれを立たてこれを聖󠄃別きよめてこれをして祭司さいしの職つとめを我われになさしむべし 42 又󠄂またかれらのためにその陰所󠄃かくしどころを蔽おほふ麻󠄃あさの褌もゝひきを製つくり腰󠄃こしより髀もゝに達󠄃いたらしむべし 43 アロンとその子等こらは集會しふくわいの幕屋まくやに入いる時とき又󠄂または祭壇さいだんに近󠄃ちかづきて聖󠄃所󠄃きよきところに職事つとめをなす時ときはこれを著きるべし斯かくせば愆とがをかうむりて死しぬることなからん是これは彼かれおよび彼かれの後のちの子孫しそんの永ながく守まもるべき例のりなり

第29章

1 汝なんぢかれらを聖󠄃別きよめて彼かれらをして我われにむかひて祭司さいしの職つとめをなさしむるには斯かくこれに爲なすべし即すなはち若わかき牡牛をうしと二ふたつの全󠄃まつたき牡山羊をやぎを取とり 2 無酵たねいれぬパン油あぶらを和まぜたる無酵たねいれぬ菓子くわしおよび油あぶらを塗ぬりたる無酵たねいれぬ煎餅せんべいを取とるべし是等これらは麥むぎ粉󠄃こをもて製つくるべし 3 而しかしてこれを一箇ひとつの筐かごにいれ牡牛をうしおよび二ふたつの牡山羊をやぎとともにこれをその筐かごのまゝに持もちきたるべし 4 汝なんぢまたアロンとその子等こらを集會しふくわいの幕屋まくやの口くちに携つれきたりて水みづをもてかれらを洗あらひ淸きよめ 5 衣服󠄃ころもをとりて裏衣したぎエポデに屬ぞくする明衣うはぎエポデおよび胸むね牌あてをアロンに着きせエポデの帶おびを之これに帶おびしむべし 6 而しかしてかれの首かうべに頭帽󠄃かしらづゝみをかむらせその頭帽󠄃かしらづゝみの上うへにかの聖󠄃きよき金きんの板いたを戴いたゞかしめ〘114㌻〙
 149㌻ 
7 灌そゝぎ油あぶらを取とりてこれを彼かれの首かうべに傾かたむけ灌そゝぐべし 8 又󠄂またかれの子等こらを携つれ來きたりて之これに裏衣したぎを着きせ 9 之これに帶おびを帶おびしめ頭巾づきんをこれにかむらすべし即すなはちアロンとその子等こらに斯かくなすべし祭司さいしの職つとめはかれらに歸きす永ながくこれを例のりとなすべし汝なんぢ斯かくアロンとその子等こらを立たつべし

10 汝なんぢ集會しふくわいの幕屋まくやの前󠄃まへに牡牛をうしをひき來きたらしむべし而しかしてアロンとその子等こらその牡牛をうしの頭かしらに手てを按おくべし 11 かくして汝なんぢ集會しふくわいの幕屋まくやの口くちにてヱホバの前󠄃まへにその牡牛をうしを宰ころすべし 12 汝なんぢその牡牛をうしの血ちをとり汝なんぢの指ゆびをもてこれを壇だんの角つのに塗ぬりその血ちをばことごとく壇だんの下したに灌そゝぐべし 13 汝なんぢまたその臓腑ざうふを裏つゝむところの諸すべての脂あぶら肝かんの上うへの網󠄄まう膜まくおよび二ふたつの腎じんとその上うへの脂あぶらを取とりてこれを壇だんの上うへに燔やくべし 14 但たゞしその牡牛をうしの肉󠄁にくとその皮かはおよび糞ふんは營えいの外そとにて火ひに燒やくべし是これは罪祭ざいさいなり

15 汝なんぢかの牡山羊をやぎ一頭ひとつを取とるべし而しかしてアロンとその子等こらその牡山羊をやぎの上うへに手てを按おくべし 16 汝なんぢその牡山羊をやぎを宰ころしその血ちをとりてこれを壇だんの上うへの周󠄃圍󠄃まはりに灌そゝぐべし 17 汝なんぢその牡山羊をやぎを切きり割󠄅さきその臓腑ざうふとその足あしを洗あらひて之これをその肉󠄁にくの塊きれとその頭かしらの上うへにおくべし 18 汝なんぢその牡山羊をやぎを壇だんの上うへに悉こと〴〵く燒やくべし是これヱホバにたてまつる燔祭はんさいなり是これは馨かうばしき香にほひにしてヱホバにたてまつる火くわ祭さいなり

19 汝なんぢまた今いま一ひとつの牡山羊をやぎをとるべし而しかしてアロンとその子等こらその牡山羊をやぎの頭かしらの上うへに手てを按おくべし 20 汝なんぢすなはちその牡山羊をやぎを殺ころしその血ちをとりてこれをアロンの右みぎの耳みゝの端はしおよびその子等こらの右みぎの耳みゝの端はしにつけ又󠄂またその右みぎの手ての大おほ指ゆびと右みぎの足あしの栂おや指ゆびにつけその血ちを壇だんの周󠄃圍󠄃まはりに灌そゝぐべし 21 又󠄂また壇だんの上うへの血ちをとり灌そゝぎ油あぶらをとりて之これをアロンとその衣服󠄃ころもおよびその子等こらとその子等こらの衣服󠄃ころもに灌そゝぐべし斯かく彼かれとその衣服󠄃ころもおよびその子等こらとその子等こらの衣服󠄃ころも淸淨きよくなるべし
 150㌻ 
22 汝なんぢその牡山羊をやぎの脂あぶらと脂あぶらの尾をおよび其その臓腑ざうふを裏つゝめる脂あぶら肝かんの上うへの網󠄄まう膜まく二箇ふたつの腎じんと其その上うへの脂あぶらおよび右みぎの腿󠄃もゝを取とるべし是これは任にん職しよくの牡山羊をやぎなり 23 汝なんぢまたヱホバの前󠄃まへにある無酵たねいれぬパンの筐かごの中うちよりパン一個ひとつと油あぶらぬりたる菓子くわし一箇ひとつと煎餅せんべい一個ひとつを取とるべし 24 汝なんぢこれらを悉こと〴〵くアロンの手てと其その子等こらの手てに授さづけこれを搖ふりてヱホバに搖えう祭さいとなすべし 25 而しかして汝なんぢこれらを彼等かれらの手てより取とりて壇だんの上うへにて燔祭はんさいにくはへて燒やくべし是これヱホバの前󠄃まへに馨かうばしき香にほひとなるべし是これすなはちヱホバにたてまつる火くわ祭さいなり

26 汝なんぢまたアロンの任にん職しよくの牡山羊をやぎの胸むねを取とりてこれをヱホバの前󠄃まへに搖ふりて搖えう祭さいとなすべし是これ汝なんぢの受うくるところの分󠄃ぶんなり〘115㌻〙 27 汝なんぢその搖ふるところの搖えう祭さいの物ものの胸むねおよびその擧あぐるところの擧きよ祭さいの物ものの腿󠄃もゝすなはちアロンとその子等こらの任にん職しよくの牡山羊をやぎの胸むねと腿󠄃もゝを聖󠄃別きよめわかつべし 28 是これはアロンとその子等こらに歸きすべしイスラエルの子孫ひと〴〵永ながくこの例のりを守まもるべきなり是これはイスラエルの子孫ひと〴〵が酬恩祭しうおんさいの犧牲いけにへの中うちよりとるところの擧きよ祭さいにしてヱホバになすところの擧きよ祭さいなり

29 アロンの聖󠄃きよき衣ころもは其その後のちの子孫しそんに歸きすべし子孫しそんこれを着きて膏あぶらをそゝがれ職しよくに任にんぜらるべきなり 30 アロンの子孫しそんの中うち彼かれにかはりて祭司さいしとなり集しふ會くわいの幕屋まくやにいりて聖󠄃所󠄃きよきところに職つとめをなす者ものは先まづ七日なぬかの間あひだこれを着きるべし

31 汝なんぢ任にん職しよくの牡山羊をやぎを取とり聖󠄃所󠄃きよきところにてその肉󠄁にくを煮にるべし 32 アロンとその子等こらは集會しふくわいの幕屋まくやの戶口とぐちにおいてその牡山羊をやぎの肉󠄁にくと筐かごの中うちのパンを食󠄃くらふべし 33 罪つみを贖あがなふ物ものすなはち彼かれらを立たて彼かれらを聖󠄃別きよむるに用もちふるところの物ものを彼かれらは食󠄃くらふべし餘ほかの人ひとは食󠄃くらふべからず其そは聖󠄃物きよきものなればなり 34 もし任にん職しよくの肉󠄁にくあるひはパン旦あしたまで遺󠄃のこりをらばその遺󠄃者のこりは火ひをもてこれを燒やくべし是これは聖󠄃きよければ食󠄃くらふべからず

35 汝なんぢわが凡すべて汝なんぢに命めいずるごとくにアロンとその子等こらに斯かくなすべし即すなはちかれらのために七日なぬかのあひだ任にん職しよくの禮れいをおこなふべし
 151㌻ 
36 汝なんぢ日々ひゞに罪祭ざいさいの牡牛をうし一頭ひとつをさゝげて贖あがなひをなすべし又󠄂また壇だんのために贖罪あがなひをなしてこれを淸きよめこれに膏あぶらを灌そゝぎこれを聖󠄃別きよむべし 37 汝なんぢ七日なぬかのあひだ壇だんのために贖あがなひをなして之これを聖󠄃別きよめ至いと聖󠄃きよき壇だんとならしむべし凡すべて壇だんに捫さはる者ものは聖󠄃きよくなるべし

38 汝なんぢが壇だんの上うへにさゝぐべき者ものは是これなり即すなはち一歳いつさいの羔こひつじ二ふたつを日々ひゞ絕たえず献さゝぐべし 39 一ひとつの羔こひつじは朝󠄃あさにこれを献さゝげ一ひとつの羔こひつじは夕ゆふにこれを献さゝぐべし 40 一ひとつの羔こひつじに麥むぎ粉󠄃こ十じふ分󠄃ぶんの一いちに搗かてたる油あぶら一ヒンの四し分󠄃ぶんの一いちを和まぜたるを添そへ又󠄂また灌くわん祭さいとして酒さけ一いちヒンの四し分󠄃ぶんの一いちを添そふべし 41 今いま一ひとつの羔羊こひつじは夕ゆふにこれを献さゝげ朝󠄃あさとおなじき素祭そさいと灌祭くわんさいをこれと共ともにさゝげ馨かうばしき香にほひとならしめヱホバに火くわ祭さいたらしむべし 42 是これすなはち汝なんぢらが代々よゝ絕たえず集會しふくわいの幕屋まくやの門かど口ぐちにてヱホバの前󠄃まへに献さゝぐべき燔祭はんさいなり我われ其處そこにて汝等なんぢらに會あひ汝なんぢと語ものいふべし 43 其處そこにて我われイスラエルの子孫ひと〴〵に會あはん幕屋まくやはわが榮光さかえによりて聖󠄃きよくなるべし 44 我われ集會しふくわいの幕屋まくやと祭壇さいだんを聖󠄃きよめん亦またアロンとその子等こらを聖󠄃きよめて我われに祭司さいしの職つとめをなさしむべし 45 我われイスラエルの子孫ひと〴〵の中うちに居をりて彼かれらの神かみとならん 46 彼等かれらは我わが彼かれらの神かみヱホバにして彼等かれらの中うちに住󠄃すまんとて彼等かれらをエジプトの地ちより導󠄃みちびき出いだせし者ものなることを知しらん我われはかれらの神かみヱホバなり〘116㌻〙

第30章

1 汝なんぢ香かうを焚やく壇だんを造󠄃つくるべし即すなはち合歡木ねむのきをもてこれを造󠄃つくるべし 2 その長ながさは一キユビトその寛はゞも一キユビトにして四角しかくならしめ其その高たかさは三キユビトにし其その角つのは其それより出いでしむべし 3 而しかしてその上うへその四傍しはうその角つのともに純金じゆんきんを着きせその周󠄃圍󠄃まはりに金きんの緣ふちを作つくるべし 4 汝なんぢまたその兩面りやうめんに金きんの緣ふちの下したに金きんの環󠄃わ二箇ふたつを之これがために作つくるべし即すなはちその兩りやう傍はうにこれを作つくるべし是これすなはちこれを舁かくところの杠さをを貫󠄄つらぬく所󠄃ところなり 5 その杠さをは合歡木ねむのきをもてこれを作つくりて之これに金きんを着きすべし
 152㌻ 
6 汝なんぢこれを律法おきての櫃はこの傍かたはらなる幕まくの前󠄃まへに置すゑて律法おきての上うへなる贖しよく罪ざい所󠄃しよに對むかはしむべし其處そこはわが汝なんぢに會あふ處ところなり 7 アロン朝󠄃あさごとにその上うへに馨かうばしき香かうを焚たくべし彼かれ燈火ともしびを整とゝのふる時ときはその上うへに香かうを焚たくべきなり 8 アロン夕ゆふべに燈火ともしびを燃ともす時ときはその上うへに香かうを焚たくべし是この香かうはヱホバの前󠄃まへに汝等なんぢらが代々よゝ絕たやすべからざる者ものなり 9 汝等なんぢらその上うへに異ことなる香かうを焚たくべからず燔祭はんさいをも素祭そさいをも獻さゝぐべからず又󠄂またその上うへに灌祭くわんさいの酒さけを灌そゝぐべからず 10 アロン年としに一回ひとたび贖罪つみあがなひの罪祭ざいさいの血ちをもてその壇だんの角つののために贖あがなひをなすべし汝等なんぢら代々よゝ年としに一度ひとたび是これがために贖あがなひをなすべし是これはヱホバに最もつとも聖󠄃きよき者ものたるなり

11 ヱホバ、モーセに吿つげて言いひたまはく 12 汝なんぢがイスラエルの子孫ひと〴〵の數󠄄かずを數󠄄かぞへしらぶるにあたりて彼等かれらは各人おの〳〵その數󠄄かぞへらるゝ時ときにその生命いのちの贖あがなひをヱホバにたてまつるべし是こはその數󠄄かぞふる時ときにあたりて彼等かれらの中うちに災害󠄅わざはひのあらざらんためなり 13 凡すべて數󠄄かぞへらるゝ者ものの中うちに入いる者ものは聖󠄃所󠄃きよきところのシケルに遵󠄅したがひて半󠄃はんシケルを出いだすべし一シケルは二十ゲラなり即すなはち半󠄃はんシケルをヱホバにたてまつるべし 14 凡すべて數󠄄かぞへらるゝ者ものの中うちに入いる者もの即すなはち二十歳さい以上いじやうの者ものはヱホバに献納󠄃さゝげ物ものをなすべし 15 汝なんぢらの生命いのちを贖あがなふためにヱホバに献納󠄃さゝげ物ものをなすにあたりては富者とめるものも半󠄃はんシケルより多おほく出いだすべからず貧󠄃者まづしきものも其それより少すくなく出いだすべからず 16 汝なんぢイスラエルの子孫ひと〴〵より贖あがなひの金かねを取とりてこれを幕屋まくやの用ように供そなふべし是これはヱホバの前󠄃まへにイスラエルの子孫ひと〴〵の記念おぼえとなりて汝なんぢら生命いのちを贖あがなふべし

17 ヱホバ、モーセに吿つげて言いひたまはく 18 汝なんぢまた銅あかゞねをもて洗盤たらひをつくりその臺だいをも銅あかゞねになして洗あらふことのために供そなへ之これを集會しふくわいの幕屋まくやと壇だんとの間あひだに置すゑてその中なかに水みづをいれおくべし 19 アロンとその子等こらはそれに就つきて手てと足あしを洗あらふべし〘117㌻〙
 153㌻ 
20 彼等かれらは集會しふくわいの幕屋まくやに入いる時ときに水みづをもて洗あらふことを爲なして死しをまぬかるべし亦また壇だんにちかづきてその職つとめをなし火くわ祭さいをヱホバの前󠄃まへに焚やく時ときも然しかすべし 21 即すなはち斯かくその手て足あしを洗あらひて死しを免まぬかるべし是これは彼かれとその子孫しそんの代々よゝ常つねに守まもるべき例のりなり

22 ヱホバまたモーセに言いひたまひけるは 23 汝なんぢまた重おも立だちたる香物かうもつを取とれ即すなはち淨きよき沒藥もつやく五百シケル香かうばしき肉󠄁桂にくけいその半󠄃はん二百五十シケル香かうばしき菖蒲あやめ二百五十シケル 24 桂枝けいし五百シケルを聖󠄃所󠄃きよきところのシケルに遵󠄅したがひて取とり又󠄂また橄欖かんらんの油あぶら一ヒンを取とるべし 25 汝なんぢこれをもて聖󠄃きよき灌そゝぎ膏あぶらを製つくるべしすなはち薰物かをりものを製つくる法はふにしたがひて香膏にほひあぶらを製つくるべし是これは聖󠄃きよき灌そゝぎ膏あぶらたるなり 26 汝なんぢこれを集會しふくわいの幕屋まくやと律法おきての櫃はこに塗ぬり 27 案つくゑとそのもろもろの器具󠄄うつは燈臺とうだいとそのもろもろの器具󠄄うつはおよび香かう壇だん 28 並ならびに燔祭はんさいの壇だんとそのもろもろの器具󠄄うつはおよび洗盤たらひとその臺だいとに塗ぬるべし 29 汝なんぢ是等これらを聖󠄃きよめて至いと聖󠄃きよからしむべし凡すべてこれに捫さはる者ものは聖󠄃きよくならん 30 汝なんぢアロンとその子等こらに膏あぶらをそゝぎて之これを立たて彼かれらをして我われに祭司さいしの職つとめをなさしむべし 31 汝なんぢイスラエルの子孫ひと〴〵に吿つげていふべし是これは汝なんぢらが代々よゝ我われの爲ために用もちふべき聖󠄃きよき灌そゝぎ膏あぶらなり 32 是これは人ひとの身みに灌そゝぐべからず汝等なんぢらまた此この量りやうをもて是これに等ひとしき物ものを製つくるべからず是これは聖󠄃きよし汝等なんぢらこれを聖󠄃物きよきものとなすべし 33 凡すべて之これに等ひとしき物ものを製つくる者もの凡すべてこれを餘ほかの人ひとにつくる者ものはその民たみの中うちより絕たゝるべし

34 ヱホバ、モーセに言いひたまはく汝なんぢナタフ、シケレテ、へルベナの香物かうもつを取とりその香物かうもつを淨きよき乳󠄃香にうかうに和まぜあはすべしその量りやうは各おの〳〵等ひとしからしむべきなり 35 汝なんぢこれを以もて香かうを製つくるべし即すなはち薰物かをりものを製つくる法はふにしたがひてこれをもて薰物かをりものを製つくり鹽しほをこれにくはへ潔󠄄いさぎよく且かつ聖󠄃きよからしむべし 36 汝なんぢまたその幾いく分󠄃ぶんを細こまかに搗かてて我わが汝なんぢに會あふところなる集會しふくわいの幕屋まくやの中うちにある律法おきての前󠄃まへにこれを供そなふべし是これは汝等なんぢらにおいて最もつとも聖󠄃きよき者ものなり 37 汝なんぢが製つくるところの香かうは汝等なんぢらその量りやうをもてこれを自己おのれのために製つくるべからず是これは汝なんぢにおいてヱホバのために聖󠄃きよき者ものたるなり
 154㌻ 
38 凡すべて是これに均ひとしき者ものを製つくりてこれを嗅かぐ者ものはその民たみの中うちより絕たゝるべし

第31章

1 ヱホバ、モーセに吿つげて言いひたまひけるは 2 我われユダの支󠄂派󠄄わかれのホルの子こなるウリの子こベザレルを名な指ざして召めし 3 神かみの靈れいをこれに充みたして智慧󠄄ちゑと了知さとりと智ち識しきと諸もろ〳〵の類たぐひの工わざに長たけしめ 4 奇巧たくみを盡つくして金銀きんぎん及および銅あかゞねの作さくをなすことを得えせしめ 5 玉たまを切きり嵌はめ木きに彫󠄃刻󠄂ほりきざみて諸もろ〳〵の類たぐひの工わざをなすことを得えせしむ〘118㌻〙 6 視みよ我われまたダンの支󠄂派󠄄わかれのアヒサマクの子こアホリアブを與あたへて彼かれとともならしむ凡すべて心こゝろに智ちある者ものに我われ智慧󠄄ちゑを授さづけ彼等かれらをして我わが汝なんぢに命めいずる所󠄃ところの事ことを盡こと〴〵くなさしむべし 7 即すなはち集會しふくわいの幕屋まくや律法おきての櫃はこその上うへの贖しよく罪ざい所󠄃しよ幕屋まくやの諸もろ〳〵の器具󠄄うつは 8 案つくゑならびにその器具󠄄うつは純金じゆんきんの燈臺とうだいとその諸もろ〳〵の器具󠄄うつはおよび香かう壇だん 9 燔祭はんさいの壇だんとその諸もろ〳〵の器具󠄄うつは洗盤たらひとその臺だい 10 供職つとめの衣服󠄃ころも祭司さいしの職つとめをなす時ときに用もちふるアロンの聖󠄃きよき衣ころもおよびその子等こらの衣服󠄃ころも 11 および灌そゝぎ膏あぶらならびに聖󠄃所󠄃きよきところの馨かうばしき香かう是等これらを我われが凡すべて汝なんぢに命めいぜしごとくに彼等かれら製造󠄃つくるべきなり

12 ヱホバ、モーセに吿つげて言いひたまひけるは 13 汝なんぢイスラエルの子孫ひと〴〵に吿つげて言いふべし汝等なんぢらかならず吾わが安息日あんそくにちを守まもるべし是これは我われと汝等なんぢらの間あひだの代々よよの徴しるしにして汝等なんぢらに我われの汝等なんぢらを聖󠄃きよからしむるヱホバなるを知しらしむる爲ための者ものなればなり 14 即すなはち汝等なんぢら安息日あんそくにちを守まもるべし是これは汝等なんぢらに聖󠄃きよき日ひなればなり凡すべて之これを瀆けがす者ものは必かならず殺ころさるべし凡すべてその日ひに働作はたらきをなす人ひとはその民たみの中うちより絕たゝるべし 15 六日むいかの間あひだ業わざをなすべし第七日なぬかめは大だい安息あんそくにしてヱホバに聖󠄃きよきなり凡すべて安息日あんそくにちに働作はたらきをなす者ものは必かならず殺ころさるべし 16 斯かくイスラエルの子孫ひと〴〵は安息日あんそくにちを守まもり代々よよ安息日あんそくにちを祝いはふべし是これ永遠󠄄えいゑんの契󠄅約けいやくなり
 155㌻ 
17 是これは永久とこしなへに我われとイスラエルの子孫ひと〴〵の間あひだの徴しるしたるなり其そはヱホバ六日むいかの中うちに天地てんちをつくりて七日なぬかに休やすみて安息あんそくに入いりたまひたればなり

18 ヱホバ、シナイ山やまにてモーセに語かたることを終󠄃をへたまひし時とき律法おきての板いた二枚まいをモーセに賜たまふ是これは石いしの板いたにして神かみが手てをもて書しるしたまひし者ものなり

第32章

1 茲こゝに民たみモーセが山やまを下くだることの遲󠄃おそきを見み民たみ集あつまりてアロンの許もとに至いたり之これに言いひけるは起󠄃たてよ汝なんぢわれらを導󠄃みちびく神かみを我儕われらのために作つくれ其そは我われらをエジプトの國くにより導󠄃みちびき上のぼりし彼かのモーセ其人そのひとは如何いかになりしか知しれざればなり 2 アロンかれらに言いひけるは汝等なんぢらの妻つまと息子むすこ息女むすめ等らの耳みゝにある金きんの環󠄃わをとりはづして我われに持もちきたれと 3 是こゝにおいて民たみみなその耳みゝにある金きんの環󠄃わをとりはづしてアロンの許もとに持もち來きたりければ 4 アロンこれを彼等かれらの手てより取とり鎚󠄃鑿のみをもて之これが形かたちを造󠄃つくりて犢こうしを鑄いなしたるに人々ひと〴〵言いふイスラエルよ是これは汝なんぢをエジプトの國くにより導󠄃みちびきのぼりし汝なんぢの神かみなりと 5 アロンこれを見みてその前󠄃まへに壇だんを築きづき而しかしてアロン宣吿ふれて明日あすはヱホバの祭禮まつりなりと言いふ 6 是こゝにおいて人衆ひと〴〵明あくる朝󠄃あさ早はやく起󠄃おきいでて燔祭はんさいを献さゝげ酬恩祭しうおんさいを供そなふ民たみ坐ざして飮のみ食󠄃くひし起󠄃たちて戯たはむる〘119㌻〙

7 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは汝なんぢ往󠄃ゆきて下くだれよ汝なんぢがエジプトの地ちより導󠄃みちびき出いだせし汝なんぢの民たみは惡あしき事ことを行おこなふなり 8 彼等かれらは早はやくも我わが彼等かれらに命めいぜし道󠄃みちを離はなれ己おのれのために犢こうしを鑄いなしてそれを拜をがみ其それに犧牲いけにへを献さゝげて言いふイスラエルよ是これは汝なんぢをエジプトの地ちより導󠄃みちびきのぼりし汝なんぢの神かみなりと 9 ヱホバまたモーセに言いひたまひけるは我われこの民たみを觀みたり視みよ是これは項うなじの强こはき民たみなり 10 然されば我われを阻とゞむるなかれ我われかれらに向むかひて怒いかりを發はつして彼等かれらを滅ほろぼし盡つくさん而しかして汝なんぢをして大おほいなる國くにをなさしむべし
 156㌻ 
11 モーセその神かみヱホバの面かほを和なだめて言いひけるはヱホバよ汝なんぢなどて彼かの大おほいなる權能ちからと强つよき手てをもてエジプトの國くにより導󠄃みちびきいだしたまひし汝なんぢの民たみにむかひて怒いかりを發はつしたまふや 12 何なんぞエジプト人びとをして斯かく言いはしむべけんや曰いはく彼かれは禍わざはひをくだして彼等かれらを山やまに殺ころし地ちの面おもてより滅ほろぼし盡つくさんとて彼等かれらを導󠄃みちびき出いだせしなりと然されば汝なんぢの烈はげしき怒いかりを息やめ汝なんぢの民たみにこの禍わざはひを下くださんとせしを思おもひ直なほしたまへ 13 汝なんぢの僕しもべアブラハム、イサク、イスラエルを憶おもひたまへ汝なんぢは自己みづからさして彼等かれらに誓ちかひて我われ天てんの星ほしのごとくに汝等なんぢらの子孫しそんを增まし又󠄂またわが言いふところの比この地ちをことごとく汝等なんぢらの子孫しそんにあたへて永ながくこれを有󠄃たもたしめんと彼等かれらに言いひたまへりと 14 ヱホバ是こゝにおいてその民たみに禍わざはひを降󠄄くださんとせしを思おもひ直なほしたまへり

15 モーセすなはち身みを轉めぐらして山やまより下くだれりかの律法おきての二枚ふたつの板いたその手てにあり此これ板いたはその兩面ふたおもに文󠄃字もじあり即すなはち此面こなたにも彼面かなたにも文󠄃字もじあり 16 此この板いたは神かみの作さくなりまた文󠄃字もじは神かみの書しよにして板いたに彫󠄃ほりつけてあり 17 ヨシユア民たみの呼よばはる聲こゑを聞きゝてモーセにむかひ營えい中うちに戰爭いくさの聲こゑすと言いひければ 18 モーセ言いふ是これは勝󠄃鬨かちどきの聲こゑにあらず又󠄂また敗北まけの號呼さけび聲ごゑにもあらず我わが聞きくところのものは歌うた唱うたふ聲こゑなりと 19 斯かくてモーセ營えいに近󠄃ちかづくに及およびて犢こうしと舞跳をどりを見みたれば怒いかりを發はつしてその手てよりかの板いたを擲なげうちこれを山やまの下したに碎くだけり 20 而しかして彼等かれらが作つくりし犢こうしをとりてこれを火ひに燒やき碎くだきて粉󠄃ことなしてこれを水みづに撒まきイスラエルの子孫ひと〴〵に之これをのましむ

21 モーセ、アロンに言いひけるは此この民たみ汝なんぢに何なにをなしてか汝なんぢかれらに大おほいなる罪つみを犯をかさせしや 22 アロン言いひけるは吾わが主しゆよ怒いかりを發はつしたまふ勿なかれ此この民たみの惡あくなるは汝なんぢの知しるところなり 23 彼等かれらわれに言いひけらく我われらを導󠄃みちびく神かみをわれらのために作つくれ其そは我われらをエジプトの國くにより導󠄃みちびき上のぼりし彼かのモーセ其人そのひとは如何いかになりしか知しれざればなりと
 157㌻ 
24 是こゝにおいて我われ凡すべて金きんをもつ者ものはそれをとりはづせと彼等かれらに言いひければ則すなはちそれを我われに與あたへたり我われこれを火ひに投なげたれば此この犢こうし出いできたれりと〘120㌻〙

25 モーセ民たみを視みるに縱肆ほしいまゝに事ことをなすアロン彼等かれらをして縱肆ほしいまゝに事ことをなさしめたれば彼等かれらはその敵てきの中なかに嘲󠄂笑あざけりとなれるなり 26 茲こゝにモーセ營えいの門もんに立たち凡すべてヱホバに歸きする者ものは我われに來きたれと言いひければレビの子孫しそんみな集あつまりてかれに至いたる 27 モーセすなはち彼等かれらに言いひけるはイスラエルの神かみヱホバ斯かく言いひたまふ汝等なんぢらおのおの劍つるぎを橫よこたへて門もんより門もんと營えいの中うちを彼處そこ此處こゝに行ゆきめぐりて各人おの〳〵その兄弟きやうだいを殺ころし各人おの〳〵その伴󠄃侶ともを殺ころし各人おの〳〵その隣人となりびとを殺ころすべしと 28 レビの子孫しそんすなはちモーセの言ことばのごとくに爲なしたればその日ひ民たみ凡およそ三千人にん殺ころされたり 29 是こゝに於おいてモーセ言いふ汝等なんぢらおのおのその子こをもその兄弟きやうだいをも顧󠄃かへりみずして今日こんにちヱホバに身みを獻さゝげ而しかして今日こんにち福祉さいはひを得えよ

30 明日あくるひモーセ民たみに言いひけるは汝等なんぢらは大おほいなる罪つみを犯をかせり今いま我われヱホバの許もとに上のぼりゆかんとす我われなんちらの罪つみを贖あがなふを得うることもあらん 31 モーセすなはちヱホバに歸かへりて言いひけるは嗚呼あゝこの民たみの罪つみは大おほいなる罪つみなり彼等かれらは自己おのれのために金きんの神かみを作つくれり 32 然されどかなはゞ彼等かれらの罪つみを赦ゆるしたまへ然しかせずば願ねがはくは汝なんぢの書かきしるしたまへる書ふみの中うちより吾わが名なを抹けしさりたまへ 33 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは凡すべてわれに罪つみを犯をかす者ものをば我われこれをわが書ふみより抹けしさらん 34 然されば今いま往󠄃ゆきて民たみを我わが汝なんぢにつげたる所󠄃ところに導󠄃みちびけよ吾わが使󠄃者つかひ汝なんぢに先さきだちて往󠄃ゆかん但たゞしわが罰ばつをなこなふ日ひには我われかれらの罪つみを罰ばつせん 35 ヱホバすなはち民たみを擊うちたまへり是こはかれら犢こうしを造󠄃つくりたるに因よる即すなはちアロンこれを造󠄃つくりしなり
 158㌻ 

第33章

1 茲こゝにヱホバ、モーセに言いひたまひけるは汝なんぢと汝なんぢがエジプトの國くにより導󠄃みちびき上のぼりし民たみ此こゝを起󠄃たちいでて我わがアブラハム、イサク、ヤコブに誓ちかひて之これを汝なんぢの子孫しそんに與あたへんと言いひしその地ちに上のぼるべし 2 我われ一ひとりの使󠄃つかひを遣󠄃つかはして汝なんぢに先さきだたしめん我われカナン人びとアモリ人びとヘテ人びとペリジ人びとヒビ人びとヱブス人びとを逐󠄃おひはらひ 3 なんぢらをして乳󠄃ちゝと蜜みつの流ながるゝ地ちにいたらしむべし我われは汝なんぢの中うちにをりては共ともに上のぼらじ汝なんぢは項うなじの强こはき民たみなれば恐おそらくは我われ途󠄃みちにて汝なんぢを滅ほろぼすにいたらん 4 民たみこの惡あしき吿つげを聞きゝて憂うれへ一人ひとりもその妝飾󠄃かざりを身みにつくる者ものなし 5 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるはイスラエルの子孫ひと〴〵に言いへ汝等なんぢらは項うなじの强こはき民たみなり我われもし一刻󠄂いつこくも汝なんぢの中うちにありて往󠄃ゆかば汝なんぢを滅ほろぼすにいたらん然されば今いま汝なんぢらの妝飾󠄃かざりを身みより取とりすてよ然しかせば我われ汝なんぢに爲なすべきことを知しらんと〘121㌻〙 6 是こゝをもてイスラエルの子孫ひと〴〵ホレブ山やまより以來このかたはその妝飾󠄃かざりを取とりすてゝ居をりぬ

7 モーセ幕屋まくやをとりてこれを營えいの外そとに張はりて營えいと遙はるかに離はなれしめ之これを集會しふくわいの幕屋まくやと名なづけたり凡すべてヱホバに求もとむることのある者ものは出いでゆきて營えいの外そとなるその集會しふくわいの幕屋まくやにいたる 8 モーセの出いでて幕屋まくやにいたる時ときには民たみみな起󠄃たちあがりてモーセが幕屋まくやにいるまで各々おの〳〵その天てん幕まくの門かど口ぐちに立たちてかれを見みる 9 モーセ幕屋まくやにいれば雲くもの柱󠄃はしらくだりて幕屋まくやの門かど口ぐちに立たつ而しかしてヱホバ、モーセとものいひたまふ 10 民たみみな幕屋まくやの門かど口ぐちに雲くもの柱󠄃はしらの立たつを見みれば民たみみな起󠄃たちて各人おの〳〵その天てん幕まくの門かど口ぐちにて拜はいをなす 11 人ひとがその友ともに言談ものいふごとくにヱホバ、モーセと面かほをあはせてものいひたまふモーセはその天てん幕まくに歸かへりしがその僕しもべなる少者わかものヌンの子こヨシユアは幕屋まくやを離はなれざりき

12 茲こゝにモーセ、ヱホバに言いひけるは視みたまへ汝なんぢはこの民たみを導󠄃みちびき上のぼれと我われに言いひたまひながら誰たれを我われとともに遣󠄃つかはしたまふかを我われにしらしめたまはず汝なんぢかつて言いひたまひけらく我わが名なをもて汝なんぢを知しる汝なんぢはまた我わが前󠄃まへに恩めぐみを得えたりと
 159㌻ 
13 然されば我われもし誠󠄃まことに汝なんぢの目めの前󠄃まへに恩めぐみを得えたらば願ねがはくは汝なんぢの道󠄃みちを我われに示しめして我われに汝なんぢを知しらしめ我われをして汝なんぢの目めの前󠄃まへに恩めぐみを得えせしめたまへ又󠄂また汝なんぢこの民たみの汝なんぢの有󠄃ものなるを念おもひたまへ 14 ヱホバ言いひたまひけるは我われ親みづから汝なんぢと共ともにゆくべし我われ汝なんぢをして安泰やすらかにならしめん 15 モーセ、ヱホバに言いひけるは汝なんぢもしみづから行ゆきたまはずば我等われらを此こゝより上のぼらしめたまふ勿なかれ 16 我われと汝なんぢの民たみとが汝なんぢの目めの前󠄃まへに恩めぐみを得うることは如何いかにして知しるべきや是これ汝なんぢが我等われらとともに往󠄃ゆきたまひて我われと汝なんぢの民たみとが地ちの諸もろ〳〵の民たみに異ことなる者ものとなるによるにあらずや

17 ヱホバ、モーセに言いひたまひけるは汝なんぢが言いへるこの事ことをも我われ爲なさん汝なんぢはわが目めの前󠄃まへに恩めぐみを得えたればなり我われ名なをもて汝なんぢを知しるなり 18 モーセ願ねがはくは汝なんぢの榮光さかえを我われに示しめしたまへと言いひければ 19 ヱホバ言いひたまはく我われわが諸もろ〳〵の善ぜんを汝なんぢの前󠄃まへに通󠄃とほらしめヱホバの名なを汝なんぢの前󠄃まへに宣のべん我われは惠めぐまんとする者ものを惠めぐみ憐あはれまんとする者ものを憐あはれむなり 20 又󠄂また言いひたまはく汝なんぢはわが面かほを見みることあたはず我われを見みて生いくる人ひとあらざればなり 21 而しかしてヱホバ言いひたまひけるは視みよ我わが傍かたはらに一ひとつの處ところあり汝なんぢ磐いはの上うへに立たつべし 22 吾わが榮光さかえ其處そこを過󠄃とほる時ときに我われなんぢを磐いはの穴󠄄あなにいれ我わが過󠄃とほる時ときにわが手てをもて汝なんぢを蔽おほはん 23 而しかしてわが手てを除のくる時ときに汝なんぢわが背後うしろを見みるべし吾わが面かほは見みるべきにあらず〘122㌻〙

第34章

1 茲こゝにヱホバ、モーセに言いひたまひけるは汝なんぢ石いしの板いた二枚まいを前󠄃まへのごとくに斫きりて作つくれ汝なんぢが碎くだきし彼かの前󠄃まへの板いたにありし言ことばを我われその板いたに書しるさん 2 詰朝󠄃あしたまでに準備そなへをなし朝󠄃あさの中うちにシナイ山やまに上のぼり山やまの嶺いただきに於おいて吾わが前󠄃まへに立たて
 160㌻ 
3 誰たれも汝なんぢとともに上のぼるべからず又󠄂また誰たれも山やまの中うちに居をるべからず又󠄂またその山やまの前󠄃まへにて羊ひつじや牛うしを牧かふべからず 4 モーセすなはち石いしの板いた二枚まいを前󠄃まへのごとくに斫きりて造󠄃つくり朝󠄃あさ早はやく起󠄃おきて手てに二枚まい石いしの板いたをとりヱホバの命めいじたまひしごとくにシナイ山やまにのぼりゆけり 5 ヱホバ雲くもの中うちにありて降󠄄くだり彼かれとともに其處そこに立たちてヱホバの名なを宣のべたまふ 6 ヱホバすなはち彼かれの前󠄃まへを過󠄃すぎて宣のべたまはくヱホバ、ヱホバ憐憫あはれみあり恩惠めぐみあり怒いかることの遲󠄃おそく恩惠めぐみと眞󠄃實まことの大おほいなる神かみ 7 恩惠めぐみを千せん代だいまでも施ほどこし惡あくと過󠄃とがと罪つみとを赦ゆるす者もの又󠄂また罰ばつすべき者ものをば必かならず赦ゆるすことをせず父󠄃ちゝの罪つみを子こに報むくい子この子こに報むくいて三さん四よ代だいにおよぼす者もの 8 モーセ急󠄃いそぎ地ちに躬󠄂みを鞠かゞめて拜はいし 9 言いひけるはヱホバよ我われもし汝なんぢの目めの前󠄃まへに恩めぐみを得えたらば願ねがはくは主しゆ我等われらの中うちにいまして行ゆきたまへ是これは項うなじの强こはき民たみなればなり我等われらの惡あくと罪つみを赦ゆるし我等われらを汝なんぢの所󠄃有󠄃もちものとなしたまへ

10 ヱホバ言いひたまふ視みよ我われ契󠄅約けいやくをなす我われ未いまだ全󠄃地ぜんちに行おこなはれし事ことあらず何いづれの國民くにたみの中うちにも行おこなはれし事ことあらざるところの奇跡ふしぎを汝なんぢの總󠄂躰󠄂すべての民たみの前󠄃まへに行おこなふべし汝なんぢが住󠄃すむところの國くにの民たみみなヱホバの所󠄃行わざを見みん我わが汝なんぢをもて爲なすところの事ことは怖おそるべき者ものなればなり 11 汝なんぢわが今日けふ汝なんぢに命めいずるところの事ことを守まもれ視みよ我われアモリ人びとカナン人びとヘテ人びとペリジ人びとヒビ人びとヱブス人びとを汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらふ 12 汝なんぢみづから愼つゝしめ汝なんぢが往󠄃ゆくところの國くにの居民たみと契󠄅約けいやくをむすぶべからず恐おそらくは汝なんぢの中うちにおいて機檻わなとなることあらん 13 汝なんぢらかへつて彼等かれらの祭壇さいだんを崩󠄃くづしその偶像󠄃ぐうざうを毀こぼちそのアシラ像󠄃ざうを斫きりたふすべし 14 汝なんぢは他ほかの神かみを拜をがむべからず其そはヱホバはその名なを嫉妒ねたみと言いひて嫉妒ねたむ神かみなればたり 15 然されば汝なんぢその地ちの居民たみと契󠄅約けいやくを結むすぶべからず恐おそらくは彼等かれらがその神々かみ〴〵を慕したひて其それと姦淫かんいんをおこなひその神々かみ〴〵に犧牲いけにへをさゝぐる時ときに汝なんぢを招まねきてその犧牲いけにへに就つきて食󠄃くらはしむる者ものあらん
 161㌻ 
16 又󠄂また恐おそらくは汝なんぢかれらの女子等むすめらを汝なんぢの息子むすこ等らに妻めあはすことありて彼等かれらの女子むすめ等らその神々かみ〴〵を慕したひて姦淫かんいんを行おこなひ汝なんぢの息子むすこ等らをして彼等かれらの神々かみ〴〵を慕したひて姦淫かんいんをおこなはしむるにいたらん 17 汝なんぢおのれのために神々かみ〴〵を鑄いなすべからず

18 汝なんぢ無酵たねいれぬパンの節筵いはひを守まもるべし即すなはち我わが汝なんぢに命めいぜしごとくアビブの月󠄃つきのその期きにおよびて七日なぬかの間あひだ無酵たねいれぬパンを食󠄃くらふべし其そは汝なんぢアビブの月󠄃つきにエジプトより出いでたればなり〘123㌻〙 19 首出うひごたる者ものは皆みな吾われの所󠄃有󠄃もちものなり亦また汝なんぢの家畜かちくの首出うひごの牡をすたる者ものも牛うし羊ひつじともに皆みなしかり 20 但たゞし驢馬ろばの首出うひごは羔羊こひつじをもて贖あがなふべし若もし贖あがなはずばその頸くびを折をるべし汝なんぢの息子むすこの中うちの初子うひごは皆みな贖あがなふべし我わが前󠄃まへに空󠄃手むなしでにて出いづるものあるべからず

21 六日むいかの間あひだ汝なんぢ働作はたらきをなし第七日なぬかめに休やすむべし耕󠄃耘たがへし時どきにも收穫かりいれ時どきにも休やすむべし 22 汝なんぢ七なゝ週󠄃まはりの節筵いはひすなはち麥秋むぎかりの初はつ穗ほの節筵いはひを爲なし又󠄂また年としの終󠄃をはりに收藏とりいれの節󠄄筵いはひをなすべし 23 年としに三回みたび汝なんぢの男子をのこみな主しゆヱホバ、イスラエルの神かみの前󠄃まへに出いづべし 24 我われ國々くに〴〵の民たみを汝なんぢの前󠄃まへより逐󠄃おひはらひて汝なんぢの境さかひを廣ひろくせん汝なんぢが年としに三回みたびのぼりて汝なんぢの神かみヱホバのまへに出いづる時ときには誰たれも汝なんぢの國くにを取とらんとする者ものあらじ

25 汝なんぢわが犧牲いけにへの血ちを有󠄃酵たねいれしパンとともに供そなふべからず又󠄂また逾越すぎこしの節いはひの犧牲いけにへは明あくる朝󠄃あさまで存のこしおくべからざるなり 26 汝なんぢの土地とちの初はつ穗ほの初はつを汝なんぢの神かみヱホバの家いへに携たづさふべし汝なんぢ山羊羔こやぎをその母はゝの乳󠄃ちゝにて煮にるべからず

27 斯かくてヱホバ、モーセに言いひたまひけるは汝なんぢ是等これらの言語ことばを書かきしるせ我われ是等これらの言語ことばをもて汝なんぢおよびイスラエルと契󠄅約けいやくをむすべばなり
 162㌻ 
28 彼かれはヱホバとともに四十日にち四十夜や其處そこに居をりしが食󠄃物くひものをも食󠄃くはず水みづをも飮のまざりきヱホバその契󠄅約けいやくの詞ことばなる十誡じつかいをかの板いたの上うへに書しるしたまへり

29 モーセその律法おきての板いた二枚まいを己おのれの手てに執とりてシナイ山やまより下くだりしがその山やまより下くだりし時ときにモーセはその面かほの己おのれがヱホバと言ものいひしによりて光ひかりを發はなつを知しらざりき 30 アロンおよびイスラエルの子孫ひと〴〵モーセを見みてその面かほの皮かはの光ひかりを發はなつを視み怖おそれて彼かれに近󠄃ちかづかざりしかば 31 モーセかれらを呼よべりアロンおよび會衆くわいしうの長かしら等たちすなはちモーセの所󠄃ところに歸かへりたればモーセ彼等かれらと言ものいふ 32 斯かくありて後のちイスラエルの子孫ひと〴〵みな近󠄃ちかよりければモーセ、ヱホバがシナイ山やまにて己おのれに吿つげたまひし事等ことどもを盡こと〴〵くこれに諭󠄄さとせり 33 モーセかれらと語ものいふことを終󠄃をへて覆󠄄面帕かほおほひをその面かほにあてたり 34 但たゞしモーセはヱホバの前󠄃まへにいりてともに語かたることある時ときはその出いづるまで覆󠄄面帕かほおほひを除のぞきてをりまた出いできたりてその命めいぜられし事ことをイスラエルの子孫ひと〴〵に吿つぐ 35 イスラエルの子孫ひと〴〵モーセの面かほを見みるにモーセの面かほの皮かは光ひかりを發はなつモーセは入いりてヱホバと言ものいふまでまたその覆󠄄面帕かほおほひを面かほにあてをる〘124㌻〙

第35章

1 モーセ、イスラエルの子孫ひと〴〵の會衆くわいしうを盡こと〴〵く集あつめてこれに言いふ是これはヱホバが爲なせと命めいじたまへる言ことばなり 2 即すなはち六日むいかの間あひだは働作はたらきを爲なすべし第七日なぬかめは汝等なんぢらの聖󠄃せい日じつヱホバの大だい安息あんそく日にちなり凡すべてこの日ひに働作はたらきをなす者ものは殺ころさるべし 3 安息日あんそくにちには汝等なんぢらの一切すべての住󠄃處すみかに火ひをたく可べからず

4 モーセ、イスラエルの子孫ひと〴〵の會衆くわいしうに徧あまねく吿つげて言いふ是これはヱホバの命めいじたまへるところの事ことなり 5 曰いはく汝等なんぢらが有󠄃もてる物ものの中うちより汝等なんぢらヱホバに献さゝぐる者ものを取とるべし凡すべて心こゝろより願ねがふ者ものに其それを携たづさへきたりてヱホバに献さゝぐべし即すなはち金きん 銀ぎん 銅あかゞね
 163㌻ 
6 靑あを 紫むらさき 紅くれなゐの線いと 麻󠄃あさ糸いと 山羊やぎの毛け 7 赤あか染ぞめの牡羊をひつじの皮かは 貛まみの皮かは 合歡木ねむのき 8 燈ともしび油あぶら 灌そゝぎ膏あぶらと馨かうばしき香かうをつくる香物かうもつ 9 葱珩そうかう エポデと胸むね牌あてに嵌はむる玉たま

10 凡すべて汝等なんぢらの中うちの心こゝろに智慧󠄄ちゑある者もの來きたりてヱホバの命めいじたまひし者ものを悉こと〴〵く造󠄃つくるべし 11 即すなはち幕屋まくやその天てん幕まくその頂蓋おひその鈎かぎその版いたその橫よこ木ぎその柱󠄃はしらその座ざ 12 かの櫃はことその杠さを 贖しよく罪ざい所󠄃しよ 障蔽へだての幕まく 13 案子つくゑとその杠さをおよびその諸もろ〳〵の器具󠄄うつは供前󠄃そなへのパン 14 燈明とうみやうの臺だいその器具󠄄うつはとその盞さらおよび燈火ともしびの油あぶら 15 香かう壇だんとその杠さを 灌そゝぎ膏あぶら 馨かうばしき香かう 幕屋まくやの入いり口くちの幔とばり 16 燔祭はんさいの壇だんおよびその銅あかゞねの網󠄄あみその杠さをその諸もろ〳〵の器具󠄄うつは洗盤たらひとその臺だい 17 庭󠄄にはの幕まくその柱󠄃はしらその座ざ庭󠄄にはの口くちの幔とばり 18 幕屋まくやの釘くぎ庭󠄄にはの釘くぎおよびその紐ひも 19 聖󠄃所󠄃きよきところにて職つとめをなすところの供職つとめの衣ころも即すなはち祭司さいしの職つとめをなす時ときに用もちふる者ものなる祭司さいしアロンの聖󠄃きよき衣ころもおよび其その子等こらの衣服󠄃ころも

20 斯かくてイスラエルの子孫ひと〴〵の會衆くわいしうみなモーセの前󠄃まへを離はなれて去さりしが 21 凡すべて心こゝろに感かんじたる者もの凡すべて心こゝろより願ねがふ者ものは來きたりてヱホバへの献納󠄃さゝげ物ものを携たづさへいたり集會しふくわいの幕屋まくやとその諸もろ〳〵の用ように供そなへ又󠄂また聖󠄃きよき衣ころものために供そなへたり 22 即すなはち凡すべて心こゝろより願ねがふ者ものは男をとこ女をんなともに環󠄃釦わどめ 耳みゝ環󠄃わ 指環󠄃ゆびわ 頸玉くびたま 諸もろ〳〵の金きんの物ものを携たづさへいたれり又󠄂また凡すべて金きんの献納󠄃さゝげ物ものをヱホバに爲なす者ものも然しかせり 23 凡すべて靑あを 紫むらさき 紅くれなゐの線いとおよび麻󠄃あさ絲いと 山羊やぎの毛け 赤あか染ぞめの牡羊をひつじの皮かは 貛まみの皮かはある者ものは是これを携たづさへいたり 24 凡すべて銀しろがねおよび銅あかゞねの献納󠄃さゝげ物ものをなす者ものはこれを携たづさへきたりてヱホバに獻さゝげ又󠄂また物ものを造󠄃つくるに用もちふべき合歡木ねむのきある者ものは其それを携たづさへいたれり 25 また凡すべて心こゝろに智慧󠄄ちゑある婦󠄃女等をんなどもはその手てをもて紡つむぐことをなしその紡つむぎたる者ものなる靑あを 紫むらさき 紅くれなゐの線いとおよび麻󠄃あさ絲いとを携たづさへきたり 26 凡すべて智慧󠄄ちゑありて心こゝろに感かんじたる婦󠄃人をんなは山羊やぎの毛けを紡つむげり 27 又󠄂また長かしらたる者ものどもは葱珩そうかうおよびエポデと胸むね牌あてに嵌はむべき玉たまを携たづさへいたり 28 燈火ともしびと灌そゝぎ膏あぶらと馨かうばしき香かうとに用もちふる香物かうもつと油あぶらを携たづさへいたれり〘125㌻〙 29 斯かくイスラエルの子孫ひと〴〵悅よろんでヱホバに獻納󠄃さゝげ物ものをなせり即すなはちヱホバがモーセに藉󠄃よりて爲なせと命めいじたまひし諸もろ〳〵の工事わざをなさしむるために物ものを携たづさへきたらんと心こゝろより願ねがふところの男をとこ女をんなは皆みな是かくのごとくになしたり
 164㌻ 

30 モーセ、イスラエルの子孫ひと〴〵に言いふ視みよヱホバ、ユダの支󠄂派󠄄わかれのホルの子こなるウリの子こベザレルを名な指ざして召めしたまひ 31 神かみの靈れいをこれに充みたして智慧󠄄ちゑと了知さとりと知識ちしきと諸もろ〳〵の類たぐひの工事わざに長たけしめ 32 奇巧たくみを盡つくして金銀きんぎんおよび銅あかゞねの作さくをなすことを得えせしめ 33 玉たまを切きり嵌はめ木きに彫󠄃刻󠄂ほりきざみて諸もろ〳〵の類たぐひの工わざをなすことを得えせしめ 34 彼かれの心こゝろを明あきらかにして敎をしふることを得えせしめたまふ彼かれとダンの支󠄂派󠄄わかれのアヒサマクの子こアホリアブ俱ともに然しかり 35 斯かく智慧󠄄ちゑの心こゝろを彼等かれらに充みたして諸もろ〳〵の類たぐひの工事わざをなすことを得えせしめたまふ即すなはち彫󠄃刻󠄂ほりもの文󠄃織あやおりおよび靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとと麻󠄃あさ絲いとの刺繍ぬひとり並ならびに機織はたおり等など凡すべて諸もろ〳〵の類たぐひの工わざをなすことを得えせしめ奇巧たくみをこれに盡つくさしめたまふなり

第36章

1 偖さてベザレルとアホリアブおよび凡すべて心こゝろの頴敏かしこき人ひと即すなはちヱホバが智慧󠄄ちゑと了知さとりをあたへて聖󠄃所󠄃きよきところの用ように供そなふるところの諸もろ〳〵の工わざをなすことを知しり得えせしめたまへる者等ものどもはヱホバの凡すべて命めいじたまひし如ごとくに事ことをなすべかりし

2 モーセすなはちベザレルとアホリアブおよび凡すべて心こゝろの頴敏かしこき人ひとすなはちその心こゝろにヱホバが智慧󠄄ちゑをさづけたまひし者もの凡おほよそ來きたりてその工わざをなさんと心こゝろに望󠄇のぞむところの者ものを召めしよせたり 3 彼等かれらは聖󠄃所󠄃きよきところの用ようにそなふるところの工事わざをなさしむるためにイスラエルの子孫ひと〴〵が携たづさへきたりし諸もろ〳〵の献納󠄃さゝげ物ものをモーセの手てより受うけとりしが民たみは尙なほまた朝󠄃あさごとに自意こゝろからの献納󠄃さゝげ物ものをモーセに持もちきたる 4 是こゝに於おいて聖󠄃所󠄃きよきところの諸もろ〳〵の工わざをなすところの智かしこき人等ひとたちみな各々おの〳〵その爲なすところの工わざをやめて來きたり 5 モーセに吿つげて言いひけるは民たみ餘あまりに多おほく持もちきたればヱホバが爲なせと命めいじたまひし工事わざをなすに用もちふるに餘あまりありと
 165㌻ 
6 モーセすなはち命めいを傳つたへて營えい中ちうに宣布ふれしめて云いはく男をとこ女をんなともに今いまよりは聖󠄃所󠄃きよきところに獻納󠄃さゝげ物ものをなすに及およばずと是こゝをもて民たみは携たづさへきたることを止やめたり 7 其そはその有󠄃あるところの物ものすでに一切すべての工わざをなすに足たりて且かつ餘あまりあればなり

8 偖さて彼等かれらの中うち心こゝろに智慧󠄄ちゑありてその工わざを爲なせるところの者もの十とをの幕まくをもて幕屋まくやを造󠄃つくれりその幕まくは麻󠄃あさの撚糸よりいとと靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとをもて巧たくみにケルビムを織おりなして作つくれる者ものなり 9 その幕まくは各々おの〳〵長ながさ二十八キユビトその幕まくは各おの〳〵寛はゞ四キユビトその幕まくはみな寸尺すんしやく一ひとつなり〘126㌻〙 10 而しかしてその幕まく五箇いつゝを互たがひに連󠄃つらねあはせ又󠄂またその幕まく五箇いつつをたがひに連󠄃つらねあはせ 11 一聯ひとつらねの幕まくの邊󠄎ふちにおいてその連󠄃絡處あはせどころの端はしに靑あを色いろの襻ちを造󠄃つくり又󠄂また他ほかの一聯ひとつらねの幕まくの邊󠄎ふちにおいてその連󠄃絡處あはせどころにこれを造󠄃つくれり 12 一聯ひとつらねの幕まくに襻ち五十をつくりまた他ほかの一聯ひとつらねの幕まくの連󠄃絡處あはせどころの邊󠄎ふちにも襻ち五十をつくれりその襻ちは彼かれと此これと相對あひたひす 13 而しかして金きんの鈎かぎ五十をつくりその鈎かぎをもてその幕まくを彼かれと此これと相あひ連󠄃つらねたれば一箇ひとつの幕屋まくやとなる

14 又󠄂また山羊やぎの毛けをもて幕まくをつくりて幕屋まくやの上うへの天てん幕まくとなせりその造󠄃つくれる幕まくは十一なり 15 その幕まくは各々おの〳〵長ながさ三十キユビトその幕まくはおのおの寛はゞ四キユビトにして十一の幕まくは寸尺すんしやく同一ひとつなり 16 その幕まく五いつゝを一幅ひとつに連󠄃つらねまたその幕まく六むつを一幅ひとつに連󠄃つらね 17 その幕まくの邊󠄎ふちにおいて連󠄃絡處あはせどころに襻ち五十をつくり又󠄂また次󠄄つぎの一連󠄃ひとつらの幕まくの邊󠄎ふちにも襻ち五十をつくれり 18 又󠄂また銅あかゞねの鈎かぎ五十をつくりてその天てん幕まくをつらねあはせて一ひとつとならしめ 19 赤あか染ぞめの牡羊をひつじの皮かはをもてその天てん幕まくの頂蓋おひをつくりてその上うへに貛まみの皮かはの蓋おひを設まうけたり

20 又󠄂また合歡木ねむのきをもて幕屋まくやの竪たて板いたをつくれり 21 板いたの長ながさは十キユビト板いたの寛はゞは一キユビト半󠄃はん 22 一ひとつの板いたに二ふたつの榫ほぞありて彼かれと此これと交󠄄指くひあふ幕屋まくやの板いたには皆みなかくのごとく造󠄃つくりなせり 23 又󠄂また幕屋まくやのために板いたを作つくれり即すなはち南みなみに於おいては南みなみの方かたに板いた二十枚まい 24 その二十枚まいの板いたの下したに銀ぎんの座ざ四十をつくれり即すなはち此この板いたの下したにも二ふたつの座ざありてその二ふたつの榫ほぞを承うけ彼かの板いたの下したにも二ふたつの座ざありてその二ふたつの榫ほぞを承うく
 166㌻ 
25 幕屋まくやの他ほかの方かたすなはちその北きたの方かたのためにも板いた二十枚まいを作つくり 26 又󠄂またその銀ぎんの座ざ四十をつくれり即すなはち此この板いたの下したにも二ふたつの座ざあり彼かの板いたの下したにも二ふたつの座ざあり 27 又󠄂また幕屋まくやの後面うしろすなはちその西にしのために板いた六枚まいをつくり 28 幕屋まくやの後うしろの兩ふた隅すみのために板いた二枚まい宛づゝをつくれり 29 その二枚まいは下したにて相あひ合がつしその頂いたゞきまで一ひとつに連󠄃つらなれり一箇ひとつの環󠄃わに於おいて然しかりその二枚まいともに是かくのごとし是等これらは二ふた隅すみのために設まうけたる者ものなり 30 その板いたは八枚まいありその座ざは銀ぎんの座ざ十六座ざあり各々おの〳〵の板いたの下したに二ふたつの座ざあり

31 又󠄂また合歡木ねむのきをもて橫よこ木ぎを作つくれり即すなはち幕屋まくやの此方こなたの板いたのために五本いつゝを設まうけ 32 幕屋まくやの彼方かなたの板いたのために橫よこ木ぎ五本いつゝを設まうけ幕屋まくやの後うしろすなはちその西にしの板いたのために橫よこ木ぎ五本いつゝを設まうけたり 33 又󠄂また中間なかの橫よこ木ぎをつくりて板いたの眞󠄃中たゞなかにおいて端はしより端はしまで通󠄃とほらしめ 34 而しかしてその板いたに金きんを着きせ金きんをもて之これがために鐶わをつくりて橫よこ木ぎをこれに貫󠄄つらぬき又󠄂またその橫よこ木ぎに金きんを着きせたり〘127㌻〙

35 又󠄂また靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとおよび麻󠄃あさの撚絲よりいとをもて幕まくをつくり巧たくみにケルビムをその上うへに織おりいだし 36 それがために合歡木ねむのきをもて四本ほんの柱󠄃はしらをつくりてこれに金きんを着きせたりその鈎かぎは金きんなり又󠄂また銀ぎんをもてこれがために座ざ四よつを鑄いたり 37 又󠄂また靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとおよび麻󠄃あさの撚絲よりいとをもて幕屋まくやの入いり口くちに掛かくる幔とばりを織おりなし 38 その五本いつゝの柱󠄃はしらとその鈎かぎとを造󠄃つくりその柱󠄃はしらの頭かしらと桁けたに金きんを着きせたり但たゞしその五いつゝの座ざは銅あかゞねなりき

第37章

1 ベザレル合歡木ねむのきをもて櫃はこをつくれりその長ながさは二キユビト半󠄃はんその寛はゞは一キユビト半󠄃はん、その高たかさは一キユビト半󠄃はん 2 而しかして純金じゆんきんをもてその內外うちそとを蔽おほひてその上うへの周󠄃圍󠄃まはりに金きんの緣ふちを造󠄃つくれり 3 又󠄂また金きんの環󠄃わ四箇よつを鑄いてその四よつの足あしにつけたり即すなはち此旁こなたに二箇ふたつの輪わ彼旁かなたに二箇ふたつの輪わを付つく 4 又󠄂また合歡木ねむのきをもて杠さをを作つくりてこれに金きんを着きせ
 167㌻ 
5 その杠さをを櫃はこの傍かたはらの環󠄃わにさしいれて之これをもて櫃はこをかくべからしむ 6 又󠄂また純金じゆんきんをもて贖しよく罪ざい所󠄃しよを造󠄃つくれりその長ながさは二キユビト半󠄃はんその寛はゞは一キユビト半󠄃はんなり 7 又󠄂また金きんをもて二箇ふたつのケルビムを作つくれり即すなはち槌つちにて打うちて之これを贖しよく罪ざい所󠄃しよの兩りやう傍はうに作つくり 8 一箇ひとつのケルブを此方こなたの末はしに一箇ひとつのケルブを彼方かなたの末はしに置おけり即すなはち贖しよく罪ざい所󠄃しよの兩りやう傍はうにケルビムを作つくれり 9 ケルビムは翼󠄅つばさを高たかく展のべ其その翼󠄅つばさをもて贖しよく罪ざい所󠄃しよを掩おほひ其その面かほをたがひに相あひ向むく即すなはちケルビムの面かほは贖しよく罪ざい所󠄃しよに向むかふ

10 又󠄂また合歡木ねむのきをもて案つくゑを作つくれり其その長ながさは二キユビト其その寛はゞは一キユビト其その高たかさは一キユビト半󠄃はん 11 而しかて純金じゆんきんを之これに着きせ其その周󠄃圍󠄃まはりに金きんの緣ふちをつけ 12 又󠄂また其その四圍󠄃まはりに掌寛てはゞの邊󠄎ふちを作つくり其その邊󠄎ふちの周󠄃圍󠄃まはりに金きんの小こ緣ぶちを作つくれり 13 而しかして之これが爲ために金きんの環󠄃わ四箇よつを鑄い其その足あしの四よ隅すみに其その環󠄃わを付つけたり 14 即すなはち環󠄃わは邊󠄎ふちの側そばに在ありて案つくゑを舁かく杠さをを入いるる處ところなり 15 而しかして合歡木ねむのきをもて案つくゑを舁かく杠さをを作つくりて之これに金きんを着きせたり 16 又󠄂また案つくゑの上うへの器具󠄄うつは即すなはち皿さら匙さじ杓󠄃しやく及および酒さけを灌そゝぐ斝さかづきを純金じゆんきんにて作つくれり

17 又󠄂また純金じゆんきんをもて一箇ひとつの燈臺とうだいを造󠄃つくれり即すなはち槌つちをもて打うちて其その燈臺とうだいを作つくれり其その臺だい座ざ軸じく萼󠄂うてな節ふし及および花はなは其それに連󠄃つらなる 18 六むつの枝えだその旁かたはらより出いづ即すなはち燈臺とうだいの三みつの枝えだは此この旁かたはらより出いで燈臺とうだいの三みつの枝えだは彼かの傍かたはらより出いづ 19 巴旦杏はたんきやうの花はなの形かたちせる三みつの萼󠄂うてな節ふしおよび花はなとともに此この枝えだにあり又󠄂また巴旦杏はたんきやうの花はなの形かたちせる三みつの萼󠄂うてな節ふしおよび花はなとともに彼かの枝えだにあり燈臺とうだいより出いづる六むつの枝えだみな斯かくのごとし 20 巴旦杏はたんきやうの花はなの形かたちせる四よつの萼󠄂うてなその節ふしおよび花はなとともに燈臺とうだいにあり〘128㌻〙 21 兩箇ふたつの枝えだの下したに一箇ひとつの節ふしあり又󠄂また兩箇ふたつの枝えだの下したに一箇ひとつの節ふしあり又󠄂また兩箇ふたつの枝えだの下したに一箇ひとつの節ふしあり燈臺とうだいより出いづる六むつの枝えだみな是かくのごとし 22 その節ふしと枝えだとは其それに連󠄃つらなれり皆みな槌つちにて打うちて純金じゆんきんをもて造󠄃つくれり 23 又󠄂また純金じゆんきんをもて七箇なゝつの燈盞ともしびざらと燈鉗しんかきと剪燈しんとり盤ざらを造󠄃つくれり 24 燈臺とうだいとその諸すべての器具󠄄うつはは純金じゆんきん一タラントをもて作つくれり

25 又󠄂また合歡木ねむのきをもて香かう壇だんを造󠄃つくれり其その長ながさ一キユビトその寛はゞ一キユビトにして四角かくなりその高たかさは二キユビトにしてその角つのは其それより出いづ
 168㌻ 
26 その上うへその四旁しはうその角つのともに純金じゆんきんを着きせその周󠄃圍󠄃まはりに金きんの緣ふちを作つくれり 27 又󠄂またその兩面りやうめんに金きんの緣ふちの下したに金きんの環󠄃わ二箇ふたつをこれがために作つくれり即すなはちその兩りやう旁はうにこれを作つくる是これすなはち之これを舁かくところの杠さをを貫󠄄つらぬくところなり 28 又󠄂また合歡木ねむのきをもてその杠さををつくりて之これに金きんを着きせたり 29 又󠄂また薰物かをりものをつくる法はふにしたがひて聖󠄃きよき灌膏そゝぎあぶらと香物かうもつの淸きよき香かうとを製つくれり

第38章

1 又󠄂また合歡木ねむのきをもて燔祭はんさいの壇だんを築きづけりその長ながさは五キユビト其その寛はゞは五キユビトにして四角しかくその高たかさは三キユビト 2 而しかしてその四よ隅すみの上うへに其それの角つのを作つくりてその角つのを其それより出いでしめその壇だんには銅あかゞねを着きせたり 3 又󠄂またその壇だんの諸もろ〳〵の器具󠄄うつはすなはち壺つぼと火鏟じふのうと鉢はちと肉󠄁叉にくさしと火ひ鼎ざらを作つくれり壇だんの器うつははみな銅あかゞねにて造󠄃つくる 4 又󠄂また壇だんのために銅あかゞねの網󠄄あみをつくりこれを壇だんの中なか程󠄃ほどの邊󠄎ふちの下したに置すゑて壇だんの半󠄃なかばに達󠄃たつせしめ 5 その銅あかゞねの網󠄄あみの四よ隅すみに四箇よつの環󠄃わを鑄いて杠さをを貫󠄄つらぬく處ところとなし 6 合歡木ねむのきをもてその杠さををつくりて之これに銅あかゞねを着きせ 7 壇だんの兩りやう旁はうの環󠄃わにその杠さををつらぬきて之これを舁かくべからしむその壇だんは板いたをもてこれを空󠄃うつろにつくれり

8 また銅あかゞねをもて洗盤たらひをつくりその臺だいをも銅あかゞねにす即すなはち集會しふくわいの幕屋まくやの門かどにて役事つとめをなすところの婦󠄃人等をんなたち鏡かゞみをもて之これを作つくれり

9 又󠄂また庭󠄄にはを作つくれり南みなみに於おいては庭󠄄にはの南みなみの方かたに百キユビトの細布ほそぬのの幕まくを設まうく 10 その柱󠄃はしらは二十その座ざは二十にして共ともに銅あかゞねなりその柱󠄃はしらの鈎かぎおよび桁けたは銀ぎんなり 11 北きたの方かたには百キユビトの幕まくを設まうくその柱󠄃はしらは二十その座ざは二十にして共ともに銅あかゞねなりその柱󠄃はしらの鈎かぎと桁けたは銀ぎんなり 12 西にしの方かたには五十キユビトの幕まくを設まうくその柱󠄃はしらは十とをその座ざは十とをその柱󠄃はしらの鈎かぎと桁けたは銀ぎんなり 13 東ひがしにおいては東ひがしの方かたに五十キユビトの幕まくを設まうく 14 而しかしてこの一旁いつぱうに十五キユビトの幕まくを設まうくその柱󠄃はしらは三みつその座ざも三みつ
 169㌻ 
15 又󠄂またかの一旁いつぱうにも十五キユビトの幕まくを設まうくその柱󠄃はしらは三みつその座ざも三みつ即すなはち庭󠄄にはの門もんの此旁こなた彼旁かなたともに然しかり 16 庭󠄄にはの周󠄃圍󠄃まはりの幕まくはみな細布ほそぬのなり〘129㌻〙 17 柱󠄃はしらの座ざは銅あかゞね柱󠄃はしらの鈎かぎと桁けたは銀ぎん柱󠄃はしらの頭かしらの包󠄃つゝみは銀ぎんなり庭󠄄にはの柱󠄃はしらはみな銀ぎんの桁けたにて連󠄃つらなる 18 庭󠄄にはの門もんの幔とばりは靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとおよび麻󠄃あさの撚絲よりいとをもて織おりなしたる者ものなりその長ながさは二十キユビトその寛はゞにおける高たかさは五キユビトにして庭󠄄にはの幕まくと等ひとし 19 その柱󠄃はしらは四よつその座ざは四よつにして共ともに銅あかゞねその鈎かぎは銀ぎんその頭かしらの包󠄃つゝみと桁けたは銀ぎんなり 20 幕屋まくやおよびその周󠄃圍󠄃まはりの庭󠄄にはの釘くぎはみな銅あかゞねなり

21 幕屋まくやにつける物ものすなはち律法おきての幕屋まくやにつける物ものを量はかるに左さのごとし祭司さいしアロンの子こイタマル、モーセの命めいにしたがひてレビ人びとを率󠄃ひきゐ用もちひてこれを量はかれるなり 22 ユダの支󠄂派󠄄わかれのホルの子こなるウリの子こベザレル凡すべてヱホバのモーセに命めいじたまひし事等ことどもをなせり 23 ダンの支󠄂派󠄄わかれのアヒサマクの子こアホリアブ彼かれとともにありて雕刻󠄂ほりもの織文󠄃おりものをなし靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとおよび麻󠄃あさ絲いとをもて文󠄃繍ぬひとりをなせり

24 聖󠄃所󠄃きよきところの諸もろ〳〵の工作わざをなすに用もちひたる金きんは聖󠄃所󠄃きよきところのシケルにしたがひて言いへば都合あはせて二十九タラント七百三十シケルなり是これすなはち献納󠄃さゝげたるところの金きんなり 25 會衆くわいしうの中うちの核󠄂數󠄄かぞへられし者ものの献さゝげし銀ぎんは聖󠄃所󠄃きよきところのシケルにしたがひて言いへば百タラント千七百七十五シケルなり 26 凡すべて數󠄄かぞへらるゝ者ものの中うちに入いりし者もの即すなはち二十歳さい以上いじやうの者もの六十萬まん三千五百五十人にんありたれば聖󠄃所󠄃きよきところのシケルにしたがひて言いへば一人ひとりに一ベカとなる是これすなはち半󠄃はんシケルなり 27 百タラントの銀ぎんをもて聖󠄃所󠄃きよきところの座ざと幕まくの座ざを鑄いたり百タラントをもて百座ざをつくれば一座ざすなはち一タラントなり 28 又󠄂また千七百七十五シケルをもて柱󠄃はしらの鈎かぎをつくり柱󠄃はしらの頭かしらを包󠄃つゝみ又󠄂また柱󠄃はしらを連󠄃つらねあはせたり 29 又󠄂また獻納󠄃さゝげたるところの銅あかゞねは七十タラント二千四百シケルなり 30 是これをもちひて集會しふくわいの幕屋まくやの門かどの座ざをつくり銅あかゞねの壇だんとその銅あかゞねの網󠄄あみおよび壇だんの諸すべての器具󠄄うつはをつくり
 170㌻ 
31 庭󠄄にはの周󠄃圍󠄃まはりの座ざと庭󠄄にはの門もんの座ざおよび幕屋まくやの諸すべての釘くぎと庭󠄄にはの周󠄃圍󠄃まはりの諸すべての釘くぎを作つくれり

第39章

1 靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとをもて聖󠄃所󠄃きよきところにて職つとめをなすところの供職つとめの衣服󠄃ころもを製つくり亦またアロンのために聖󠄃きよき衣ころもを製つくりヱホバのモーセに命めいじたまひしごとくせり

2 又󠄂また金きん靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとおよび麻󠄃あさの撚絲よりいとをもてエポデを製つくり 3 金きんを薄󠄄うす片いたに打うち展のべ剪きりて縷いととなしこれを靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとおよび麻󠄃あさ絲いとに和まじへてこれを織おりなし 4 又󠄂またこれがために肩󠄃かた帶あてをつくりて之これを連󠄃つらねその兩ふたつの端はしにおいて之これを連󠄃つらぬ 5 エポデの上うへにありて之これを束つがぬるところの帶おびはその物もの同おなじうして其それの製つくりのごとし即すなはち金きん靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとおよび麻󠄃あさの撚絲よりいとをもて製つくれる者ものなりヱホバのモーセに命めいじたまひしごとくなり〘130㌻〙

6 又󠄂また葱珩そうかうを琢すりて金かねの槽ふちに嵌はめ印いんを刻󠄂ほるがごとくにイスラエルの子等こらの名なをこれに鐫えりつけ 7 これをエポデの肩󠄃かた帶あての上うへにつけてイスラエルの子孫ひと〴〵の記念おぼえの玉たまとならしむヱホバのモーセに命めいじたまひしごとし

8 また胸むね牌あてを巧たくみに織おりなしエポデの製つくりのごとくに金きん 靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとおよび麻󠄃あさの撚絲よりいとをもてこれを製つくれり 9 胸むね牌あては四し角かくにして之これを二重ふたへにつくりたれば二重ふたへにしてその長たけ半󠄃はんキユビトその濶はゞ半󠄃はんキユビトなり 10 その中なかに玉たま四行よならびを嵌はむ即すなはち赤あか玉だま 黃玉きのたま 瑪瑙めのうの一行ひとならびを第だい一行ぎやうとす 11 第だい二行ぎやうは紅くれなゐの玉たま 靑玉あをだま 金剛石こんごうせき 12 第だい三行ぎやうは深ふかき紅くれなゐの玉たま 白しろ瑪瑙めのう 紫むらさきの玉たま 13 第だい四行ぎやうは黃緑きみどりの玉たま 葱珩そうかう 碧玉みどりのたま 凡すべて金きんの槽ふちの中なかにこれを嵌はめたり 14 その玉たまはイスラエルの子等こらの名なにしたがひ其その名なのごとくに之これを十二になし而しかして印いんを刻󠄂ほるがごとくにその十二の支󠄂派󠄄わかれの各おの〳〵の名なをこれに鐫えりつけたり 15 又󠄂また純金じゆんきんを紐ひものごとくに組くみたる鏈くさりを胸むね牌あての上うへにつけたり 16 又󠄂また金きんをもて二箇ふたつの槽ふちをつくり二ふたつの金きんの環󠄃わをつくりその二ふたつの環󠄃わを胸むね牌あての兩ふたつの端はしにつけ 17 かの金きんの紐ひも二條ふたすぢを胸むね牌あての端はしの二箇ふたつの環󠄃わにつけたり 18 而しかしてその二條ふたすぢの紐ひもの兩ふたつの端はしを二箇ふたつの槽ふちに結ゆひエポデの肩󠄃かた帶あての上うへにつけてその前󠄃まへにあらしむ
 171㌻ 
19 又󠄂また二箇ふたつの金きんの環󠄃わをつくりて之これを胸むね牌あての兩ふたつの端はしにつけたり即すなはちそのエポデに對むかふところの內うちの邊󠄎ふちにこれを付つく 20 また金きんの環󠄃わ二箇ふたつを造󠄃つくりてこれをエポデの兩りやう傍はうの下したの方かたにつけてその前󠄃まへの方かたにてその聯接つらなれる處ところに對むかひてエポデの帶おびの上うへにあらしむ 21 胸むね牌あては靑あを紐ひもをもてその環󠄃わによりて之これをエポデの環󠄃わに結ゆひつけエポデの帶おびの上うへにあらしめ胸むね牌あてをしてエポデを離はなるゝことなからしむヱホバのモーセに命めいじたまひしごとし

22 又󠄂またエポデに屬ぞくする明衣うはぎは凡すべてこれを靑あをく織おりなせり 23 上衣うはぎの孔あなはその眞󠄃中まんなかにありて鎧よろひの領盤えりまはりのごとしその孔あなの周󠄃圍󠄃まはりに緣へりありて綻ほころびざらしむ 24 而しかして明衣うはぎの裾すそに靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の撚絲よりいとをもて石榴ざくろを作つくりつけ 25 又󠄂また純金じゆんきんをもて鈴すゞをつくりその鈴すゞを明衣うはぎの裾すその石榴ざくろの間あひだにつけ周󠄃圍󠄃まはりにおいて石榴ざくろの間々あひだ〳〵にこれをつけたり 26 即すなはち鈴すゞに石榴ざくろ鈴すゞに石榴ざくろと供職つとめの明衣うはぎの裾すその周󠄃圍󠄃まはりにつけたりヱホバのモーセに命めいじたまひしごとし

27 又󠄂またアロンとその子等こらのために織おり布ぬのをもて裏衣したぎを製つくり 28 細布ほそぬのをもて頭かしら帽󠄃づゝみを製つくり細布ほそぬのをもて美うるはしき頭づ巾きんをつくり麻󠄃あさの撚絲よりいとをもて褌もゝひきをつくり〘131㌻〙 29 麻󠄃あさの撚絲よりいとおよび靑あを 紫むらさき 紅くれなゐ の絲いとをもて帶おびを織おりなせりヱホバのモーセに命めいじたまひしごとし

30 又󠄂また純金じゆんきんをもて聖󠄃きよき冠かんむりの前󠄃まへ板いたをつくり印いんを刻󠄂ほるがごとくにその上うへにヱホバに聖󠄃きよしといふ文󠄃字もじを書かきつけ 31 之これに靑あを紐ひもをつけて之これを頭かしら帽󠄃づゝみの上うへに結ゆひつけたりヱホバのモーセに命めいじたまひし如ごとし

32 斯かく集合しふくわいの天てん幕まくなる幕屋まくやの諸もろ〳〵の工事わざ成󠄃なりぬイスラエルの子孫ひと〴〵ヱホバの凡すべてモーセに命めいじたまひしごとくに爲なして斯かくおこなへり 33 人衆ひと〴〵幕屋まくやと天てん幕まくとその諸もろ〳〵の器具󠄄うつはをモーセの許もとに携たづさへいたる即すなはちその鈎かぎその板いたその橫よこ木ぎその柱󠄃はしらその座ざ
 172㌻ 
34 赤あか染ぞめの牡羊をひつじの皮かはの蓋おひ貛まみの皮かはの蓋おひ障蔽へだての幕まく 35 律法おきての櫃はことその杠さを贖しよく罪ざい所󠄃しよ 36 案つくゑとその諸もろ〳〵の器具󠄄うつは供前󠄃そなへのパン 37 純金じゆんきんの燈臺とうだいとその盞さらすなはち陳列ならぶる燈盞ともしびざらとその諸もろ〳〵の器具󠄄うつはならびにその燈火ともしびの油あぶら 38 金きんの壇だん 灌そゝぎ 膏あぶら 香かう幕屋まくやの門かどの幔子とばり 39 銅あかゞねの壇だんその銅あかゞねの網󠄄あみとその杠さをおよびその諸もろ〳〵の器具󠄄うつは 洗盤たらひとその臺だい 40 庭󠄄にはの幕まくその柱󠄃はしらとその座ざ庭󠄄にはの門もんの幔子とばり その紐ひもとその釘くぎならびに幕屋まくやに用もちふる諸もろ〳〵の器具󠄄うつは 集會しふくわいの天てん幕まくのために用もちふる者もの 41 聖󠄃所󠄃きよきところにて職つとめをなすところの供職つとめの衣服󠄃ころも 即すなはち祭司さいしの職つとめをなす時ときに用もちふる者ものなる祭司さいしアロンの聖󠄃きよき衣ころもおよびその子等こらの衣服󠄃ころも 42 斯かくヱホバの凡すべてモーセに命めいじたまひしごとくにイスラエルの子孫ひと〴〵その諸もろ〳〵の工事わざをなせり 43 モーセその一切すべての工作わざを見みるにヱホバの命めいじたまひしごとくに造󠄃つくりてあり即すなはち是かくのごとくに作つくりてあればモーセ人衆ひと〴〵を祝しゆくせり

第40章

1 茲こゝにヱホバ、モーセに吿つげて言いひたまひけるは 2 正しやう月󠄃ぐわつの元ぐわん日じつに汝なんぢ集會しふくわいの天てん幕まくの幕屋まくやを建󠄄たつべし 3 而しかして汝なんぢその中うちに律法おきての櫃はこを置すゑ幕まくをもてその櫃はこを障へだて蔽かくし 4 又󠄂また案つくゑを携たづさへいり陳そなへ設つけの物ものを陳そなへ設つけ且かつ燈臺とうだいを携たづさへいりてその燈盞ともしびざらを置すうべし 5 汝なんぢまた金きんの香かう壇だんを律法おきての櫃はこの前󠄃まへに置すゑ幔子とばりを幕屋まくやの門かどに掛かけ 6 燔祭はんさいの壇だんを集會しふくわいの天てん幕まくの幕屋まくやの門かどの前󠄃まへに置すゑ 7 洗盤たらひを集會しふくわいの天てん幕まくとその壇だんの間あひだに置すゑて之これに水みづをいれ 8 庭󠄄にはの周󠄃圍󠄃まはりに藩籬󠄂かこひをたて庭󠄄にはの門もんに幔子とばりを垂たれ 9 而しかして灌そゝぎ膏あぶらをとりて幕屋まくやとその中うちの一切すべての物ものに灌そゝぎて其それとその諸もろ〳〵の器具󠄄うつはを聖󠄃別きよむべし是これ聖󠄃物きよきものとならん 10 汝なんぢまた燔祭はんさいの壇だんとその一切すべての器具󠄄うつはに膏あぶらをそゝぎてその壇だんを聖󠄃別きよむべし壇だんは至聖󠄃物いときよきものとならん 11 又󠄂また洗盤たらひとその臺だいに膏あぶらをそゝぎて之これを聖󠄃別きよめ 12 アロンとその子等こらを集會しふくわいの幕屋まくやの門かどにつれきたりて水みづをもて彼等かれらを洗あらひ〘132㌻〙 13 アロンに聖󠄃きよき衣ころもを着きせ彼かれに膏あぶらをそゝぎてこれを聖󠄃別きよめ彼かれをして祭司さいしの職つとめを我われになさしむべし 14 又󠄂またかれの子等こらをつれきたりて之これに明衣うはぎを着きせ 15 その父󠄃ちゝになせるごとくに之これに膏あぶらを灌そゝぎて祭司さいしの職つとめを我われになさしむべし彼等かれらの膏あぶらそゝがれて祭司さいしたることは代々よゝ變かはらざるべきなり
 173㌻ 
16 モーセかく行おこなへり即すなはちヱホバの己おのれに命めいじたまひし如ごとくに爲なしたり

17 第だい二年ねんの正しやう月󠄃ぐわつにいたりてその月󠄃つきの元ぐわん日じつに幕屋まくや建󠄄たちぬ 18 乃すなはちモーセ幕屋まくやを建󠄄たてその座ざを置すゑその板いたをたてその橫よこ木ぎをさしこみその柱󠄃はしらを立たて 19 幕屋まくやの上うへに天てん幕まくを張はり天てん幕まくの蓋おひをその上うへにほどこせりヱホバのモーセに命めいじ給たまひし如ごとし 20 而しかしてかれ律法おきてをとりて櫃はこに藏をさめ杠さをを櫃はこにつけ贖しよく罪ざい所󠄃しよを櫃はこの上うへに置すゑ 21 櫃はこを幕屋まくやに携たづさへいり障蔽へだての幕まくを垂たれて律法おきての櫃はこを隱かくせりヱホバのモーセに命めいじたまひしごとし 22 彼かれまた集會しふくわいの幕屋まくやにおいて幕屋まくやの北きたの方かたにてかの幕まくの外そとに案つくゑを置すゑ 23 供前󠄃そなへのパンをその上うへにヱホバの前󠄃まへに陳そなへ設つけたりヱホバのモーセに命めいじたまひし如ごとし 24 又󠄂また集會しふくわいの幕屋まくやにおいて幕屋まくやの南みなみの方かたに燈臺とうだいをおきて案つくゑにむかはしめ 25 燈盞ともしびざらをヱホバの前󠄃まへにかゝげたりヱホバのモーセに命めいじたまひしごとし 26 又󠄂また集會しふくわいの幕屋まくやにおいてかの幕まくの前󠄃まへに金きんの壇だんを居すゑ 27 その上うへに馨かうばしき香かうを焚たけりヱホバのモーセに命めいじたまひしごとし 28 又󠄂また幕屋まくやの門かどに幔子とばりを垂たれ 29 集會しふくわいの天てん幕まくの幕屋まくやの門かどに燔祭はんさいの壇だんを置すゑその上うへに燔祭はんさいと素祭そさいをさゝげたりヱホバのモーセに命めいじたまひし如ごとし 30 又󠄂また集會しふくわいの天てん幕まくとその壇だんの間あひだに洗盤たらひをおき其それに水みづをいれて洗あらふことの爲ためにす 31 モーセ、アロンおよびその子等こら其それにつきて手て足あしを洗あらふ 32 即すなはち集會しふくわいの幕屋まくやに入いる時ときまたは壇だんに近󠄃ちかづく時ときに洗あらふことをせりヱホバのモーセに命めいじたましごとし 33 また幕屋まくやと壇だんの周󠄃圍󠄃まはりの庭󠄄にはに藩籬󠄂かこひをたて庭󠄄にはの門もんに幔子とばりを垂たれぬ是かくモーセその工事わざを竣をへたり

34 斯かくて雲くも集會しふくわいの天てん幕まくを蓋おほひてヱホバの榮光えいくわう幕屋まくやに充みちたり 35 モーセは集會しふくわいの幕屋まくやにいることを得えざりき是これ雲くもその上うへに止とゞまり且かつヱホバの榮光えいくわう幕屋まくやに盈みちたればなり
 174㌻ 
36 雲くも幕屋まくやの上うへより昇のぼる時ときにはイスラエルの子孫ひと〴〵途󠄃みちに進󠄃すゝめり其その途󠄃々みち〳〵凡すべて然しかり 37 然されど雲くもの昇のぼらざる時ときにはその昇のぼる日ひまで途󠄃みちに進󠄃すゝむことをせざりき 38 即すなはち晝ひるは幕屋まくやの上うへにヱホバの雲くもあり夜よるはその中うちに火ひありイスラエルの家いへの者もの皆みなこれを見みるその途󠄃々みち〳〵すべて然しかり〘133㌻〙
 175㌻